沙流岳 (1422m) 日勝ピーク (1445m) (日高) 2005.5.6(金) 晴れ



5.6(金)
日勝トンネル 0815
日勝ピーク 0920
1245mコル 1000
沙流岳山頂 1025
沙流岳山頂 1100
1245mコル 1115
1360m地点 1145
日勝ピーク 1210
日勝トンネル 1230
沙流岳は日勝峠の南西に位置する山で、帯広方面から日勝峠を越えて日高方面へ走ると、9合目から6合目付近にかけて左手に見える鋭く尖った鋭峰です。

この山の鋭い山容は多くの山好きの登攀意欲を掻き立ててきたのでは無いでしょうか?
私も例に漏れず、冬の白く輝く尖ったピークを見て何時かは登りたいと思っていた、気になる山の一つだったのです。

地図を見ると日勝トンネルから日勝ピークを経て比較的楽に行けそうです。
残雪の時期が最適とGWの晴れた一日、満を持して訪れてみました。

日勝トンネルの日高側駐車帯に車を停め、準備を整えます。
これから登る日勝ピークが南に首が痛くなるほど高さに見えています。

日勝トンネルの上を越えて日勝ピークの斜面に取り付きます。
このGWに多くの人達が訪れたのでしょう、消えかけたトレースやシュプールが何本も走っています。

雪はザラメで締まっており、思ったよりしっかりしていて、ツボ足で問題なさそうです。
結構な傾斜ですから、焦らずのんびり確実に高度を上げて行きます。
南東の強く冷たい風が吹いていて、動いているのに汗も出てきません。
高度を上げるに従い、雪は硬くなり、キックステップだけでは心もとなく、アイゼンが欲しい位な所も出て来ます。

左手には帯広地方の大平原が広がり、その向こうには阿寒の山並みが小さく見え始めました。

登り始めて約1時間、1445mの日勝ピークに着きました。
眼前にペケレベツ岳が大きく聳えているのが目に飛び込んできます。
振り返ると北西には、夕張岳と芦別岳、富良野の山が佇んでいました。


日勝ピークから夕張岳と芦別岳方向

北側には十勝連峰と大雪の山々の姿がドッシリと端座していました。


十勝連峰と大雪の山々

南側はペンケヌーシ岳から幌内岳に通じる北日高の稜線が大きく横たわっています。


北日高の山々が連なる

日勝ピークからは南西に沙流岳へと続く稜線を辿って行きます。
当初は右に十勝連峰、左に北日高の山々を見ながらの気持ち良い稜線歩き、「あれは何処? あんな山あったけ?」と自問自答しながらのルンルン気分です。
次第に大きなエゾマツ林の中を緩やかに1245mコルまで標高差200mほどを下って行きます。

稜線上には風のイタズラなのでしょう、激しく波打っていて小さなアップダウンの連続です。
これを嫌って樹林帯の中の平らな部分を歩くと、ハイマツなどの落とし穴が待っていて、踏み抜くと腰辺りまで落ちてしまい、抜け出るのに大変な苦労と労力が求められます。
私は3度も落ち、その内1度はハイマツの枝に足がからんでしまい、抜け出るのに5分近くもがいてしまいました。
それ以降は波乗りルートを選んで淡々と歩きました。


1245mコル付近からの沙流岳

1245mコルから目指す沙流岳はスックと聳えています。
稜線には雪庇が出ていますし、登る北東斜面の最上部は登れそうもない斜度に見えます。

何とかなるだろうと、登り始めます。
順調に高度を上げ、山頂まで標高差で50m程まで登りました。
斜面と言うより雪壁です。
雪が硬く、蹴り込んでも数センチしかステップが切れません。


山頂直下の壁

アイゼンを持ってこなかったのが、悔やまれます。
ストックで身体を支えつつ、小さなステップで慎重に一歩を刻みます。
最後の10数メートルは右の北西方向に回り込みながら登ると、山頂が目の高さになり、腰の高さになり、遂に頂きを踏むことが出来ました。

山頂は幅3m、長さ15メートル位で細長く、小さなダケカンバの木にテープと標識が括り付けられていました。


沙流岳山頂、後方は日勝ピーク

日高山脈の中核部は山々に遮られ望むことは出来ませんが、360度の大展望です。
間近にペンケヌーシ岳などの山並みが見え、その間から見えているのはチロロ岳でしょうか?


ペンケヌーシ岳へ脈々と続く稜線

幌内岳、ウェンザル岳の向こうには芽室岳らしき山頂も見えていました。


沙流岳から南東方向

風が強く、寒いぐらいです。
風を避けようにも狭く逃げ場が無い上、風下側は急斜面でとても休めません。
マウンテンパーカーを着込み、風を背にして山頂ラーメンです。


ペケレベツ岳とウェンザル岳(右端)

歩いてきた日勝ピークからの尾根筋が良く見えています。
手が寒さでジ〜ンとかじかんできました。久し振りの感覚です。
ラーメンの温かい容器を抱え込んで、指先を温めます。


日勝ピーク、辿ってきた尾根筋が見える

目を北に転じると、十勝連峰がまだ厚い雪のベールを被って並んでいます。
下ホロの三角錐が目立っています。


十勝連峰、十勝岳から美瑛富士には薄い雲が掛かっていた。

そして、ウペペサンケやニペソツなどの東大雪の山々も美しいその姿を見せていました。


東大雪の山々

西側には夕張岳、芦別岳が存在を主張していますが、遥か遠くには樽前山、恵庭岳などの支笏湖周辺の山々、無意根山や余市岳、羊蹄山もかすかにその姿を現していました。


夕張岳と芦別岳、手前右はトマム山

沙流岳からの大展望を独り占め、何と贅沢な時間でしょうか。
冷たい強風に曝されながらも、去り難い思いで沙流岳山頂での時間を堪能しました。

下山も気を抜くことは出来ません。
再び、1歩1歩のステップを慎重に切りながら山頂直下の急斜面を下りました。

急斜面を降り切り、もう大丈夫!
コルまでは得意の尻滑り、何とも爽快で癖になります。

以後は往路を引き返し、再び日勝ピークへ。


日勝ピークからの帯広平野

日勝ピークから真下に日勝トンネル脇の駐車帯に置いた車が見えていました。
滑り降りるように大斜面を駆け降り、車へ戻ります。
途中、国道を挟んで双珠別岳がアンテナ山と共に優美な姿を見せていました。


双珠別岳とアンテナ山

沙流岳は思った通り、鋭く厳しく美しい姿で私を迎えてくれました。
残雪時期だった性もありますが、思ったより短時間で登ることも出来、とても良い印象を受けました。

でも、この時期でもアイゼンや防寒手袋などが必要であること、甘く見ては行けないことを再認識させてくれた山でもありました。

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