室蘭岳裏沢(911m) (道央)   2004.6.5(土) 曇り


6.5(土)
入渓地点 0615
ゴーロ 0730
雪渓 0850
稜線出合 0925
山頂 1005
山頂 1130
懸垂訓練 1215
〜1255
林道出合 1350
林道ゲート 1415
室蘭岳は南側のだんぱらスキー場からだと市民の手軽なファミリー登山の場として親しまれています。
ですが、裏沢と呼ばれる北側は多くのバリエーションルートを持つ沢コースとして知る人ぞ知る山なのだそうです。
勿論私は知りませんでしたが・・・。

今回は私が入っているHYML(北海道、山、メーリングリスト)のメンバー達と室蘭岳裏沢の内、初心者でも挑戦することが可能な左股沢から登り山頂を経由して滝沢を降りるというコースで一巡してきました。

メンバーは沢登り第一人者のGanさん、KT御夫妻、YHさん、地元のNKさん、YUさん、そして私の7人です。
Ganさんは御自身で沢を楽しむのは勿論ですが、年に何回も会員のレベルに応じた沢登りを計画し、沢登りの普及、教育、レベルアップに熱心に取り組んでいる方です。

今回は沢初級者対象の今年第1回目のいわば講習会です。
これまで沢歩きといえば、漁川しか歩いたことのない私にとって、どんな所に連れていってもらえるのか、楽しみ半分、緊張半分で行ってきました。

なお、今回私のカメラが不調で写真を撮れなかった為、このページの写真はKTさんとNKさんがお撮りになった映像を拝借して作成してあります。

早朝0430に支笏湖で集合し、まずは登別市鉱山を経て室蘭岳北側に入っていきます。入渓地点は川又温泉のすぐ手前です。
雪渓が残っていることを考えてアイゼンとピッケルも携行し、沢支度を整えます。


しっかり準備、いざ出陣

川に入ると川幅も広く明るい感じ、ほんの10分も行くと白い岩盤に流れが美しい場所が早速現れ、否が応でも美しい沢への期待が高まります。


美しい流れが続く

でも残念ながら、この美しい沢景色は長続きせず30分もするとゴロゴロした石の続く薄暗い感じに変わっていきます。
それでも周囲の新緑はみずみずしく奇麗で思わず見上げてしまうほどです。


新緑に囲まれ、しばし談笑

やがて滝が出てくるようになりました。大きさもマチマチで、初心者の私達でも問題なく直登できるものから、Ganさんに出してもらったロープを頼りによじ登るものまであります。
いつもだったら嫌になる濡れることも気になりません。
普通の山道と違い、変化が大きいのが沢歩きの楽しさなのでしょう。その緊張からか、疲れも感じないほどです。


何とか自力でクリアーした滝

やがてゴーロと呼ばれている所へ、ここから室蘭岳裏沢は数々のバリエーションルートに分かれているのだそうです。
私達は左の左股沢へ入っていきます。

沢は斜度を増して両手両足総動員、そんな時誰かが「オッ! ウド畑だ!」見ると左岸の斜面一面にウドが出ています。
リーダーGanさんの了解をもらってと言うより指示で、ウド採りです。
先程ロープを出してもらった所より急なのに、皆さん平気の平左で動き回り、あっという間に何十本の束が・・・。

その後も「ネギだ!」と行者ニンニクを見つけた時も同様で、僅かな時間で袋に幾つも頂きました。
ウドの束をザックからはみ出させ、ネギの香りをまき散らしながらさらに進むと雪渓が出て来ました。そんなに大きいとは感じませんでしたが、安全第一とアイゼンを付けピッケルを出して慎重に進みます。


安全に安全に、雪渓を慎重に登る

雪渓の末端付近を登っている時「バリ、バサ・バーン」と言う音、何事かと振り返るとYUさんが雪渓を踏み抜いて落ちてしまいました。
落ちたといっても幸い腰ぐらいの高さでしたので何事もありませんでしたが、やはり注意しなければと思った出来事でした。

