十勝岳(2077m) 美瑛岳(2052m) (十勝)  2004.8.17(火) 曇り・晴れ



十勝岳山頂から雲上に浮かぶ美瑛岳とトムラウシ山

8.17(火)
望岳台 0515
避難小屋 0615
昭和噴火口 0715
十勝岳山頂 0810
十勝岳山頂 0840
美瑛岳 1110
ポンピ沢 1220
雲の平 1300
望岳台 1405
十勝岳は御存知のように十勝連峰の主峰なのですが、そのことより噴火による大災害を繰り返してきた恐ろしい活火山として知られています。
現在も噴煙を大きく立ち上らせてその存在を主張しているようです。

私達は過去3回、十勝岳登山に挑んだのですが予報は快晴にも関わらず何故か雨や雪になり、諦めたのでした。

天気予報によると北海道全域にピカピカマーク一色の8.17(火)、4度目の正直で訪れて見ました。
前日の夕方自宅のある千歳を出て十勝岳温泉へ、十勝岳温泉からは星空が瞬き、富良野市街の明かりが美しく見えていて明日の晴天が約束されているようでした。

8.17(火)0400に起きてビックリです。
なんと地面がびっしょり濡れています。雲も低く山は雲に覆われ見ることも出来ません。
何と言うことだ。十勝岳とは本当に相性が悪いのだなと半分諦めの境地です。

一縷の希望を捨てず、簡単な朝食を摂り登山口の望岳台へ向かいました。
望岳台へ向かう途中も雲は低く、見通しも良くありません。でも、北の空が明るく青空も見え始めています。

望岳台に着くと、20人ぐらいの人達が登山準備をしています。
空模様は大雪の旭岳が見えていますが十勝連峰は雲の中です。十勝岳避難小屋は雲すれすれで見えています。

天候が回復してくれることを祈って、私達も登ることにしました。


雲は低く、沸き上ってきているが・・・
(望岳台〜十勝岳避難小屋)

火山礫の登山道の側のオンタデやエゾオヤマノリンドウは水滴を一杯付けて可憐に咲いています。
涼しく湿度もたっぷりで呼吸が楽、歩き易いぐらいです。
十勝岳避難小屋を過ぎて間も無く雲の中に入り視界が利かない中、火山礫の急な道を淡々と登っていきます。

火山ガスの刺激臭に時折、咽ぶようになり火口が近くなってきたことを感じます。
視界は相変らずですが、時折雲が流れ、切れ間から周囲の一部が見えるようになってきました。
太陽さん、頑張って!と祈るような気持です。


雲の切れ間から美瑛岳が・・・

斜度が極端に緩くなってきました。
グラウンド火口、スリバチ火口を両側に見る部分を歩いているはずですが、良く見えません。
時折見える火口の荒々しい落ち込んだ岩肌が恐ろしい表情をしています。

やがて、傾斜が再び急になってきました。山頂への登りのようです。
少し明るくなって、ぼんやり山頂らしき所が見えてきました。


山頂直下の登り

登り始めて約3時間、山頂に着きました。

ラッキー! 丁度雲が切れて、美しい青空です。
周囲の山々が山頂部を雲の上に出しています。

北東方向には美瑛岳の山頂部の稜線、その右に双耳峰のトムラウシ山、さらにその右には石狩連峰、さらに右には阿寒の山々などが姿を見せています。
南から南西方向には富良野岳への稜線、下ホロカメットク、遠くには日高の山々がシルエットになって浮かんでいました。


富良野岳への稜線上の山々と遠くは日高の山々

それまでカッパを着てジッと雲が切れるのを待っていた人達が歓声を上げています。
雲が再び懸からない内に皆さん写真撮影です。
私達も記念に一枚、撮って頂きました。


十勝岳山頂にて

雲の流れは早く、腰を下ろしてゼリーやトマトを食べている間に再び雲に覆われてしまいました。

天が一瞬の幸せを授けて下さったような感じでした。

私達の当初の計画は十勝岳から美瑛岳を巡って望岳台へ戻るものです。
ですが、ガイドブックなどによると十勝岳から美瑛岳の間は目印が少なく、迷いやすいので視界不良の時は止めるべしとあります。

