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横山中岳は日高三石町の北約10kmに位置している横山三山の一峰で、横山の北に位置するピセナイ山と並び、「日高の展望台」として知られています。 晩秋の晴天の一日、南日高の大展望を見てみようと、訪れてみました。 |
登山口へは、国道235号線で日高三石駅を過ぎてすぐの三石川沿いの道に左折し、富沢方面に入ります。
左折して約4km、道道静内・浦河線と交差する信号機のある交差点を左折、さらに約4km進むと右側に黄色地に赤で横山中岳を書かれた楕円形の小さな標識が出ています。(古くなっていて見にくいので、注意しながら走って下さい。)
北側には横山三山が低いながらもドッシリと控えています。
横山三山、中央が中岳。中岳から右下に延びる尾根を登る。
ここを右折して、砂利道をしばらく行くと道が二股になっている所を左にとり、間も無く「荒矢橋」と言う小さな橋を渡るとすぐ、再び楕円形の横山中岳と書かれた標識が右側に出ています。
標識で右折して200m程で、牧場の閉まっているゲートに出合います。
ここに車3・4台駐車出来るスペースがあり、実質的な登山口になっています。
もちろん、トイレも何もありません。
牧場ゲート。右側に駐車スペース。
正面には目指す横山中岳、真直ぐこの轍を辿る。
身支度を整え、出発です。11月も下旬、この時期ですから山頂付近は雪があることを考慮して、足回りは山靴ではなく、スパイク長靴にしての出発です。
牧場ゲートを潜り抜け、轍を辿って牧場の中を緩やかに登って行きます。
牧場の中ですから、牧場の主達の落とし物があちこちに落ちています。注意しながら歩きましょう。
5分ほど行くと右側に「横山中岳真直ぐ」の標識、そのまま牧場の柵に沿ってさらに5分ほど登ると牧場の鉄条網にぶつかり、道はその奥へ続いています。
そこに「南日高の展望台、横山登山口」の標識が設置されていました。
登山口とカラマツ林に続く登山道
登山道は横山中岳に南から真直ぐに延びる尾根を忠実に辿っていきます。
最初はカラマツの、続いてトドマツの人工林の中を登って行きます。
人工林が途切れ、ダケカンバを中心とする雑木林の中を登るようになると、傾斜が増してきて小さいながらも日高の山を感じさせてくれるようです。
道には霜柱がビッシリと立っていて、シャリシャリと霜柱を踏みながらキツイ急坂をゆっくりのぼっていきます。
霜柱が崩れている所が点々とにあります。鹿の足跡でした。
急坂を一頑張りすると、急に傾斜が緩み、一息入れるのに丁度良い場所が、5合目の極楽平です。
5合目の極楽平、奥に目指す横山中岳が。
極楽平からしばらくは緩やかなアップダウンを繰返しながら横山中岳に真直ぐ突き上げている尾根に取り付いていきます。
樹木の間から目指す横山中岳がハッキリ見えるようになってきました。
姿を見せた、横山中岳
道はジグを切ることもなく、真直ぐ山頂へ向かっているようで、霜柱に覆われた急坂はズルズル滑り、下りが思いやられるほどの傾斜です。
短い距離だと分かっているので余裕もありますが、そうでなければイジケテしまいそうな感じでした。
急坂を耐えて登ると、木々の間から、隣の北横山、南横山が少し高く、そして間も無くすると、同じぐらいの高さに見えてきました。
北横山の山頂付近
南横山、後ろは浦河方面
煩かった木々が薄くなり、振り返ると三石の町と悠々と広がる太平洋が光っています。
右手に白い頂きの連なりが見えるようになって、期待が高まってすぐに山頂に飛び出しました。
横山中岳山頂
北東から北西方向にかけては、ダケカンバの木々が生えていて、見晴らしを邪魔していますが、それ以外は遮るもののない大展望が広がっています。
風も無く、暖かい山頂で、贅沢な時間を独り占め。
のんびりと写真を撮りながら、山座同定です。
この秋訪れた、ペテガリ岳、野塚岳、オムシャヌプリ、大雨で途中断念した神威岳、皆しっかりクッキリ姿を見せてくれています。
横山中岳から東~南東の展望。神威岳から楽古岳
南日高三山と呼ばれる、神威岳、ソエマツ岳、ピリカヌプリがその名に恥じない美しい秀峰振りを見せています。
この秋、カミさんと一緒に訪れ、思いもかけない大雨で途中断念した神威岳、来年の夏には機嫌良く迎えてね。
南日高三山。左から神威岳、ソエマツ岳、ピリカヌプリ
長い西尾根のアップダウンが思い出されるペテガリ岳も真っ白な凛々しい姿を見せてくれました。
ペテガリ岳
ピリカヌプリの鋭く美しい姿は惹き付けられるものがありますが、あの頂きを踏むことが出来るものなのか・・・それとも憧れの存在なのか・・・。
ピリカヌプリからトヨニ岳
美しく感動した野塚岳ニオベツ川直登沢、カミさんと登った楽古岳のことなどを思い出しながら、大展望を楽しみます。
来年は十勝岳にもチャレンジしたいな。
左から、野塚岳、オムシャヌプリ岳、十勝岳、楽古岳、広尾岳
横山中岳山頂からはその他にも、木々の間から1839峰、カムエク、ピラミット峰、イドンナップなどが見られるのですが、木々が煩く、しっかりとは見られないのが残念です。
やはり、日高の展望台の称号はピセナイ山なのではないでしょうか。
南側には三石の町と太平洋がゆったりと広がっています。
山頂から登山口方向、遠くは太平洋。
小1時間も山頂でのんびりし、満足して下山です。
霜柱が溶けたグジャグジャの急坂を滑らないよう注意しながら慎重に降りていきました。この時期は山靴よりスパイク長靴のほうが有効のように感じました。
それでも、久し振りに太ももの前側が筋肉痛になってしまいました。
横山中岳、ピセナイ山には敵いませんが、手軽な感じで登れ、展望も楽しめる山だと思います。
遠望が利く日に、思い立って急に訪れられる隠し球として、心に留めておきたい山の一つになりそうです。