藻岩山 (531m) (道央)   2005.3.15(火)  晴れ



藻岩山は札幌の代名詞・シンボルとも言える山でしょう。

この山に登りたいと言う気持は私には無かったのですが、この日、カミさんが掛かり付けのクリニックの先生から勧められ狭心症の精密検査の為、藻岩山の麓にある北海道循環器病院に通院したのです。
朝8時に病院に着くとすでに多くの患者さんで一杯ですし、職員の方達が問診表への記入やら検査の説明などをてきぱきと行っていて、付き添いなぞウロチョロするだけで迷惑で邪魔と言う雰囲気です。

検査には少なくとも午前中は掛かるという説明に、それではお昼頃に迎えに来るねとカミさんに言い残し外へ出ました。
さてどうするか? 車の中に長靴とスノーシューが積んであるのを思い出し、急遽、藻岩山を歩いてみようと思い立ったのです。

登山口の一つである慈恵会病院へ行ってみます。
病院の奥にある観音寺脇の駐車場に車を停めスパイク長靴に履き替え、コンビニで買ったおにぎりや飲み物、スノーシューをザックに括りつけ、9時丁度に歩き出しました。
登山口にはトイレもあり、さすが札幌市民の憩いの山の気配です。

歩き出すとすぐに大都会の喧騒とした雰囲気は消え、静かなしっとりとした森の中。
人の手が入っていない原生林のような林が続いています。
カツラ、ミズナラ、ハルニレ、ウダイカンバ、オヒョウなどの大木が至る所にあり、とても良い落ち着いた雰囲気です。
動物も多く、エゾリスの新しい鋭い爪の足跡が沢山ついていました。


根明けも始まり、春の気配が

鬱蒼とした林の中をゆったりと登って行くとやがて右手から旭山方面から延びる尾根と出会うようになります。
振り返ると木々の間からびっしり建物が建ち並ぶ札幌の市街地が見えています。


静かな斜面には動物の足跡も

道は夏の登山道沿いに付けられているようで、100m程の間隔で観音様が安置されていました、全部で30体ほどもあったと思います。
登山道と言うより、参道と言った感じです。
私もカミさんの検査が無事終わることと、病気が大したことのないよう祈り、願いながら、一体一体、頭を下げて進んでいきました。


登山者達を見守る観音様の一つ

やがて稜線に出ると藻岩山の大きなアンテナの立つ山頂が見えてきました。
晴れた強い春の日差しに木々の陰が美しく雪に映えています。


雪面に映える木々の陰

まだ時間が早いせいか、平日のせいか、登山者は殆ど居ません。
4人の先行者を追い越し、50分ほどで山頂に到着です。
これまでの静かな雰囲気とは一転、コンクリートの立派な展望レストランやリフトが目に飛び込んできます。
まだ10時前でリフトも動いていない為、誰も居ない展望台です。


山頂から手稲山方面

良く晴れていて、360度ぐるりの展望は素晴らしいのですが、残念ながら少し霞がかかっています。


山頂からの恵庭岳

札幌市街地は勿論、周辺の山々の姿が目を引きます。
恵庭岳や樽前山が霞みながらかすかに見えていました。


紋別岳(左)とイチャンコッペ山(右)その間に樽前山

この日は暖かく、気温も札幌で8℃位まで上がったようです。
この霞も春の気配だと思えば何だか心穏やかに優しく思えるようです。


空沼岳(左)から右へ狭薄岳、札幌岳

藤野のスキー場の後ろには空沼岳から札幌岳への稜線が美しく屹立しています。


神威岳、烏帽子岳方面

目を北西に転じれば、神威岳や烏帽子岳、余市岳なども近くに見えていました。


石狩新港方面

札幌の市街地がこんなに立て込んでいるのかと思うほど建物でびっしり埋め尽くされています。


札幌駅、北大方面

石狩湾は何とか見えていましたが、増毛の山々は霞みに隠れて見ることは出来ませんでした。


豊平川方面

札幌ドーム方面、下はリフト乗り場

大都会の中にこんなに自然が豊かに残っている山がある。藻岩山に登っての正直な印象です。
少し不思議な感じがしますが、札幌の宝として守り続けて欲しいと思います。

30分ほど藻岩山からの大展望を満喫して、下山することにしました。
リフトも動き出し、観光客の人達も増えてきました。

下山中、多くの人々が登ってくるのとすれ違いました。
やはり札幌市民の憩いの山なのですね。
ですが何故かいつも私が楽しんでいる山と違うような気がします。
決定的に違うのは、出会う人々の態度と言うか雰囲気のようです。
仲間と出会って、やあやあ・こんにちわ! と言う感じはまったくありません。
公園で他人とすれ違っている感じです。ですから登る人に道を譲っても、挨拶をしない人、待っているのは当然だと言う感じの人、逆に登る人を突き飛ばすように下る人、笑顔の無い人が多いのでしょうか? 


多くの人達が訪れている

登山口に戻ると駐車場は一杯で、降りてきたらすぐに車を出せと怒ったように待っている人も居るぐらいでした。

藻岩山は札幌の市街地にありながら、落ち着いた静かな良い山だと思います。
登り50分、下り30分と手軽ですし、まさに札幌の宝なのでしょう。
でも私にとっては、ここはすでに山では無く、公園なのだろうと感じたのでした。

カミさんを迎えに戻った病院では、病人なのですから当たり前なのですが、元気が無く覇気が感じられない方が多く、健康の有り難さを身にしみて感じました。
カミさんの検査は結局、一日では終わらず、もう一回通院することになりました。
でも、今日の検査で運動が原因で狭心症の発作が引き起こされているのでは無いことが分かり、山歩きを禁止されなかったのは私達にとって嬉しいことでした。

帰路の道路は気温が上がった為、冠水している所が多く運転に気を使いました。
そんな中、歩行者がいるにもかかわらず、スピードを緩めず、中央にも寄らず、汚れた冷たい雪解け水をまき散らしている運転者が多いのに気が滅入りました。
「札幌11○509」のトラックの運ちゃん、君が水をぶちかけた小学生の一団がどんな目で君を睨んでいたか知っていますか? もし君の奥さんや子供さんが同じ目にあっても平気なのですか?

札幌などの大都会に行くと、私は人で疲れてしまいます。
都会暮らしが気性に合わないのでしょう、私にとっては田舎で静かに自然と付き合っているのが心の平静を保つ原動力となっているようです。

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