紋別岳〜イチャンコッペ山・スカイライン(道央) 2003.11.14(金) (晴れ)



支笏湖の最も長い部分を北東から望む、最奥は美笛。

支笏湖の北側に位置する紋別岳とイチャンコッペ山を結ぶカルデラ壁のスカイラインを歩いてみようと初冬の一日、仲間達と行ってきました。

かなりの藪漕ぎを覚悟しなければならないこと、途中からのエスケープルートはカルデラ壁を支笏湖側に降りることなどを打ち合わせ、諸準備に取り掛かりました。


紋別岳(中央右)からイチャンコッペのコルとイチャンコッペ山(左)
写真は10月中旬に撮影したもの

この日は気温が下がり支笏湖湖畔では朝7時に−7℃、笹に霜がついてびしょ濡れになることを覚悟してまずは紋別岳を登ります。

紋別岳9合目付近のイチャンコッペ山への稜線出合いで装備を再点検し、ルートを再確認、GPSにもルートを入れて出発です。幸いお天気は良好で、視界は良好です。

笹原はかなり濃密で、笹の高さは平均して肩ぐらい、低いところで腰、高いところは2m位あります。
先頭の3人は交代で藪漕ぎの体力自慢、次の2人はゲスト、私は最後尾から全体を見ながら方向やルートを確認・アドバイスを出す係です。
笹には予想通り霜がビッシリついていて白くなっています。かき分けていくうちに服は雪を被ったように真っ白です。


見渡すかぎり笹・笹・笹

笹の稜線を進む

古い五万分の一の地図には、紋別岳の西5・600m位の所にアンテナのマークがあります。現在は何もありませんし、知っている人もほとんど居ないようです。
その場に行き着くと、大きく平らに開けていて、アンテナが立っていたことを物語っていました。
ここまではアンテナを立てた時か撤収の時の作業道らしきものがかすかに残っていてそれを途中から見つけて利用できました。

展望もなかなかのものです。


樽前山と風不死岳


太平洋を望む

ここから行く手を見ると、これから進む730Pに明瞭な鹿道が付いています。
有り難いとこれを利用させてもらうことにしました。


手前のピークに付いていた、鹿道

偶然なのでしょうが、鹿道は私達が計画したルート通りに付いています。
鹿も人間も考えることは大差ないのでしょうか? お陰で大変な時間と労力の節約になりました。
滅多に人が来ないせいか、カラスやトンビが枝に止まりじっと睨んでいるようですし、すぐ上空を威嚇するように円を描いています。

しばらくすると鹿道は下に降りていきます。鹿道と別れてまじめに藪漕ぎです。
ゲストが遅れがち、辛い思いをしている先頭にゆっくり行くよう指示を出します。
小さなコルを越えて登り返すと735Pです。小さなピークですが360度の素晴らしい展望が得られます。
この日は札幌は勿論、雄冬岬・暑寒別、芦別岳・夕張岳、かすかに旭岳、苫小牧方面の太平洋、徳舜瞥・ホロホロ山等を見ることが出来ました。


735Pを目指して

藻岩山と日本海を望む

恵庭岳とポロピナイの湖岸

この稜線を歩いていると、支笏湖はカルデラ湖なのだと改めて感じます。
それは稜線上から一気に湖面まで落ち込んでいいる急斜面です。一部分ですが50〜60度近い傾斜でナイフリッジ状になっている所もあり、滑ったらと思うと体に力が入り、緊張します。

ゲストの一人が激しい疲労を訴え始めました。大腿部が痙攣し、膝もガクガクしています。
大休止をとって、温かい飲み物を飲ませたりマッサージをしたりする一方、降ろし方を相談します。
結局、カルデラ壁を降りるのは危険と、イチャンコッペのコル経由で降りることにし、励ましながらゆっくり進みます。

振り返ると、紋別岳のアンテナやモラップ山と苫小牧の海が見えています。



モラップとその向こうに太平洋

出発点の紋別岳を振り返る

コルまでの笹の斜面はカルデラ壁ほどではありませんが、それでもかなりの急傾斜です。
少し元気を取り戻したゲストは、ササに足を滑らせ転びまくっています。可哀相ですがダケカンバの潅木が多くなってきてロープを使うのも困難です。

そうこうしているうちに、また鹿道が見つかりました。そしてその数はどんどん増えていきます。
あちこちに鹿が食べたり遊んだりしたのでしょう、ササが無く地面が露出している所や、ヌタ場、角を擦り付けた傷だらけの木々の肌などが見られるようになってきました。

目的の方向に延びる鹿道を利用して、支笏湖を目がけて降りていきます。
周囲は笹原からダケカンバの樹林へ、そして大きなミズナラやウダイカンバ、エゾマツなどが目立つようになり傾斜も緩んできました、湖岸はもうすぐです。

木々の間から湖岸道路を走る車が見えてきました。無事降りることが出来たと一安心です。
ゲストは湖岸道路に降り立つと、ひっくり返ってしましました。
良く頑張った、良かった良かったと、メンバーの顔にも笑顔がこぼれています。

今回の紋別岳〜イチャンコッペ山へのスカイライン・トレッキングルートは今まで見ることの出来なかった角度と高さから支笏湖および周辺の山々を見渡せる、新鮮な感動を与えてくれるルートだと思います。
参加したメンバー全員の満足そうな顔がそれを物語っているようでした。

冬期は藪漕ぎも必要ないと思いますし、山スキーで訪れると、面白いのではないでしょうか。

 

 

 

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