1967峰 (1967m) ピパイロ岳 (1917m) (日高)  2005.6.19(日)〜20(月)



6.19(日)
伏美岳登山口 0800
1200m標高点 0915
伏美岳山頂 1115
伏美岳山頂 1150
水場のコル 1345
6.20(月)
水場のコル 0400
ピパイロ岳山頂 0520
JP 0555
1967峰山頂 0650
1967峰山頂 0720
JP 0810
ピパイロ岳山頂 0900
水場のコル 0945
水場のコル 1025
伏美岳山頂 1220
伏美岳山頂 1240
伏美小屋 1455
南北140km、まさに北海道の背骨と呼ぶに相応しい日高山脈、その中で1967峰は幌尻岳(2052m)、カムイエクウチカウシ山(1979m)に次いで第3番目の高峰、ピパイロ岳は第6番目の山となります。

昨年、北日高の芽室岳から見た1967峰の凛々しくも気品溢れる姿に是非訪れてみたいと思っていました。
1967峰へ登る夏道ルートは
○ 二岐沢から額平岳、北戸蔦別岳を経て1967峰へ至るルート
○ 伏美岳からピパイロ岳を経て至るルート
の2ルートでいずれにしても、途中で一泊するのが通常のようです。

後者の伏美岳からのルートで計画を立てていた時、平日登山隊のメンバーの一人であるSGさんから「二人で行って車を一台、二岐沢に置いて伏美岳から北戸蔦別岳まで北日高を縦走しませんか」と言うお誘いを頂き、喜んで御一緒する事にしました。

6.18(土)日高の道の駅でSGさんと待ち合わせ、そのまま車中泊。
6.19(日)早朝、チロロ林道を二岐沢出合へと走り、SGさんの車を置いて一路伏美岳登山口を目指します。

伏美岳登山口に着いてビックリ、すでに三十数台の車で登山口の広場は満車状態、車を停めるスペースもありません。
仕方なく少し戻って伏美岳避難小屋に車を停め、出発準備です。
夏山シーズンに入り、伏美岳名物のツツジを始め数々のお花を楽しめるのも登山者が集中した原因の一つかも知れません。

登山者名簿を見ると伏美岳往復の方々に混じって、ピパイロ岳まで行く方も何名か、中には幌尻岳往復と言う猛者も居られました。
また名簿の中にHYML(北海道の山メーリングリスト)のお仲間の名前もあり、途中でお会いするのも楽しみです。


第一日目 (曇り時々晴れ)

今日の予定は伏美岳からピパイロ岳を越え、1967峰とのコルまでの計画です。
今年初めての縦走、装備の重さと距離の長さが気になり正直言って少しビビり気味なのです。
(でも、この不安が現実のものとなるとは、この時思ってもいませんでした。)


縦走装備でイザ出発。

伏美岳はこれで3回目ですから道の様子も大体分かっています。
山頂まで3時間と見込んで歩を進めますが、なかなかペースが上がりません。
この春、痛めてしまった左膝にしたサポーターがずり落ちてきて、休憩の度に巻き直さなくてはならないのも面倒です。

一時間ほど行くと、伏美岳の名物と言って良い、ムラサキヤシオツツジの群落が出て来ました。
まさにツツジのトンネルです。
ダケカンバの木陰で暑さも和らぎ、ツツジとオオカメノキのピンクと白のコントラストが美しく、疲れも癒されるようです。


ピンク色の中を登山道が通っていく

ツツジの群落を過ぎると、傾斜は増し伏美岳に一直線に登って行きます。
縦走装備が肩にずっしりと重く、カンカン照りの太陽にも攻められ、喘ぐように一歩一歩を進めて行きますが、山頂直下では若いお嬢さん達に追い抜かれチョッピリ惨めな歯がゆい思いも味わいました。

伏美岳山頂までにHYMLのメンバーの人達に何人かお会いし、久し振りの御挨拶をしたり、テン場情報を聞いたり、励まされたりしながら山頂を目指しました。

伏美岳山頂です。3時間15分、やはり予定より少し遅いペースです。
山頂標識の所で荷を下ろすと、そのまま大休止モードになってしまうような気がして通り過ぎ、山頂の西端へ行って休憩です。


