狩場山 (1520m) (道南) 2006.6.26(月) 晴れ
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狩場山は道南地方の最高峰、美しいブナ林や御花畑、夏でも残る豊かな雪渓、豪快な賀老の滝などでその名を馳せています。
6.26(月)は全道的に晴れの予報、何処に行こうか? ふと頭に浮かんだのは、狩場山でした。 不慣れな山ほど、しっかり準備していかねばならないのに冬山と違って登山道がついているのだから大丈夫と、御花畑や山頂からの大景観との出合いに心を奪われ、地図一枚持って慌ただしく狩場山へ向かったのでした。 道の駅「よってけ、島牧」で車中泊、深夜、漁火で幻想的だった海辺の風景も朝は深い霧。 |
車で走ること間も無く、霧の上に出て目指す狩場山の姿が見えてきました。ウキウキする気分です。
賀老の滝の駐車場に着くとかなりの数の車が停っています。
こんなに登山する人が居る、さすがは人気の山。でも、少し違う雰囲気です。
山菜取りのプロの人達でした。
賀老の滝駐車場からの狩場山 |
出来れば、千走登山道旧道から狩場山を経て新道へと一巡しようと考えていましたが、旧道は整備されておらず薮漕ぎを覚悟しなくてはならないとの情報、旧道登山口にも立入り禁止とはありませんでしたが、新道を利用して欲しい旨の看板が立てられていました。
大変奇麗に整備された駐車場でトイレや水を補給して約5km離れた、千走新道登山口へ向かいます。
登山口の手前約1kmの所から林道は雪に阻まれ、通れません。
この時期なのに、こんなに雪が残っているのか! と驚きです。
道端に車を停めて、歩き出します。
道南の山々は羆でも有名な所ですから、鈴を付け、笛も首からぶら下げました。
登山口まで林道の50%位は雪で覆われていたでしょうか。
林道の左手下には千走川が音を立てて流れています。
狩場山へ突き上げる沢を2本ほど横切って歩いていきます。
狩場山へ突き上げていく沢 |
20分ほどで千走新道登山口。
手前に大きな駐車スペースがありました。
登山口には小さな沢が流れ落ちていて、ここでも水が汲むことができます。
林の中、笹の多いやや粗削りの登山道をゆっくり登っていきます。
道端には数は少ないですが、エゾイチゲやフギレオオバキスミレなどが咲いていました。
エゾイチゲ |
フギレオオバキスミレ |
見晴らしの利かない笹被りの道、何だか調子が上がりません。
暑さのせいか、喉が渇き、水ばかりが消費されていきます。
年に何回かは、こんな調子の日があるなと思いながら、超ゆったりペースで歩きます。
C1000m近くなって、時折見晴らしが利くようになってきました。
南側には遊楽部岳でしょうか、一息入れます。
雲海に浮かぶ、遊楽部岳 |
登山道に雪が見られるようになってきました。
雪を繋ぎながら登りますが、道を失いがちになるので気を使います。
C1200m付近で右側が開け、雪田に出ました。
暑い日差しに火照った身体が冷やされ、気持良い。
ここが「下の御花畑」と呼ばれている所なのでしょうか?
残雪に覆われ、見る影も無く、美しさを想像するしかありません。
C1200m付近の雪田 |
この雪田、山頂方向へ斜めに行きたい感じなのですが、真直ぐ登って登山道に合流していきます。
この登山道を探すのに大分手間取ってしまいました。
ここから再び笹被りの道を進みます。
笹の中でツマトリソウ、エゾゴゼンタチバナ、サンカヨウなどが可憐な花を咲かせています。
ツマトリソウとエゾゴゼンタチバナ |
サンカヨウ |
笹にハイマツが混じるようになり、段々ハイマツの占める割合が多くなり、見晴らしも利くようになってきました。
南側の景色が開け、道南の景観に見入ってしまいます。
南側の景色 |
C1300m手前で南狩場山へ続く大きな雪渓に出ました。
ここが「第2雪渓」とか「上の御花畑」と呼ばれている所でしょう。
C1300m付近から雪渓と南狩場山 |
残雪はまだ硬く、意識して蹴り込まないとステップが切れないような状態です。
ここを登り、上の写真で雪渓が一度狭まって再び左右に広がっている左側で、真駒内からのコースが合流してきます。
真駒内コース合流地点からの雪渓と南狩場山 |
ここからのルートを地図で確認すると、この雪渓をトラバース気味に斜上し南狩場山へ向かうようになっています。
ですが、トラバースするにはちょっと嫌な感じ。アイゼンとストックが欲しいですが無い物ねだりです。
慎重に渡り出しましたが、斜度が急な上に雪が硬く苦戦です。
バランスを崩し滑り落ちそうになり、ヒヤッ! としました。
無理はしない方が良い。そう思って合流点まで戻ります。
この雪渓からは南側の景観が遮る物も無く、素晴らしい。
大平山が険しい姿を見せていますし、そのとなりに羊蹄山やニセコ連山の姿が。
大平山と左後方に羊蹄山 |
下を見ると、通ってきた「下の御花畑」の雪田や登山口方向が見えていました。
右下に「下の御花畑」の雪田、そこから左下に登山口方向 |
さて、どうするか?
雪渓を登り切り、岩伝いに行けないかと取り付いて見ましたが、とても無理。
すごすご引き返してきて、真駒内コースの途中から道が付けられていないかと探して見ますが、有る訳もありません。
夏道を歩くだけだからと甘く見ていました。
せめて簡易アイゼンとストックを持ってくればと悔やみましたが、後の祭りです。
イジイジしても仕方ない。「今日はこれまで」と気持に区切りを付けました。
もう一度、ここからの景観を目に焼き付けます。
第2雪渓から東方向の景観、中央左が大平山 |
一人ですので不慣れな道南の山々の山座同定は自信有りませんが、予想外の山深さに感動です。
南側の景観、このさらに右側には奥尻島と思われる島影が |
ゼリーやトマトを口にしつつ、大展望を満喫し、下山にかかります。
狩場の山に「次に来る時は、しっかり準備して来ますから、その時は良い顔して迎えてね」と独り言。
気温も上がって下りの登山道は、雪解け水で小沢状態でした。
「賀老の滝」駐車場に戻ってきて、ここまで来たのだからと「賀老の滝」を見て帰る事にします。
滝まで1.2kmとあるので、スニーカーにカメラで行きましたが、500mほど平坦な道を行くと後は100メートル以上の下り、山靴で歩くほうが適した山道です。
さすが、「賀老の滝」は丁度雪解け水を集め水煙を巻き上げて落ち、まさに勇壮、豪快、迫力満点の見事な滝でした。
雪解け水を集め、凄い迫力の「賀老の滝」 |
近くには、タチカメバソウ、ハクサンチドリが可憐な花を咲かせていました。
タチカメバソウ |
ハクサンチドリ |
思い付きのような状態で訪れた狩場山、下調べが不十分で、訪れるには時期が早過ぎました。
道南とは言え豪雪地帯なのですね、こんなに雪が沢山残っているとは。
初めての山を訪れる時には、地元の人達などから情報を聞くことが、大切だと改めて認識した次第です。