さあ、どうするか? 一応GPSにルートは入れてきてあります。地図もしっかり用意してきました。
天候も不安定ながら時々は雲が切れ、周囲を確認することは出来そうです。

イザとなればGPSのトラックバック機能を使って、戻ることが出来る。
行って見よう! と決心して十勝岳山頂を後にしました。

歩く稜線はだだっ広い火山礫の変化のない道で、しかも視界は20から30mほど。
点々と設置してある標識を探し確認しながらの歩きです。

この間、とても間違えやすい個所がありましたので、ここに記載しておきます。視界不良の時は特に注意して下さい。
それは十勝岳の北東の2008mPから1824mPに向かう途中、稜線通りに緩やかに登って行く道とそこを右に巻きながら行く道に分かれる所があります。
稜線通りに行けば問題ないのですが、巻き道を少し行くと東に降る明瞭な踏み跡があり、普通に歩けば何の疑問も持たずこの踏み跡に入っていくような所です。(この踏み跡は下メトック川方向に降りる支稜に続いているようです。)
私達がここに指しかかった時、下から3人の男性が上がってきて「様子がおかしい、ここは違うようだ」と言います。
私がGPSでC'Kすると、正しいルートは真直ぐ北東に向かうはずです。その踏み跡は東に向かっています。
ですが真直ぐ北東方向は崩れたガレ場となっていて、道とは思えない状態です。

霧の中、しばらく手分けして周囲を探すと、真直ぐ北東方向に人為的に突き立てられた細い棒があるのを見つけ、ガレ場を注意しながら北東に進んで100mほどで稜線沿いに来た踏み跡にぶつかりました。

その先は標識がしっかり付いていましたので、迷うことはありませんでしたが、やはり注意が必要な所であることは間違いないようです。


雲の切れ間から見えた美瑛岳への稜線

やがて道は広い稜線から左側が切れ落ちた美瑛岳に通じる稜線伝いになります。
この稜線沿いはお花畑になっていて、イワギキョウとアキノキリンソウ、チングルマの穂が一面を埋め尽くしていました。
また花は終わっていますが、メアカンキンバイ、キバナシャクナゲ、ツガザクラなども沢山あり、花の時期の素晴らしさが想像される所です。

やがて美瑛岳山頂です。
ここからの十勝岳の雄姿を期待していたのですが、雲の中。
じっとしていると寒いぐらいで、シャツを通して風が冷たく防寒具を着たいぐらいでした。
山頂標識の証拠写真を撮り、そそくさと下山です。

美瑛岳からポンピ沢までの下りは急勾配ですし、道が掘れていて歩きにくい道です。ですが、大部分がお花畑になっていて季節外れのイワウメやメアカンキンバイと今が盛りのエゾオヤマノリンドウなどが咲いていました。

ポンピ沢付近まで降りてくると日が射して暑くなってきました。
山頂付近にはうっすら雲が掛かっていますが、山の全体像がハッキリしてきました。

ポンピ沢の冷たい水で顔を洗い、深い函状になった沢を固定してある鎖とロープに助けられて渡ります。


慎重に、慎重にね

ここからしばらくは雲の平と呼ばれる山腹のトラバース。
花の季節なら、イソツツジやメアカンキンバイ、ツガザクラなどが沢山楽しめる楽園です。今はエゾオヤマノリンドウ、ミヤマリンドウ、オンタデなどが見頃でした。

振り返ると美瑛岳が姿を現していました。
又、来いよ! とでも言っているかのようでした。


姿を見せてくれた美瑛岳(右)と美瑛富士

十勝岳、美瑛岳の余韻に浸りながら十勝岳避難小屋付近まで戻ってくると、十勝岳往復の人達が列を成して歩いているのが見えます。
やはり人気の山なのですね。
でも、それにしては心変わりの激しい、気難し屋の山のような気もします。

私達も多くの登山者達の列に混じって、望岳台まで無事帰ってきました。
そこには朝から見せたことも無かった十勝岳の美しい姿がありました。


望岳台から十勝岳

4度目の挑戦で登ることが出来た十勝岳。
雲の為、大展望を得ることは出来ませんでしたが、楽しめました。

花の時期に富良野岳と共に再び訪れて見たいと思います。
でも、次に訪れる時は晴れて欲しいな。

十勝岳、美瑛岳で出会った花達の一部

 

 

 

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