ルートは左股沢の上部から北尾根に上がるのですが、これがとてつもない草付き土の急斜面、ロープが付けてあり思わず頼ってしまうほどのキツイ斜面でした。
ようやく北尾根に這い上がり、もう間も無く頂上と思う尾根筋は薮漕ぎをしながらの頑張りを求められました。
Ganさんに言わせれば、こんなのは薮漕ぎの内に入らないようですが、慣れていない私にとってはかなり辛いもので、若い人達との体力差を痛切に感じさせらた場面でもありました。

どうやら無事山頂に到着です。3月に訪れた時の記憶より山頂に設置してある鐘が高く思われ、立派な山頂標識には記憶もありません。3月の時は雪で標識は隠れていたのでしょう。


山頂で記念撮影

まだ時間は10時ですが早速、大昼食会の始まりです。皆さん工夫して冷え冷えのまま担ぎ上げたビールで乾杯、ワインありウィスキーあり酔っぱらってしまうのではと心配になるほどです。
メインディッシュにとGanさんが手配してくれていた山菜の天ぷらを作ろうとすると、頼まれていたNKさんが何と油と天ぷら粉を忘れてきたのに気付き真っ青です。
「わざと忘れてきたんじゃないの?」などと冗談が飛び交い、皆さん大笑いです。急遽、お浸しに姿を変えたギョウジャニンニクはこれまた大変美味しいものでした。
ちなみにNKさんは地元室蘭で美味しいと評判のラーメン店「なかよし」のオーナーさん、特製のチャーシューや辛みトウガラシ調味料は絶品でした。
だんぱらスキー場から登ってきた人達がヘルメットやピッケルを持ち、大宴会を催している私達を何処からきたんだという風に見ています。


大昼食会の始まり

1時間半に及んだ底抜けに楽しい昼食会を終えて、後半の沢下りに移ります。
室蘭岳からカムイヌプリへの縦走路をコルまで降りて北側の滝沢へ入っていきます。下り口は薮漕ぎこそありませんが、スゴイ急斜面でロープが設置されていなければ恐いような感じでした。


カムイヌプリのコルからの室蘭岳

滝沢は全般に左股沢より優しい感じで、苔に覆われとても美しい沢で、カミさんも連れてきてあげたい所です。

沢下りの途中で、懸垂下降とヘツリの臨時講習会。
まずは7〜10mほどの滝で懸垂下降の練習、最初は皆さんへっぴり腰ならぬ恐る恐るの感じでしたが、2度目3度目となると格好もそれなりになってスムースです。
それでも頭で考えると何でもないロープの通し方が実際にやってみると反対になったりで、練習と鞍数が何事にも必要だと感じました。


リラックスと言われても・・・

次は小さな滝つぼでヘツリの訓練。まずはGanさんがお手本を示し、次々に挑戦です。何人かの人はあと1歩という所で水の中へ、中でもKTさん奥様は滝つぼ見学特別ツアーに参加されたようです。

このような訓練もリーダーが居るからこそ出来ることで、何時も自分の技量内で個人的山行に終始している私にとって、とても刺激的な事でした。

沢は後半も苔に覆われた優雅な滝や滑が連続し、疲れた体を癒してくれるようでしたが気を抜くと滑って転んだりとしっぺ返しを受けてしまいます。


苔の階段滝などを楽しみつつ

全員無事に下山することが出来ました。皆さん充実した満足げな顔をしています。
とても一人では来ることも出来なかった沢を歩くことが出来ました。計画してくれたGanさんに感謝です。
沢歩きは整備された山道を歩くのとは違い、色々な危険要素を持っていて、周到な準備と的確な判断、大胆な行動力など必要とされる力が多くあると思います。
ですがそれに勝るほどの変化に富んだ行程と水の美しさが人を引きつけるのでしょう。
これからも機会を見て、沢歩きの挑戦し、その美しさを楽しんでいきたいと思いました。

入渓地点周辺を清掃して、全員で白老の温泉に入って体の手入れを行って帰路につきました。いや〜、楽しかった!

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