定山渓天狗岳(1145m) (道央) 2004.7.14(水) 晴れ
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定山渓天狗岳は独特の凛々しく鋭い岩峰が何処からでも目立ち、登山者の登頂意欲をかき立てていますし、花の名山としても名を馳せています。
私もいつかは登りたいと思っていたのですが、近場でいつでも登れると言う意識があり、何となくこれまで未登頂でした。 2004年7月の北海道は本州の梅雨がやって来たように、ぐずついた天気が続いていました。 初めての山ですから山頂からの展望や花々との出合も楽しみです。 定山渓から豊羽鉱山へ向かい、途中の神居橋から登山口に行こうとすると、工事用車両の出入りの為登山者は白井二股へ回るようにとの指示看板。 |
可愛らしい天狗小屋 |
白井二股の天狗小屋から白井川北側に付けられた林道を登山口へ歩きます。水量豊かな清らかな水の流れと道端に咲くキツリフネやムラサキケマン、クガイソウ、アマニュウなどの花々を楽しみつつ歩くこと30分で定山渓天狗岳の登山口。
登山道は熊の沢という沢に沿って緩やかに登っていきます。鬱蒼とした深い落葉樹の森はこの所の雨のせいか、湿度が高く道も濡れていて虫達だけが元気に飛び回っています。
30分ほど行くと小さな滝が現れ、一瞬その滝を登っていくのかと思いましたが、良く見ると道は左岸側の岩混じりの壁を高巻いていきます。
小さな滝の左岸を高巻く |
やがて熊の沢の本流を左に分け、支流沿いに進んでいきます。山道というより沢歩きの雰囲気です。何度も徒渉や高巻きを繰返していきます。
しばらくすると右前方に大きな岩壁が現れ、岩山の定山渓天狗岳に登っているんだという気分になってきます。
沢の水量も次第に少なくなり、所々小さな滝が現れます。
所々に小さな滝が |
標高700m位から水流は無くなり、傾斜がグンと急になってきました。中途半端な傾斜ではありません。一直線にグングン高度を上げていきます。
ここは日高かと思ってしまうほどです。汗が噴き出してきます。たまらず一息、そして水です。
こんな時、可憐な花達が励ましてくれれば気休めとなって頑張れるのですが、今の季節、春の花は終わりで夏の花はまだなのでしょう、励ましてくれる花はほとんどありません。
所々にオオバミゾホホズキやクルマユリなどが咲いているぐらいでした。
一時間ぐらいの辛い登りに絶えると山頂に続く岩稜の基部に到着、タカネナデシコやチシマフウロ、エゾシオガマ、エゾノハナシノブ、ミソガワソウなどのお花畑になっていて、見晴らしも良くなり定天の第二峰が望めるようになってきました。
定天第二峰を望む |
ここから定天の本峰を北から巻くように急斜面を詰めていきます。
やがてロープが二本フィクスされたルンゼと言われる所をよじ登ります。出来る限りロープに頼らないようしましたが、何度かはしっかりお世話になりました。
ルンゼ |
ルンゼを越せば、山頂へは一頑張りです。急に傾斜が緩んだと思ったらそこが山頂でした。
札幌湖の水の青さが目に飛び込んできました。周囲の山々はやや霞んでいますが、これまで展望が利かなかっただけあって新鮮に見えます。
山頂から札幌湖と神威岳、烏帽子岳 |
誰も居ない静かな山頂です。
周囲の景色を眺めつつ、一本調子な急坂が続き、生真面目ささえ感じられた定山渓天狗岳を登った感動に浸ります。
札幌岳、狭薄岳方面 |
クーラーバッグに入れてきた、冷えたトマトやグレープフルーツが幸せ感を増幅させてくれるようです。
無意根山と羊蹄山 |
飛び回っていた虫達が集ってきました、耳元での羽音が耳障りです。
可愛そうとも思いましたが、たまりかねてプシュー・ブシュー!と虫よけスプレーの連続攻撃です。
余市岳 |
小一時間、一人で静か過ぎる山頂での時間を満喫し下山することに。
山頂付近には、ハイオトギリやイブキトラノオ、タカネニガナ、アザミ、アサツキ、オニシモツケ、モイワシャジンなどが咲いていて、ミツバチが蜜を集めに忙しく飛び回っていました。
下山といっても、スゴイ急坂ですから気が抜けません。
ストックを一杯に延ばし、バランスをとりながら慎重に降りていきますが、それでも何度か滑って尻餅を付いてしまいました。
途中の滝の高巻き部分では、足を滑らせ3m位滑り落ちて、肘を嫌というほど打ってしばらくストックも使えない状態でした。疲れで集中力が落ちていたのだと思います、疲れてきたと感じた時ほど注意しなくてはいけませんね。
傾斜が緩んでから登山口まで、そして白井二股の駐車場まではとても長く感じました。
念願だった定山渓天狗岳に登って、この山の魅力が良く分かりました。
札幌近郊にあって、骨のある山と言いましょうか、辛いけれども登りがいのある山と感じました。
今の時期、花はやや少なかったものの花の時期には登る辛さを補って余りある美しさなのでしょう。
春や秋にも訪れて、夫々の魅力を感じてみたい良い山だと、しみじみ思いました。