富良野西岳 (1331m) (夕張) 2006.7.26(水) 曇り
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厄年というのがありますが、2006年の7月は私にとってまさに厄月、それも大厄月でした。 6月の末日、痛風の発作に見舞われ、山仲間のSGさんと約束していたイドンナップ岳もキャンセル為ざるを得ず、大迷惑をお掛けしてしまいました。 7月の初め、痛みを我慢しながら歩行訓練中に再び大発作、諦めて治療に専念していたのですが、中旬に再度小発作。 一昔前、痛風は贅沢病だの金持ち病だのと言われていましたが、私はそれらとは全く縁のない、減る事はあっても増える事は決してない、細々年金生活者。 何故だろうと不思議に思いましたが、どうやら薬の飲み合わせにも問題があったようです。 約一ヶ月を棒に振って、まだリハビリ中なのですが一時間ぐらい散歩をしても大丈夫なまでに回復しました。 富良野新プリンスホテルロープウエイ奥の駐車場で準備を整え、登山口へ向かいます。 登山口は大きな砂防ダムに登山ポストが設置されていました。 |
富良野西岳登山口 |
登山道は沢沿いに付けられていて、当初左岸の林の中を進んでいき、C550mの二股から何度も徒渉しながら歩くようになります。
水量の少ない時期は山靴でも大丈夫でしょうが、この時期は水量も多く山靴を濡らさずに歩くのは難しいでしょう。
幅3mほどの小沢を何度も徒渉して行く |
私は山靴はザックに入れ、沢靴を履いて行きましたので、ジャブジャブ沢を横切り、時には沢を遡りながら歩いていきました。
石に付いている黒っぽい苔はとても滑ります、山靴で飛び石伝いに行く時には特に要注意です。
沢沿いにはノビネチドリの花柄があちこちにあり花の時期の美しさが想像されるようです。
エゾアジサイの青とサンカヨウの紫の実、ツバメオモトのまだ緑の実が目立ちます。
小さな沢ですが、沢水は奇麗で岩に付く苔も美しい。
沢水に足を浸していると、リハビリ中の足が冷やされて気持が良い。
お天気は予報に反して曇りですが、暑くなく身体には優しい感じ、上手く山頂に着く頃に晴れてくれると良いのですが・・・。
こんな良い雰囲気の所も |
登山口から1時間ほどで右岸に「仙人の泉」と言う湧き水がありました。
ここでたっぷり水を汲み、以後の登りに備えます。
仙人の泉から10分程で、C800mの鉱山跡。ポッカリと穴が空いていました。
こんな山の中を歩き回って鉱山を探すなんて、どんなに大変だったのだろう、山師と言われるだけの事はあるななどと、余計な事を考えたりしました。
鉱山跡で山靴に履き替え、南に延びる尾根に取り付きます。
ジグを切りながらかなりの急傾斜、足への負担を考えてゆっくりゆっくり歩きます。
林の中の見晴らしの利かないひたすら登るだけの道、これでカンカン照りだったら精神的に参ってしまうような登りです。
30分ほど登って振り返ると、北側の「北の峰」の斜面が見えていました。
振り返ると「北の峰」の山肌が |
しばらく我慢の時間を過すと、稜線に躍り出ました。
涼風が吹き通り、気持良い。
お天気ならば十勝連峰などの大展望が広がっているのでしょうが、今日は雲の中。
僅かに富良野市や周辺の田園風景が心を癒してくれています。
「お〜い、もう晴れても良いよ〜!」と叫びますが、雲は厚くにわかに取れそうにもありません。
稜線の東側は岩混じりの壁になっています。
道の両側にはハクサンチドリなどの夏の花々の花柄が沢山見られましたが、今はリンネソウやクルマユリが目立つぐらい。
平坦な稜線が急な登りに変わって間も無く、富良野西岳の山頂が見えてきました。
富良野西岳山頂 |
岩稜の山頂に到着です。
心配していた足も何とか大丈夫です。やれやれと腰を下ろしました。
西側から雲が沸き上ってくるようで、雲底が山頂とほぼ同じ、視界が閉ざされたり開けたりしています。
山頂から富良野市方向 本来は雲のかかっている方向に十勝連峰が見える |
直ぐ南にある芦別岳も雲に隠れ、雪渓だけが一部見えていました。
山頂から山部、麓郷方面 |
家から持ってきた中華おこわのオニギリをお腹に入れ、トマトやゼリーを楽しみます。
雲に覆われ、汗をかいて気持ち良く感じていた風が冷たく感じるようになり、雨着を引っ張り出します。
期待してきた大展望は望むべきもありませんが、こうして山頂にゆったり座っていると、「やっぱり山は良いな〜!」とつくづく思います。
そして、健康の有り難さも・・・。
約1時間、山頂でのんびり過し、下山する事に。
下山は北西の尾根伝いに北の峰、スキー場経由で戻ります。
山頂直下にちょっとしたお花畑が見つけました。
ハイオトギリやアキノキリンソウ、チシマフウロ、ヤブカンゾウ等に混じって、イブキジャコウソウも可憐な花を咲かせていました。
ハイオトギリ |
チシマフウロ |
ウメバチソウ |
イブキジャコウソウ |
スキー場へ通じる道は笹の刈り分け道、緩やかなアップダウンを繰り返しつつ北に向かっていきます。
日陰のやや湿った所にテングクワガタがズダヤクシュと共に咲いていました。
テングクワガタ |
あちこちで鴬が盛んに鳴き交わしています。
茶色い物が目をかすめたと思ったら、何と鹿が2頭、道の反対側から走ってきてぶつかりそうに、目と目がしっかり会い、距離は3mほど。
あっという間に鹿は下へ走り去りましたが、ビックリしました。
羆でなくてほんとに良かった!
そんな中、岳樺の木に黒っぽい何かが居る!
ビクッとして後ずさりしながら良く見ると、木のコブでした。
驚かせないでよ! |
北の峰への稜線から振り返ると富良野西岳がすっきりした山頂部の姿を見せていました。
富良野西岳 |
また、枯れ木にツルアジサイが巻き付き、見事な花を咲かせていました。
ツルアジサイ |
やがて富良野スキー場が見渡せるようになり、ロープウエイの駅に降りていきます。
リフトやロープウエイの建物などが見え始めた。 |
ロープウエイの駅まで降りてくると、かなりの観光客の人達が、景色を楽しんでいます。
今日、初めて出会う人達です。
家族連れのお父さんが
「山へ行ってきたのですか?」
「はい、富良野西岳と言う、そこの向こうの山へ行ってきたんですよ」
「何時に出たのですか?」
「6時頃かな」
「エッ! 朝の6時にロープウエイって動いているの?」
「いやいや、プリンスホテルから歩いて登ったのです」
「ひえ〜!」
かみ合わない漫才のような会話を交わして、ロープウエイ横のブル道を降り始めました。
観光客の人達が物珍しい獣でも見るような感じで見ています。
降り始めて、ここは観光客の人達の方が正解だったと後悔です。
スキー場を降りる砕石や砂利の道は風情も糞も無く、単調で苦痛。
次に訪れる時には、絶対、ロープウエイで降りるぞと思いつつ、駐車場へ戻ってきました。
富良野西岳(左)と北の峰(右) |