徳舜瞥山(山スキー) (1309m) (道央) 2004.3.15(月)曇り
冬の徳舜瞥山を登ってみようと友人のMさんと訪れました。
大滝村にある徳舜瞥山は季節を問わず訪れる人が絶えない人気の山です。その天を衝く端正な姿・形が人を引きつけるのでしょうか。
冬季の登山ルートとしては上野ルート、大滝ルート、三階滝からホロホロ山経由ルートの3コースがあるようですが、今回は上野ルートを歩きます。
朝7時に千歳を出発し、登山口である大滝村上野の村有牧場に8時に到着、出発準備です。元気な茶色のワンちゃんが出迎えてくれました。
この日は天気予報も快晴で北海道にはお日さまマークがピカピカ並んでいましたし、通ってきた支笏湖付近も快晴で恵庭岳などの山々もくっきり青空に映えていました。
村有牧場横の登山口 |
ところが大滝村に入ると青空は多いものの、徳舜瞥山やホロホロ山には乱れ雲が襲いかかっています。そのうち晴れてくれるだろうと期待しつつ、準備完了。
出発しようとする所へ一人の男性が到着、お先にと声を掛けて歩き出します。
時間はたっぷりあるからと、Mさんを先頭にゆっくりムードで歩いていきます。しばらくは広い牧草地と境界の樹林帯を何回か横切って、東南東に延びる徳舜瞥山に通じる広い尾根を登っていきます。
緩やかな尾根をはるかに見える徳舜瞥山を目指して |
コースは昨日の日曜日に歩いた人達のトレースがしっかり残っていましたし、尾根を忠実にたどるので比較的明瞭です。
雪面は前週降った黄砂で薄黄色く染まった固く締まった雪の上に数センチメートルの新雪が乗っている状態でラッセルの必要もありません。
Mさんのペースで蕎麦談義や一緒に行っているボランティア談義に花を咲かせながら歩を進めていると、登山口で会った男性がスノーシューで追いついてきました。
足取りや雰囲気から山慣れた匂い、「なかなかやるな!」と言う風格を感じさせる人でした。軽い挨拶をして先に行ってもらいます。
お天気は晴れ間が出たと思うとまた曇り、振り返る後志方向も時々尻別岳、ルスツスキー場が見え隠れするだけで他の展望は得られません。ですが、この数日吹き荒れた風は収まって穏やかな天気です。
徳舜瞥山は頭や肩を見せたり隠したり |
登っていく尾根は木々が混んでいる所が点在しますが、全体的には疎林で幅も広く帰りのスキーが楽しめそうな斜面です。
高度を上げるにつれてハンノキやカエデがダケカンバやエゾマツ、トドマツに替わってきました、その枝から落ちた雪が固まって雪合戦の雪玉位の大きさで一面、凍りついています。
動物の足跡も比較的多くキツネ、ウサギ、テン、タヌキ、ネズミなどの足跡を沢山見ることが出来ました。特に数が少なくなっていると言われるイイズナの小さく可愛い足跡を見つけられたのはラッキーでした。
この所の湿った雪のせいでしょうか、木々の枝に雪の塊が大きく付いて重そうに垂れていますし、トドマツなどは樹氷のようになっているのが幾つもありました。
トドマツの群落 |
約2時間歩いた所で、森林限界に近くなって徳舜瞥山の山頂やこれから進む肩がハッキリ見えてきました。南にはオロフレ山が雲の間から見え隠れしています。
思ったより斜面に雪が付いていないような感じです。この数日の風で吹き飛ばされたのでしょうか。先行している男性が斜面の下半分でスノーシューからアイゼンに履き替えているのが見えます。
軽い行動食を食べながら、どうするか考えます。私はスキーアイゼンを付けて、Mさんは軽アイゼンを付けて進むことに。
山頂への斜面 |
しばらくはスキーアイゼンが気持ち良く効きましたが、次第にガリガリ斜面になってきて歯が立たないようになってきました。Mさんの軽アイゼンも効かなくなっているようで、「これは、ヤバイなー」と言っています。
先程の男性は肩を超えて進んでいきました。
次第にガリガリのハイマツ混じりの斜面に |
「Mさん、山は逃げない。今日は此処までにしよう!」「そうだね、滑ったらただ事ではすまないよ」と、撤退を決心です。帰ってからGPSのトラックログをC'Kしたら1178m地点でした。
Mさんが慎重に降りていきます。私も続きますがスキーアイゼンに慣れていないためか手間取ります。面倒くさいと少し平らな所でスキーアイゼンとシールを外し慎重に、でもビビらないよう思い切って滑り降ります。
先程アイゼンを付けた地点まで戻って、無事を確認し下山準備をしていると、先行していた男性が降りてきました。聞くと、肩を過ぎてしばらく行ったが危険と判断して降りてきたとのこと。
お互いの無事と判断の正しさを称賛し合ったというか、慰めあって、しばし歓談です。
私達はスキーですからお先にと、ザックを背負うと男性が「HYMLの方ですか?」私のザックに付けているHYMLのシールに気付いたのでしょう。
何とその方もHYMLの会員だったのです。奇遇なこともあるものだと改めて御挨拶です。同じメーリングリストのメンバーだと解ると急に旧知の仲のようになれるのも嬉しいものです。
再会を期して、下山開始です。所々に木々の密な所があるものの、斜面は広く斜度も適当で滑りやすいですし、雪も固雪の上に新雪がうっすら積もっている良いコンディションで、二人で歓声を上げながら気持ち良く楽しく滑りました。
開けた気持ち良い斜面を |
登山口に帰り着いたのが11:30、装具を仕舞い昼食を食べていると、朝出迎えてくれたワンちゃんが走り寄ってきます。小太りで元気いっぱい、私達の側を離れようとしません。持ってきたチクワを見せると頂戴とばかり飛びついてきます。このワンちゃん、登山者からのおすそ分けでこんなに元気で太っているのかも知れません。結局、チクワ1本とおにぎり1個をお召し上がりになりました。
出迎えてくれたワン君 |
スキーで下っている間に、登ってくる人達10人ほどに出あいました。やはり人気の山なのですね。それと予報が快晴だったのも影響したのかも知れません。
でも、3月中旬なのにガリガリ氷で登れないとは考えてもいませんでした。今年だけの現象であって欲しいのですが、地球温暖化の兆しが現実のものとして現れ始めているような気がしてなりません。
地球からしっぺ返しを受けないよう、環境問題について真剣に取り組むことを一人一人のレベルで考えていく必要がありそうです。