双珠別岳 (1389m) (日高)  2006.3.7(火) 晴れ



3.7(火)
登山口 0810
斜面取り付き地点 0925
稜線出合い 1045
双珠別岳山頂 1120
1220
無線中継所下 1240
斜面取り付き地点 1420
登山口 1450
双珠別岳は日勝峠の北側に連なる山々の一つで、熊見山から佐幌岳に延びる主稜線の途中にある1389mの山です。

昨年の4月、日勝ピークから沙流岳を歩いた時にも、その優しげな山容が気になっていました。

3月になり雪も締まって歩き易くなってきているだろう、可能であれば双珠別岳から狩振岳を巡ってみたいと思い、計画してみました。

双珠別岳へは日勝峠の日高側7合目から約1km、峠寄りにある駐車帯から登るのが便利です。
午前6時前に自宅のある千歳を出て、8時に登山口に到着しました。
途中、平取付近では小雪が降っていましたがお天気は青空も見え、大丈夫のようです。

準備を整え勇躍出発です。
国道を横断し、スノーシューを付けてそのまま林を歩くと直ぐに1327m峰からの尾根にある電波塔へ通じる全長約6kmの管理道路に出、管理道路を歩いて行きます。
歩き易い締まり雪を期待していたのですが、やや重めの深雪、スノーシューを履いていても脛から膝下ぐらい、トレースは勿論ありません。
「これは、苦戦するかも知れないな」 覚悟を決めてゆっくり歩を進めます。


管理道路を約2.5km進んで行く

約2.5km進むのに1時間15分も掛りました。
この辺りから双珠別岳の南西に延びている稜線めがけて取り付いて行きます。
エゾマツやトドマツ、ダケカンバの疎林の中を緩やかに高度を上げて行きます。
斜度は緩やかなのですが、ラッセルが結構きつい!
堪らず一息入れて、振り返ると沙流岳が鋭い姿を見せていました。


振り返ると沙流岳、上滝山が見守ってくれていた

辺りは「シ〜ン!」として静まり返っています。
大きなエゾマツやダケカンバの木や雪に音が吸収されてしまうのでしょうか。
自分の息づかいだけがリズミカルに響いています。


静か過ぎる斜面を

斜面の取り付いて約1時間、どうやら森林限界に達したようです。
右手には電波塔と1327m峰が姿を現しました。
日勝ピークのゲレンデのような斜面も良く見えています。


1327m峰と右側に電波塔

振り返れば、北日高の山々がズラリと並んでお出迎え、「ウワァ〜! すっご〜い!」思わず声が出てしまいます。
日勝ピークから沙流岳、上滝山の稜線、その向こうには芽室岳からペンケヌーシ岳に連なる山々が鎮座しています。


出迎えてくれた、北日高の山々

行く手には双珠別岳の山頂も見え始めました。
山頂を正面に見ながらトラバース気味に進むのが効率的でしょうが、ラッセルがきついと、一気に稜線まで上がってしまうことにしました。

稜線まで上がるとこれまで遮られていた北西方向から冷たい風が吹きつけてきます。
パーカーを着込み、風で吹き飛ばされ凍った雪面にスノーシューの刃を食い込ませると左手に狩振岳がデ・デーンと座っていました。
狩振岳の向こうには少し雲に覆われていますが、トマムが見えています。


狩振岳

目の前正面は雪が吹き飛ばされ、ハイマツが顔を見え隠れさせている円い双珠別岳の山頂です。


双珠別岳の山頂

カリカリの稜線をラッセルの苦しみから解放されて気持ち良く快適に歩き、双珠別岳の山頂に着きました。
木の枝にピンクテープが結び付けられただけの山頂ですが、素晴らしい大展望です。
この所、お天気に恵まれなかっただけに嬉しさも格別です。

山頂の気温は−14℃、北西の風が身を切るようで指先の感覚が薄れてきます。
東側の窪みで風を除け、景色を眺めつつ軽食をお腹に収めます。

東側には昨秋訪れて、霧で何も見る事の出来なかったオダッシュ山が直ぐそばに見えています。
こういう位置関係なのか! やっと全体が把握出来たような気分です。


オダッシュ山 遠くには東大雪の山々が・・・

時間は午前11時20分、思ったより時間が掛かりました。
やはり、深雪のラッセルのせいでしょう。

さて、狩振岳はどうしようか?
往復で2時間半として、双珠別岳に戻ってこれるのが午後2時、登山口に戻るのは午後3時半頃になるでしょう。
ギリギリで余裕はありませんが行って見ようと、狩振岳へ足を踏み出しました。

所がものの5分と立たない内にハイマツの落とし穴と言うか罠に落ち、スノーシューがハイマツの枝に絡まり抜け出るのに散々苦労しました。
やっと抜け出て、歩き出すと又罠に掛り、落ち込みます。
こんな事が3回立て続けに起こり、すっかり嫌気がさしてしまいました。
気分が落ち込んだ所に加えて、コルからの登り返しの斜面を見て、もうダメです。
気力が萎えてしまいました、狩振岳は諦めました。


狩振岳へ続く稜線、左横はトマム

双珠別岳の山頂へ戻り、さてどうするか?
このまま戻るのも芸が無い。
電波塔経由で戻ろうか? 思案のしどころです。


双珠別岳山頂からの北日高の展望。左端は剣山

下りだからラッセルも大した事ないだろう。
そう判断して、1327m峰へ続く稜線を降り出します。
下りだけあってスノーシューでも滑るように軽やかに降りて行きます。
振り返ると双珠別岳が青空に優美な姿を横たえていました。


たおやかに横たわる双珠別岳

山頂から20分で無線中継所への管理道路に出ました。
無線中継所から南西に延びている尾根を使って戻る事も考えましたが、たしかな情報を持っている訳でもないので、管理道路を戻る事にしました。

管理道路と言っても、保守の為に雪上車などが上がってきている様子はありません。
道路脇の電柱が無ければ、山腹の斜面と一体化して道路だととは判りません。
ここから約3.5km、登り時に斜面に取り付いた所まで下りではありますが、ラッセルが待っています。

疲労が溜まりつつある身体に深い雪が結構堪えます。
3・400m進む毎に一息入れ、自分で自身を励まし雪を漕ぎます。
正面に沙流岳が午後の陽射しにすっきりした姿を映していました。


電波塔と沙流岳、ペンケヌーシ

1時間半、もがきつつ雪と格闘し、やっと行きに斜面に取り付いた地点まで戻ってきました。
心底ホッとした思いです。
ここからは自分のトレースに乗って登山口まで30分で戻ってきました。

双珠別岳、この時期に登るにはやはりスキーの方が正解だったようです。
静かな一人だけの双珠別岳でした。
気力を無くし今回諦めた狩振岳、また何時かチャレンジしたいと思います。
大景観を恵んでくれた双珠別岳、有り難う。

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