徳舜瞥山 (1309m) (道央)   2005.3.7(月)  晴れ、曇り、強風



3.7(月)
村営牧場 0750
森林限界デポ地点 0920
1271m撤退地点 1010
デポ地点 1030
デポ地点 1050
村営牧場 1105
2004年の冬にチャレンジしたのですがガリガリ氷の斜面に立ち往生して、途中撤退した徳舜瞥山。
同じ日に登って、同様に撤退したHYMLの仲間NKさんとリベンジに行きましょうと冬の徳舜瞥山を訪れました。

昨年の反省を踏まえ、二人ともピッケルと12本爪のアイゼンを準備しての山行です。

登山口である大滝村の村営牧場へ向かう途中の支笏湖周辺の山々は、晴れ渡った空に真っ白な雄姿を誇らしげに見せていました。
大滝村に近づくにつれ、雲が多くなって徳舜瞥山は雲の中です。
それより気になるのが、風! 道路脇からも風で飛ばされた雪が地吹雪のように舞っています。

なんだか、悪い予感がするな〜。

村営牧場に着くとすでにNKさんが到着しています。
「お久しぶり、よろしく。この風に去年のようなガリガリ氷だったら大変ですね〜。今日は温かく、風も無く、快晴って、天気予報は言っていたよね、まったくもう!」
挨拶と言うか戯れ言を交わしながら、出発準備です。
NKさんは山靴にスノーシュー、私は山スキーです。

昨日の日曜日に多くの人達が訪れたのでしょう、林の中にはスキーやスノーシューのトレースが縦横に走っていました。
大柄のNKさんは大股でワシワシと歩を進めています。大きなスノーシューの足跡が力強さを物語っているようです。


御一緒した豪快な人柄のNKさん

NKさんとの距離が次第に開いていきます。私もそれなりに歩いているのですが、間隔は徐々に開いていきます。
どうしようも無い体力差の現実です。
30分で50m程も距離が開いてしまった時、NKさんがそれとなく待ってくれています。気配りのNKさん、有り難う。

ふと、後ろを振り返ると羊蹄山と尻別山が親子のように並んで佇んで居ました。


浮かんでいるような羊蹄山と尻別山

お天気は回復傾向のようです。
雲に隠れていた徳舜瞥山も中腹辺りまで見えるようになってきました。
風も少しずつ弱くなってきたように感じます。
「良いぞ〜! 太陽頑張れ、風よ弱まれ!」と大合唱です。

雑木林がトドマツ主体の林に替わり、色々な形の樹氷が現れるようになると森林限界も間近かです。
昨年はテンやウサギ、キツネ、タヌキ、イイズナなど多くの動物の足跡が見られた印象があるのですが、今年はウサギの物ぐらいしか見当たりません。

やがて森林限界に出ました。
雪は昨年より明らかに多く、まだ十分スキーで登れそうです。
ですが、昨年のガリガリ氷で大変な目にあっている二人は躊躇無くアイゼンに履き替えることにしました。


森林限界から見る、徳舜瞥山

森林限界から少し行った1070m地点の一本の樹氷にスキーやスノーシューをデポし、アイゼンを装着し、ザックに括りつけてきたピッケルを手にします。

森林限界から徳舜瞥山の肩までの間はシュカブラも殆ど出来ておらず、昨年とは雲泥の差です。
逆にハイマツの落とし穴に嵌まって苦労するほどでした。
天候は完全に回復したようです。風も強いものの、なんとかなりそうな感じです。

徳舜瞥山の肩を過ぎると、状況は一変しました。
物凄い風です。
予報通り気温が上がっているのでしょう、風は切られるほど冷たくは無いのですが、吹かれるとピッケルを刺し身体を屈めて踏ん張っていないとよろけ、飛ばされそうな勢いです。
風の息の合間を縫って、一歩一歩高度を上げて行きます。

山頂が間近に迫ってきました。あと30〜40m程でしょう。何でもなければ数分で山頂という所です。

10mほど先を進んでいたNKさんが四つん這いで風と闘っていましたが、こちらを見ながら腕を振ってダメのサインを出しています。


山頂まであと30m程なのだが・・・(撤退地点で)

NKさんが慎重に私の所まで降りてきました。
「ダメだ、危ない!」

ここまで来て、と言う思いは正直ありましたが、無理をしなければならないシチュエーションでもありません。
風を少しでも避けつつ、せめて写真を撮って引き返すことにしました。


撤退地点から登ってきた森林限界方向、中央遠くに有珠山がかすかに

風が強いせいでしょうか、先程まで良く見えていた羊蹄山や有珠山が霞んでいます。



右端に羊蹄山。撤退地点から登山口方面。

オロフレ山がたおやかな姿を優雅に見せていて、私達が強風と戦っているなんて信じられない光景です。


オロフレ山方向

強風の中、慎重に下り始めます。
肩を過ぎると、途端に風が無くなったように感じました。それだけ上部の風は凄かったのです。
ホッとしつつも気を緩めずに慎重にデポ地点を目指して降下していきます。


デポ地点はもうすぐ、気を緩めずに。

デポ地点近くまで降りてくると、森林限界付近に一人の人が登ってきていました。

デポ地点で大休止です。温かい飲み物と食べ物を口にし気持を立て直します。
軽口や笑いも出るようになりました。

一人で登ってきた男性が私達の所へやって来ました。
風に負けて引っ返してきたと言うと、「見ていました。山頂に立ったのかと思っていました。」とのこと。
私達の話を聞いて、彼はここから引き返すことにしたようです。

下りは私はスキー、NKさんはスノーシューですから、別れて夫々に降りることに。


徳舜瞥山を後に下り始めるNKさん

スキーで下る途中から振り返る徳舜瞥山は何故か澄ましたような顔をしているように感じました。


二度目の挑戦も退けられた冬の徳舜瞥山。
条件が整わないとなかなか厳しい山です。
昨年はガリガリ氷、今年は強風。
来年は良い顔をして迎えて欲しいものです。


来年は頼むよ〜。

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2004年冬の徳舜瞥山へ

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