野塚岳 (1353m) オムシャヌプリ (1379m) (日高)   2004.9.23(木) 晴れ



9.23(木)
野塚トンネル入り口 0600
740m三股 0700
920m二股 0730
1140m源頭 0840
野塚岳山頂 0920
野塚岳山頂 1000
1232mP 1100
オムシャヌプリ山頂 1220
オヌシャヌプリ山頂 1345
コル 1400
翠明橋 1615
野塚岳はその山腹を国道(天馬街道)の野塚トンネルが貫いていて、胆振日高と十勝を結ぶ要所に位置する山でもあります。

今回は私が所属しているHYML(北海道・山・メーリングリスト)会員で沢登の大ベテランであるGANさんから野塚岳の沢登にお誘いを受け、野塚岳初挑戦組の5名で同行させて頂くことにしました。

予定ルートは野塚トンネルの浦河側入り口からニオベツ川南面直登沢を遡って野塚岳へ登り、稜線を経てオムシャヌプリへ、そして上二股沢を降りて野塚トンネル手前の翠明橋に至る周回ルートです。

南日高の沢は初めてです。
南日高というと何か難しく危険な匂いがしてくる感じですが、大ベテランのアドバイスを受けながらこれまでとは趣の違う沢の素晴らしさを堪能しようと期待は高まります。

前日の22日は終日雨で、23日の予報も余り良くありません。
山行の中止も危惧されましたが、夕刻GANさんから「もしかしたら温泉巡りになるかも」という連絡が入り、予定通り出発です。

早朝0500、野塚トンネル手前、翠明橋にあるトイレを備えたパーキングエリアで目を覚ますと、晴れています。
早速、入渓準備を整えながら朝食をほお張り、野塚トンネルへ移動です。

コンクリートの護岸を懸垂降下で河原に下り立ち、入渓します。
ここから野塚岳山頂に続く沢がその源頭までほぼ一直線に見渡せます。
初めは平凡な河原歩きですが、水は澄んでいて奇麗、9月下旬の早朝で冷たいのではと思っていたのですが、それ程でもありません。

約1時間、700mを超えると左右の沢から滝が流れ込んできて沢登の雰囲気が強くなってきました。


740m三股からは野塚岳に突き上げるニオベツ川南面直登沢が数々の滝を伴って流れ落ちているのを目の辺りにすることが出来、緊張感と期待感が増してきます。


数々の滝の流れが・・・

いよいよ、滝が現れました。大小様々の滝が連続して現れ始め、次々に乗り越えていきます。
緊張からか疲れも感じません。日差しを受けて、浴びる水の冷たさが気持ち良いぐらいです。
岩も滑ることも無く、手掛かり足がかりも沢山あり、私でも問題なく登っていけます。

滑滝、樋状の滝、5から10mほどの滝が次々に出て来て、本当に美しく楽しい沢で皆さん心から楽しんでいるようです。


楽しさの中で一寸、休憩

900mを越えると、滝が連続しているというより、全て滝として流れ落ちているという感じになってきました。
凄い迫力です。


(fujimotoさん撮影)

水しぶきを浴びながら(fujimotoさん撮影)

そんな滝の中を濡れることを気にもせず、流れを浴びながら手掛かり足掛りだけに注意を払い登っていきました。


源頭まで続く滝の流れ

そんな中、GANさんが「ここはロープを出そう」と言う所が一ヶ所あり、皆さん確保してもらいながら自分でルートを考え登ります。
草付きを登る人あり、流れの横を登る人、滝の真ん中を登る人、夫々に自分に挑戦した一時でありました。


確保してもらい、自分なりにチャレンジ

1120mで源頭となり、心底楽しかったニオベツ川の沢ともお別れです。
ここで昼食用の水を汲み、ダケカンバの小木の中の踏み跡を山頂目指して登っていきます。

ここまでは沢のことしか頭にありませんでしたが、周囲の景色が目に入ってきました。
振り返ると、沢の遥か下にパーキングエリアが見えています。オムシャヌプリや北側のトヨニ岳などがその姿を次第に大きくしています。

