雪山登山第1日目 (台北→武陵登山口→三六九山荘) 2005.5.15(日) 雨



夕方やっと雨も止み、姿を見せた桃山(3325m) 三六九山荘から

5.15(日)
起床 0400
ホテル出発 0500
茶卿、坪林 0600
宜蘭 0655
武陵農場 0950
雪山登山口着 1020
雪山登山口発 1120
シカ山荘着 1230
シカ山荘発 1250
C2860地点 1400
器坡 1440
雪山東峰着 1550
雪山東峰発 1600
三六九山荘 1705
夕食 1800
就寝 1900
5.15(日)0400、ホテルで目を覚ますと外は雨、余分な荷物をホテルへ預け登山準備を整えて0500にホテルのロビーに集合です。
そこには迎えのバスとガイドの施(シー)さん、ポーター兼コックの王(ワン)さんがにこやかに迎えていました。

ちなみに台湾では3000m以上の山に登る時にはガイドを付ることが義務づけられています。
私達のガイドのシーさんは28歳の可愛らしい女性ガイドです。

夫々自己紹介の後、バスに乗り込み雪山登山口を目指します。
台北を出るとすぐに山間地に入り、お茶の産地である坪林を過ぎ、二時間ほどで東海岸の中核都市「宜蘭」へ。
勤めに行く労働者達が小さな屋台ほどの食堂で朝食を摂っているのが目に付きました。

宜蘭を過ぎるとかなり激しい雨の中、バスは中央山脈と雪山山脈に隔てられた大きな谷間を曲がりくねりながら高度を上げて行きます。

台北を出て約五時間、武陵農場と言う日本で言えば国民休暇村のような所に到着です。
ここには雪山を含む、雪覇国家公園を維持管理している警察部隊が駐屯しているそうです。
ここで、入山料を支払い登山口へ進みます。

登山口には立派な小屋が建っていて、管理人が常駐しています。
ここで、雪山入山の注意事項や自然解説などが説明ビデオにより教育・徹底される仕組みになっています。

心配していた大雨被害は雪山周辺では無く、問題なく入山出来るとのことで一安心です。
準備を整え、いよいよガイドのシーさんを先頭に雪山登山の第一歩を踏み出しました。


登山口で、イザ出発。
前列中央がガイドのシーさん、前列右がポーターのワンさん

時折強く降る雨の中、ガイドのシーさんは私達の技量・能力を推し量るようにチラチラ様子を見ながら、極めて落ち着いたゆっくりしたペースで歩を進めて行きます。


ツツジの咲く中を縫って緩やかに登る

約一時間でシカ山荘、しっかりした建物でトイレは水洗です。
ワンさんが身体が濡れて寒いだろうと、先に来てコーヒーを沸かしてくれました。


160人もが泊まれる「シカ山荘」

登山道はシカ山荘までは殆どが階段作りですが、緩やかで歩きやすい道となっています。
道には100m毎に標識が設置されていて、今何処にいるのか分かるようになっています。
又適宜に道程標識なども設置されていて、登山者に親切なシステムとなっていました。


適宜設置されている、道程標識

雨は時折強く降ったり、止んだりしています。
ムッ!とするように湿度が高く、汗ばむので、雨着の下はTシャツ一枚です。
雨とガスで視界が閉ざされた中をガイドのシーさんは相変らずの超ゆっくりペースで進んでいます。この際だからと、私も皆さんの様子を観察しながら歩く事にしました。
度々山歩きをして、最近は岩もやっていると言うIWさんはさすがに軽い足取りをしています。あとは似たり寄ったりと言った所でしょうか。


一休み

3000メートルを超える辺りから傾斜が増してきます。
この辺りの事を「器坡」と言って、泣きたくなるような急な坂と言う意味で、「器坡・不器」と言う看板が出ていました。これは苦しい急坂だが泣かずに頑張れと言う意味だそうです。(Don't cry for the crying slope)
もっともハッキリ見えていれば、気持が萎えたのかも知れませんが、雨とガスで急坂が見えないので、知らないうちに登り切ってしまいました。

