大雪花探訪  (大雪)  2005.7.8(金)  ガス、霧雨

赤岳(2078m) 小泉岳(2158m) 白雲岳(2230m) 緑岳(2019m)



小泉岳からの白雲岳

7.8 (金)
銀泉台 0400
駒草平 0450
赤岳 0555
小泉岳 0625
白雲岳 0710
0725
白雲岳避難小屋 0805
高根ガ原入口 0825
白雲岳避難小屋 0840
緑岳 0910
0925
小泉岳 1010
赤岳 1030
駒草平 1125
銀泉台 1210
今年も大雪山系から花便りが届く季節となりました。
2年前、大展望と花に埋め尽くされ何とも素晴らしかった大雪の山、その感動を新たにしようと再び訪ねる事にしました。

今週始めが見頃かと思っていたのですが、天候が思わしくなく週の後半となってしまいました。
花達の旬の時期に間に合うよう祈りながらの山行です。

7.7(木)七夕の日の午後、自宅を出発し今回の登山口、銀泉台を目指します。
ここで早くも一つ失敗。層雲峡で夕飯や明日の朝と昼の食料を買えば良いと思っていたのですが、層雲峡にはコンビニもお弁当屋さんも無く、上川へ戻らざるを得ない顛末でした。

銀泉台につくと霧雨が降っています。
すでに10台ほどの車が停っていて、皆さん車中泊のよう、思う事は同じなのですね。

明日の青天を信じて、お弁当とビールの夕食を摂り、早々にシュラフに潜り込みました。

薄明るくなった朝 3:30に目が覚め、外に出ると細かい霧雨。
でも、所々薄く青空も覗いています。
どうか予報通り晴れてくれと願いながら、簡単な朝食を摂りつつ出発準備です。


霧雨に煙る、銀泉台ヒュッテ

0400、登山事務所に届けを出し、まずは赤岳を目指します。
1時間半以上前に出発した男性二人組に続いて、今日2番目の登山者です。

雨に濡れたウラジロナナカマドとイソツツジの白い花が出迎えてくれます。
枝に触れざるを得ないので、シャツの袖は直ぐにビショビショです。

第一雪渓をトラバース気味に進み、第二雪渓までの間にはコケモモやイソツツジ、ミツバオウレン、ノウゴウイチゴなどが露をまとって咲いていました。


コケモモとイソツツジ

第二雪渓から駒草平の間にはチシマキンレイカ、イワブクロ、ジンヨウキスミレが多く咲いていました。
私より先に出た男性二人組はアマチュアカメラマンのようで、沢山の器材を広げて盛んにシャッターを切っており、挨拶を交わして先に行かせてもらいます。


チシマキンレイカとイワブクロ

ハイマツに囲まれる登山道は雪解けと雨でドロドロ状態で歩きにくい所もありました。
また、小さな窪地は雪解けの水を溜め、花々達が美を競っているようでした。


水辺の回りにはツガザクラや姫イソツツジなどの花々が

歩き始めて約1時間、駒草平に着きました。
気持の良い砂礫の台地で、一時は絶滅に瀕したと言われるコマクサも保護と手入れのおかげなのでしょう、ピンクの花を付けて点々と咲いていました。


砂礫に点々と咲く、コマクサ

現在も登山道にはロープが張られ立入りが制限されています、保護する為には仕方ないのでしょう。
何時か、ロープなどで制限されなくても、花達が美しく咲き続ける駒草平であって欲しいものです。


水滴をまとったコマクサ

駒草平を過ぎると前方に大きな雪渓が見え始めました、第三雪渓です。


1番大きな赤岳第三雪渓

第三雪渓は左縁を登って行きます。
斜度はかなりありますが、この時期の雪は適度な硬さでアイゼン無しで不安はありませんでした。

登り切ると砂礫の道が続くようになり、岩肌にはイワウメが、草地にはノウゴウイチゴが一面に咲いていました。


イワウメ

出発して約2時間、赤岳です。
本当の赤岳山頂はさらに北東にあるのですが、道が付けられておらず、このJPのような所が一般的に赤岳山頂とされているようです。


赤岳山頂

稜線に出て本来でしたら大展望が待っていてくれる筈なのですが、雲の中で視界は数十メートル、残念です。

ここからの道はゆったりとうねるように続く、広い稜線の気持ち良いトレールです。
急に道の両側の花の種類が変わってきました。
ホソバウルップソウ、エゾタカネツメクサ、エゾミヤマツメクサなどが目立つようになっています。


ホソバウルップソウ

2年ぶりに見るウルップソウ、懐かしい感じで見入ってしまいます。
時折ガスが切れ、青空が臨まれ、日差しも出てきました。

エゾノハクサンイチゲが青空をバックに太陽を浴びて気持良さそうです。


エゾノハクサンイチゲ

このまま晴れてくれる事を期待して、小泉岳への平坦な道を花を見ながら進みます。



エゾミヤマツメクサ

小泉岳から白雲岳へ足を進めます。
白雲岳の山頂部分がガスから抜け出たように見えています。
この辺りから人と出会うようになってきました。高原温泉から緑岳経由で来た人や白雲岳避難小屋に泊まっていた人達なのだと思います。