出発して3時間20分、野塚岳山頂に着きました。
皆さん、満足感と達成感でニコニコしながら握手をしています。
お天気も予想外に最高、すっきりした大展望が御褒美のようです。


野塚岳からオムシャヌプリの双子峰(右)
その後ろに十勝岳(中央奥)楽古岳(左奥)

南にはこれから歩くオムシャヌプリの双子峰がそしてその奥には十勝岳と楽古岳がドッシリと座っていますし、北側にはトヨニ岳、神威岳、遠くにカムエク、勝幌、札内岳などの日高主稜線が重々しく連なっています。


野塚岳北側に連なる、山々
中央正面はトヨニ岳

40分ほど野塚岳山頂で大休止、日差しが強く暑いぐらいです。
その間にもGANさんを中心に、山や沢談義が途切れることはありません。ワイワイガヤガヤ山好きの人にしか分からない、たわい無い楽しみなのでしょう。

次の目的地、オムシャヌプリに向かいます。
稜線歩きなのですが、所々笹やハイマツが覆いかぶさっていて歩きにくくて堪りません。踏み跡を探すのも苦労するほどです。
1232mP手前からニオベツ川に降りるエスケープルートの尾根を確認し、一旦コルまで下りオヌシャムプリへの登りに取り掛かります。


オムシャヌプリへの稜線
(fujimotoさん撮影)

この間にハイマツに足を取られ転んで岩に膝を嫌と言うほどぶつけ、しばらく動けない状態でした。でも皆さんに迷惑かける訳にはいかないとこれ以降は痛さをガマンの山歩きでした。

オムシャヌプリの登りはハイマツ漕ぎと暑さと急斜面それと膝の痛みに喘ぎ喘ぎの頑張りでした。
先頭のGANさんに遅れること3分、やっと山頂に辿り着きました。
へばった体に担ぎ上げてきたビールは元気の特効薬、たちまち皆さんの顔が笑顔に代ります。


オムシャヌプリから野塚岳など北側の主稜線

歩いてきた野塚岳の双子峰が優雅な姿を見せています。
主稜線の重畳たる山並みは何度見ても見飽きることはありません。
神威岳が優美な姿を見せています、独特の姿の1839峰も存在を主張しています。


神威岳と1839峰(右奥)

山頂で大展望を楽しみながら、GANさん御自慢のカレー・ラーメンでお昼ご飯です。
同じ釜の飯を食った仲と言いますが、一つ鍋のラーメンを食べる山仲間も同じように気心が通じ合ったような気持になります。


十勝岳と楽古岳を後ろに、昼ご飯

食事後は、昼寝をする人、写真を撮る人、コケモモなどの実を賞味する人、沢登ルートを話し合う人、コーヒーを楽しむ人、景色に見入る人と様々に1時間半をのんびりゆっくり過ごしました。


コーヒーを楽しみつつ、至福の一時

下山はオムシャヌプリのコルから上二股沢を降りていきます。
難しい所は無いのですが、ゴロゴロ岩と浮き石の多い急な沢を延々と降りていきます。
打った膝の痛みも引かない私は、軽やかに岩伝いに降りてはいけません。
慎重にゆっくり確実に降りることに専念しました。

疲れも出てきて、いい加減嫌になってきた1600時過ぎ、やっと翠明橋のパーキングエリアに帰ってきました。
皆さん、疲れもあったでしょうが素晴らしい沢を歩けた喜びと、達成感で満足そうな表情をしていました。

GANさんのお陰で、今までに経験したことの無いような美しく、緊張の連続する気持ち良い沢を歩くことが出来ました。
今後も出来る限りこのような経験を積み重ね、一人でこのような所を歩けるようになりたいものだと思い始めました。

野塚岳GPSトラック
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