伏美岳からピパイロ、戸蔦別岳、幌尻岳方面

伏美岳は日が射して晴れているのですが、周囲は雲が多く霞んでいます。
幌尻岳は雲の中にその姿を隠しています。
これから歩くピパイロ岳へのアップダウンの連続する稜線がハッキリ見え、頑張るぞと言う気分とウンザリの気持が交錯しました。


札内岳、エサオマン方向

日高の山々も今年は雪が例年よりかなり多く、沢筋やカールには雪がびっしり付いていて、同行したSGさんも今年の沢を楽しむ時は注意しなければならないだろうなと言っていました。

景色を眺めながら昼食を摂りますが、いつもの食欲がありません。
SGさんは大きなあんパンを三つもペロリと平らげていましたが、私は水で流し込まないと喉を通らない状態です。
「何だか調子が上向かないなー!」とまたも不安が沸き上ってくるようです。


チロロ岳方向

「よし、行こうか!」不安を払いのけるように気合いを入れてザックを担ぎます。

伏美岳からピパイロ岳へは、単調な稜線歩きとは全く違ってアップダウンが連続し、しかもハイマツや木の根が邪魔をして歩きにくい道です。
幾つ目かの下りを下っている時、急に両太股に痙攣が起きました。
滅多に無い事なので慌ててしまいましたが、少し休んでマッサージをしていると治ったような感じです、痛めている左膝をかばっている為なのでしょうか。
念のため、持参した痙攣防止の漢方薬を飲みますが始めての使用ですから効果は疑問です。

その後も時折起こる痙攣を騙し騙し行くとHYMLの仲間であるABさんがピパイロ岳から戻ってくるのに出合いました。御挨拶をし、しばし談笑。
私はメールでは何度かやり取りをしていたのですが、お会いするのは始めて。
落ち着いた穏やかなお人柄がにじみ出ているようで、初対面とは思えぬ一時でした。
またこの時、山岳家で写真家で多くの山のガイドブックや山の花の写真集などを出され、私も愛読者の一人である「梅沢 俊」さん御夫婦も通りがかり、雑談に花を咲かせました。


途中でで合ったABさん、右は同行のSGさん

まだピパイロ岳まで後2時間、テン場までは3時間近く掛りそうです。
これまで雲が掛かって見えなかった幌尻岳がようやく姿を見せてくれました。
やはり伏美岳から見るより大きく迫力があります。


姿を見せてくれた幌尻岳(左後方)と戸蔦別岳

登山道は大半が土が出ています、でも両サイドには雪が残っていて雪の上を歩いた方が楽な為、可能な所は雪を繋いで歩いて行きます。
ピパイロの水場のコル近くで残雪部分から登山道に上がろうと笹藪に足をかけ踏ん張った時、やってしまいました。

グァ〜ン! ギュルギュル! ドガァ〜ン! とでも表現すれば良いのでしょうか、左足が攣ってしまったのです。
クソォ〜!と思いますが、身動き出来ません。
SGさんが心配してくれますが、いかんともしがたい状態です。

しばらく余りの痛さに悶絶状態でした。
痛さを我慢して足の角度を変え、楽な姿勢を取り、痛みが和らぐのを待つのみです。

SGさんにこれ以上、迷惑を掛ける訳には行きません。
私は水場のコルでテン泊する事にして、SGさんには予定通り行動してもらうよう頼んでみます。
SGさんは当初心配そうでしたが同意してくれ、水場のコルで別れる事にしました。

水場のコルは伏美岳とピパイロ岳の最低コルにあり、個人用テント二張ぶんの地積がありテン場の目の前には残雪がたっぷりありました。
SGさんに予想外に時間を費やしてしまった事を詫び、予定通り行動出来るよう願いながら見送り、テント設営にかかりました。

テントを設営しながら、今日の不調の原因を考えてしまいました。
今年初めての縦走で装備が重かった事、周囲は曇っていたのにカンカン照りだった事、痛めた膝を無意識に庇っていた事、などなど色々思い浮かびますが、行き着く結論はただ一つ、「体力が無いんだよな〜 !! 」
つくづくトレーニングとダイエットの重要性を痛切に認識させられた一時でした。

何としても明日は1967峰まで行こう。
その為には体力・気力を回復しなければ・・・。
そんな思いで早々と意識不明となったのでした。

さあ、どうなりますやら。

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