北海岳との分岐から広い尾根の後ろ側に回り込むようにして白雲岳へ登って行きます。


キバナシャクナゲと白雲岳への尾根

この辺りのお花畑にはキバナシャクナゲ、エゾノツガザクラ、ミネズオウなどが一面に咲き競っていました。


ミネズオウとイワウメ

白雲岳の残雪も2年前の印象より今年は多いようで、その残雪を乗り越して岩礫の山頂です。


白雲岳山頂

山頂に立つと周囲には雲が立ちこめていて、展望は全く得られません。
少し待てば奇麗に晴れるだろうと期待してしばらく待ちましたが、反対に白雲岳も再びガスに覆われてしまいました。
ここからの旭岳や間宮岳、北海岳などの沢型に残る残雪と緑のコントラストの美しい景観を期待していたのですが、仕方ありません。


エゾノツガザクラ

花達に挨拶しながら、白雲分岐へ戻ります。
天候は良くなるどころか、しっかり雲の中に入ってしまったようで、北海岳方面から来ている人達の話し声はかすかに聞こえるのですが、姿は見えません。
すでに花の時期を終えているエゾコザクラが数輪咲いているのを見つけました。


エゾコザクラ

白雲分岐からは白雲岳避難小屋へ向かってみます。
やっと雪から姿を現したばかりの道を下って行くと、避難小屋が霧の向こうからボンヤリ見えてきました。


ガスの中からかすかに見える白雲岳避難小屋(中央台地上)

避難小屋の水場には美味しそうな水が清らかに流れていましたが、寒いぐらいの天候で飲む気にもなれません。
小屋を覗いてみると何人かの人達がのんびり過していましたし、小屋の脇のキャンプ場にも二張のテントが張られ中から話し声が聞こえていました。

まだ時間は午前8時です。
高根ガ原のお花畑辺りまで散策してみる事にして、トムラウシ方向の道に入ります。
避難小屋から20分ほど歩いてかなり大きな雪渓を渡った辺りから、本降りに近い雨となってきました。
これでは写真も満足に撮れません。
仕方なく高根ガ原は諦めて、引き返します。


ショウジョウバカマ

避難小屋に戻り、緑岳への近道を進みます。
ここの雪渓には赤テープが点々と設置してあり、ガスで見通しが利かないだけに助かりました。

緑岳に通じる道は花で埋まっていました。
チョウノスケソウ、オヤマノエンドウ、キバナシオガマ、コマクサ、ホソバウルップソウなどなど贅沢な山道です。


キバナシオガマ

あいにくの霧雨模様の中、花に囲まれて緑岳へ歩いている時、花の写真を撮っている人に挨拶しながら通り過ぎようとすると、「千歳のたかさんではありませんか?」
見覚えのない方です「ハイ、そうです」と答えると、HYML(北海道の山メーリングリスト)の会員、taka@旭川さんでした。
メール上では顔見知りでも、お会いするのは初めてです。
初対面と言うか再会と言うのか、何ともへんてこな感じの御挨拶です。
まだお若いスマートで紳士的な好青年で、花情報などを交換し合いました。
山の中でこんな思っても見なかった出会いが出来るのはとても嬉しい事ですし、メーリングリストの効用でもあるのでしょう。

緑岳も雲の中です。
2年前にはここから阿寒や知床の山々が望まれた事を思い出しながら、少しお腹を満たします。

緑岳からは小泉岳に戻り、それからは往路を帰る予定です。
小泉岳への道は快適な広い稜線歩き、晴れていれば極上の気持の良い散歩道です。
今日は残念ながら霧雨が降り続いています。メガネのレンズを拭いても拭いてもすごく細かい水滴がついて曇ってしまいます。
諦めてメガネを外して歩きます、ガスで景色がぼやけているのかメガネを外したからボンヤリ見えているのか分からないほどです。


ミヤマタネツケバナ

緩やかなアップダウンの砂礫の道の回りは色とりどりの花で埋め尽くされています。


チョウノスケソウ

どの花も霧雨に濡れ耐えながら、晴れるのを待っているようです。


ジンヨウキスミレ

こんな天候で、しかも平日なのに、かなりの人達が歩いています。
皆さん、大景観は諦めて、花に目的を絞っているのでしょう、雨にもめげず楽しそうに歩き、花を愛で、写真を撮っています。


砂礫に群生するチョウノスケソウ、オヤマノエンドウなど

ホソバウルップソウをじっくり眺めていると小さな花の一つ一つが表情を持っているようで面白く感じられます。

小泉岳に戻ってきました。
まだ時間は十分あるのですが、天候の回復は見込めないようです。
お花は十二分に楽しめました。今年はこれで善しとしましょう。
往路を引き返す事にしました。

花を見納めながら、下って行きます。
第三雪渓で尻滑りで遊びながら下っていると、丁度登ってくる人達に冷やかされてしまいました。


第三雪渓を登る人達

今回訪れた銀泉台から白雲岳周辺を歩くルート、まさに花の銀座通り。
何度訪れても飽きない素敵なコースだと思います。

そして多くの人が訪れているのにほとんどゴミも落ちていません。
花を荒らしたような形跡も見られませんでした。
パトロールの方々のお陰でもあるのでしょうが、それだけ皆さんの意識が高まった証拠でもあるのでしょう。

次に来る人の為にも、奇麗な美しい山とお花畑を守って行きたいものです。

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