その内、KUさんの様子がおかしいのに気付き訊ねて見ると昨夜良く眠れなかったとの事、さらに蒸し暑い雨の中で体調を崩されたのでしょう。
明らかに元気なIWさんと私とで重い物を分担して持つ事にしました。


雪山東峰直下、すぐ左上が山頂

しばらくして3200mの雪山東峰に着きました。
登山口の標高が2200mと高いのを忘れ、数時間歩いただけで3000mを越えているなんて信じられない思いです。
私はこの数年、北海道の山ばかり歩いているので、2000mを越える事も稀なのです。

雨で視界も利きませんが、何はともあれ記念登山の証拠写真です。


何も見えない雪山東峰で、「ハイ、チーズ!」
左から私、KMさん(前)、FJさん、KUさん、IWさん、TBさん

何も見えない所で長居は無用と今夜の宿である三六九山荘を目指します。
ここから三六九山荘へは斜面をトラバースしながら少し下って行きます。

3000mを越す辺りからシャクナゲが咲いていて、その白さが雨の中に浮かんでいるような感じです。


一路、三六九山荘へ

3000mを越えていると言っても植生は日本より1000m程高いそうですので、日本では2000m付近、北海道では1000〜1500m程と同じでしょうから、何となく見慣れた感じがします。

それでもガスの中から時折姿を見せる山肌は、高山らしさを感じさせるものがありました。


ガスの中から険しい山肌が姿を見せる

山荘まで2kmを切った辺りでKUさんの動きが止まりました。
足が痙攣したようです。ガイドが回復運動やマッサージをしています。
痙攣してからでは遅いのですが、私の持っていた痙攣に効く漢方薬を飲んでもらいます。

IWさんに自分の荷物を山荘に置いてKUさんの荷物を取りに戻って来てくれと急ぎ山荘に向ってもらいます。
少しKUさんの様子が落ち着いてから、ガイドがKUさんの荷物を自分の荷物の上に載せ歩き出しました。

僅かな距離でしたが、日も暮れて薄暗くなった雨の中、士気上がらずトボトボと俯きながら歩く一行はお世辞にも登山隊と言う雰囲気は全く無く、何だか悲しくなってしまいました。

やっと、三六九山荘に到着です。
ガイドのシーさんが陽気に明るい声で皆に声を掛けています。

濡れた衣類を交換し、干せる物は干すなどして、整理していると雨は止んだようです。
ガスの間からすぐ北側の稜線にある品田山(3524m)や桃山(3325m)が姿を現していました。


険しい山肌を見せる、品田山(3524m)

この日の夕食はワンさんが腕を振るった豪勢な御馳走で、何と一汁五菜。
こんなに豪勢で美味しい夕食を山で食べた事は初めてでした。
明日の天候回復を願いながら、舌鼓を打ち、いつしか皆さんいつもの陽気さを取り戻していました。


夕食の準備を始めるワンさん(右)とガイドのシーさん

ちなみにこの日の夕食のメニューは
肉団子入りスープ、
豚の腸詰めと葱の炒め物、
キャベツのスープ煮、
キュウリと塩漬け豚肉の炒め物、
イカの炒め物、
ニンニクの芽の炒め物、
ご飯        でした。

この山荘には太陽電池が付けられており、数時間程度であれば電気がつきます。
従って食事もヘッドランプの明かりの中で頂くのと違って、それだけで明るく楽しい雰囲気でなかなか良い物でした。

食事後は明日の天気の話ばかり、何とか回復して欲しい物です。
テルテル坊主を造ろうかと言う意見さえ出たぐらいです。

1900には皆さん明日の晴天を夢見て、シュラフに潜り込みました。
きっとこんな夢を見ていたのでは無いでしょうか?

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