樽前の沢(道央) 2003.11.19(水) (晴れ)
今年は雪が遅いのですが、どうやら支笏湖周辺の山々の頂付近は白い装いを始めたようです。
そんな初冬の一日、仲間と樽前山から風不死岳のある沢を歩いてきました。
この沢付近はアイヌ語でクチャワクカナイと言うそうで、猟小屋のある飲み水の沢と言う意味だそうです。
沢は樽前山と風不死岳の方向へ入っていき上部は高原状になっていますから、かっては狩猟の基地としての価値があったのかも知れません。
沢に入るとごく普通の荒れた浅い沢形ですが、少し進むとだんだん幅が狭くなり雰囲気が変わってきます。
平凡な沢形がだんだん狭くなって |
沢床は厚く敷かれた落ち葉に覆われ、サクサクと足音も軽く気分も浮き立つようです。
次第に小さな函状になってきて、さながら小さな苔の回廊です。
朝日を浴びて、苔が輝く |
だんだん壁は高くなってくる |
函はだんだん深くなって、朝日も差し込めない暗く幻想的な気配の中を30分も歩いたでしょうか、行く手を阻まれました。高さ10m近い滝状になって立ちはだかっています。
ここは少し手前から入ってくる涸れ沢沿いに登って、大きく高巻きしてやり過ごします。
そして、この辺からがこの沢の核心部です。
高く、狭く、複雑に入り組んだ岩肌とビッシリとそれを覆う美しい苔、思わず見とれてしまいます。
所々、崩落しています。崩落面がまだ新しく、先の地震で落ちたのかも知れません。
大きくひび割れている箇所もいくつもあり、慎重に素早く通過します。
自然の摂理ですから仕方ないのかも知れませんが、いつまでも保って欲しいものです。
だんだん核心部へ |
所々に崩落箇所が |
はしごや木組みの階段 |
3・4箇所ほど、ロープやはしごが設置してあり、助かります。
遠慮なく利用させてもらいました。
途中、地熱測定なのでしょうか観測機材が設置されていましたが、これも先日の地震のせいか設置場所から落ちてしまっていました。
このような場所でも地道な観測活動がなされているのですね。
設置されていたロープを利用して |
第一の滝から30分ほど、見事な苔の回廊を堪能しながら歩くと、第二の滝が行く手を阻んでいます。
上部はオーバーハングしていて、とても登れません。
ここも右岸から来ている小沢を利用して、高巻きしてクリアーします。
第二の涸れ滝 |
この滝を越えると、苔の回廊は概ね終わりです。
この後、沢形は浅くなり、不明瞭になってきます。潅木がうるさく歩きにくい沢形を緩やかに登るにつれナナカマドが多くなってきました。直径40cmもある大木もありびっくりです。
ナナカマドの枝越しに樽前山や932m峰・風不死岳が見えだしました。
足元には、白玉の木の群落が現れ始め、イソツツジの群落も出てきて、お花畑が近いことを教えてくれます。
沢形も明るくなり、白玉の木やイソツツジが目立ち始める |
沢は砂地に変わり、岩交じりになってきます。
風不死岳の頂上が赤く、秋の名残色に染まっています。
樽前山の山肌の雪の縞模様もなかなかのものです。
秋の名残を感じさせる風不死岳 |
雪の縞模様 |
登山道に出ました。ここまでの所要時間は2時間15分でした。
樽前山の周辺には苔の洞門や樽前ガローのような所が多くあるとの話を聞いて、仲間と歩いてみましたが情報のほとんど無い所を、ここが良いんじゃないか? ここはどう? と地図を見ながら相談して訪ねるのは大変面白いことでした。
北海道の山々はいよいよ雪の季節です。山歩きは春までお預けです。
雪の季節は山スキーやスノーシューでそれなりに楽しんでいきたいと思っています。