アポイ岳(811m) 日高   2004.5.27(木) (晴れ)


5.27(木)
アポイ公園 0500
3合目 0530
五合目小屋 0600
馬の背 0715
アポイ岳 0800
吉田岳 0900
アポイ岳 0940
幌満分岐 1020
五合目小屋 1100
アポイ公園 1200
御存知の通り、アポイ岳は花の名山としてその名を馳せています。
今年の花は全道的に1〜2週間遅れているとの情報を得て、5月下旬に訪れてみました。

訪れた印象としては、盗掘防止やマナーの普及などを含めて大変よく整備されていて、関係者の皆さんの並々ならぬ努力の跡が伺え、支笏湖パークボランティアの私としても大変参考になりました。
しっかり手入れをし保護した結果、珍しいと言われる花達が登山道のあちこちで普通に見られるようになれば、誰も持っていかないと言う考え方で、ゴミを捨てられても捨てられてもキレイにしていれば何時かは捨てられなくなると言う行動に相通じるものであると感じました。

いくら平日とは言えこの時期のアポイ岳には多くの人達が訪れるに違いないと、早朝登山口を出発出来るように前日はアポイ公園で車中泊です。

朝4時に起きて出発準備をしていると、山口県からこれまで6回来ているという御夫婦が近寄ってきて、ヒダカソウが咲いている場所を教えて欲しいと話しかけてきました。
隠すつもりはありませんが、私達も教えて欲しいぐらいです。お互い出会えたら良いですねとエールを交換して出発しました。
一つの花に出合うためだけに、遠くからわざわざ何回も出掛けてくるその執念とも言える行動力には正直言って驚きました。
この日、私達は出会えませんでしたが、彼らはどうだったのでしょうか。

普段でも山歩きの時に私達は余り時間を気にしませんが、今回のアポイ岳は花を見るのが目的ですから、時間を気にせず気が済むまでゆっくり時間をかけても急かさないという約束です。
朝5時の出発はこの日2番目です。
まだ薄暗い感じの道を進んで小さな沢を渡る所に靴ブラシが吊るしてあり、外来種子を持ち込まないよう協力下さいと言う看板。なるほどと感心してしまいます。

登山道の沢筋を中心にオオサクラソウが淡いピンクをちらばめています。小さな湿地もあり、ゼンマイも大きく育っていました。
キタゴヨウマツ、エゾマツ、ミヤマハンノキなどの樹林の道には所々、休憩所が作られていて多様な来訪者のことが考えられているようです。


所々に備えてある、休憩所

五合目の休憩小屋までに、オオサクラソウの他、ツマトリソウ、キジムシロ、タチツボスミレなどが出迎えてくれています。

五合目の休憩小屋からは目指すアポイの山頂や馬の背からの稜線が見えていて、花達との出合が楽しみです。
残念なのは、小屋の裏側などにティッシュが散乱していた事です。せめてティシュは持ち帰ってもらえないものでしょうか。皆さん花好きのキレイ好きなのですから・・・。


五合目からのアポイ岳

五合目からは森林限界となって、見晴らしの良い、岩が多いかなり急な斜面を登るようになります。
この辺りからアポイアズマギクが目立つようになり、アポイキンバイ、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、アポイハハコ、チングルマ、カラマツソウなどが姿を見せてきました。
カミさんがキレイ、カワイイと大はしゃぎしています。
振り返るとやや霞んでいましたが、静内の海岸や襟裳岬などがほのぼのとした感じで見えています。


6合目付近から静内方面

馬の背に着くと、アポイ岳への稜線がしっかり見えています。思いの外、岩のゴツゴツした鋭い山体です。
これらがカンラン岩と言うのでしょうか、一見茶色に見えますが登山道の踏まれている所では緑色や深緑色の混ざった美しい色模様をしています。


馬の背からアポイ岳

馬の背からが花の名所という事で、一つ一つ岩の根元や陰をも見逃さないように探しながら登っていきます。
コザクラのような花が出て来ました。良く解らないので図鑑を出してC'K、ユキワリコザクラ(サマニユキワリ)でした。
紫のスミレが沢山咲いています。スミレというと種類が多いので一まとめにスミレと呼んでいたツケでしょう、図鑑を見ても良く解りません。多分、アイヌタチツボスミレかアポイタチツボスミレではないかと思いました。

そんなこんなをしている内に、山頂です。面白い事にこの山は頂上周辺だけがダケカンバに覆われています。枝越しに何とか景色が見られますが、葉が茂ってしまうと期待出来ないでしょう。


アポイ岳山頂

ここまでに見た花達の一部

アポイ岳山頂からは、隣の吉田岳に向かいます。
高度差5・60mほど下ると気持ちの良い稜線歩き、正面に吉田岳やピンネシリを眺めながら点々と続く御花畑を歩きます。
道には所々ハイマツが覆い被っていますが、歩きにくいほどではありません。でもここら辺はダニの本場、気にするだけで痒くなってくるようです。


吉田岳へ

ヒダカイワザクラやエゾキスミレが一面に咲き誇っていました。
岩に張り付いているように咲いている姿は可憐でほほ笑ましく、何とも可愛らしく感じられます。
ヒダカソウは恥ずかしいのか姿を見せてくれません。少し遅かったのでしょうか、でも葉すら見つけられませんでした。

吉田岳に到着です。ピンネシリが存在をアッピールしています。
そして煙っているのですが、ピンネシリの右奥に楽古岳の二等辺三角形の山容が望められました。
カミさんの印象度、昨年NO.1の山とあって、感激も一入のようです。


吉田岳からのピンネシリ

少しゆっくり休んで、ゼリーや大福、バナナをお腹に入れ、エネルギー補給。
帰り道、新たな花達に出会えるよう気分一新です。

帰路はアポイ岳まで戻り、幌満の御花畑を経由して戻ります。
ハイマツに混じってミネザクラがまだ美しく咲いています。
戻ったアポイ岳山頂には誰も居ません。この時期のアポイ岳なのに今日はまだ誰にも行き交わず、一寸不思議な感じがします。

アポイ岳から幌満分岐まではかなり急な下り坂、正面に見える襟裳岬や右手にあるはずの様似山道の話をしながら下っていきます。
道の両わきの草むらにはフデリンドウが沢山咲いていました。

幌満の御花畑にはチングルマが満開、その中にヒダカソウは無いかと目を凝らしますが、見つけられませんでした。
逢いたい、逢いたいと思っていれば、何時かは出会えるだろうと今日は諦める事に。

幌満分岐から馬の背の下へアポイ岳をトラバースする道にはオオサクラソウが点々と咲いています。
ここを歩いている時、今日初めての人達とすれ違いました。30人と20人位の団体さん、この後かなりの人達と出合いました。やはり平日といえども花の時期、アポイ岳には訪れる人が多いようです。

馬の背で往路に合流し、その後も花達を愛でつつ、往路を引き返しました。

帰路に出会った花達の一部

多くの花達に出会えた、満足のアポイ岳でした。
花達だけでなく、このアポイ岳を愛し、大事にしようとしている人達の熱意を感じた気持ちの良い山行でした。
評論家のように批判する事は簡単ですが、色々ある意見を乗り越えて、実行していくのは大変な事です。
アポイ岳で活動している方々の行動力と実行力を見習って行こうと感じた山行でもありました。

 

 

 

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