トムラウシ (2141m) (大雪)   2006.9.24(日) 晴れ



9.24(日)
登山口 0630
カムイ天上 0705
C1410m 0800
0810
コマドリ沢出合 0840
0845
前トム平 0945
0955
南沼分岐 1045
1055
トムラウシ山頂 1120
1200
前トム平 1300
1310
コマドリ沢出合 1350
1400
カムイ天上 1525
登山口 1545
何処から見てもそれと分かる、ひときわ高く荒々しい巨大な岩峰トムラウシは旭岳と共に「大雪の雄」と言っても過言では無いと思います。

トムラウシは通常、表大雪として旭岳と同じエリアの山として区分されていますが、旭岳・白雲岳・北海岳・凌雲岳・愛別岳などの山々とトムラウシ・化雲岳・忠別岳・平ヶ岳などとは別に区分した方がすっきりするような気がするのは私だけでしょうか。

いずれにしてもトムラウシは大雪と十勝連山の中間にあり、どっしりした風格と毅然とした独自性を主張する個性的な凛とした山だと思います。
私は十勝から見る牛の角のようなトムラウシの姿が特に好きです。

十勝岳から見たトムラウシ

実は、私達今回トムラウシを訪れる事は考えてはいませんでした。
新得側から十勝岳中腹に広がる美しいと一部登山家の間で評判の紅葉を堪能しに行きたいと思っていたのです。

前日に国民宿舎「東大雪荘」で温泉を楽しみ、早朝新得側十勝岳登山口に向かおうとすると、何と予定していた林道が崩壊で通行止めです。
森林管理所などに訊ねなかったのが失敗でした。
道路地図を見ると別の林道から行けそうですが、遠く回り道をしなければなりませんし、行けなければ丸一日を潰す事になってしまいそう。

躊躇したあげく、一番近い登山口の山「トムラウシ」の途中まで歩き、紅葉見物してこようと急遽決めたのです。
ですからトムラウシの地図すら持っていませんし、事前調べもしてありません。
十年ほど前に訪れた時の定かでない記憶が唯一の頼りです。

こんないい加減な山行、神様から叱られても仕方ありません。
さていかがなります事か?

トムラウシ短縮路登山口に着くとすでに十数台の車が停っていて、すでに皆さん出発したようです。
準備をしていると二台の車が到着、その中に知り合いのYHさんが居ます。
挨拶をすると私達と同様、十勝岳の紅葉見物の予定だったが林道が通れないのでこちらに来たとの事。
同じような目に遭う人も居るものだと、相哀れんで苦笑いです。

登山口からすぐに尾根伝いに緩やかに登り、カムイ天上付近からトムラウシの岩稜山頂部が僅かに望まれます。
稜線上に出ると、左手に朝日を一杯に受けた十勝連山の姿が飛び込んで来ました。


朝日を浴びた十勝連山

近くの山々の間に雲海が浮かんでいてとても良い感じ。
遠くには日高の山々がシルエットとなって浮かんでいます。


雲海に浮かぶ山々、遠くは日高山脈

十勝岳から美瑛岳の中腹は遠くからでも一目で判るほどの美しい紅葉が広がっています。
現地で見たらさぞかし素晴らしく、素敵な事でしょう。
行けなかった悔しさを滲ませつつ、感嘆の声が上がります。


十勝岳・美瑛岳の中腹に広がる、紅葉の帯

道はC1400m付近から稜線の左から右へ移り、前トムラウシ山や前トム平が見え始めました。
この辺りから紅葉がいちだんと進み、私達を出迎えてくれます。


C1400m付近から1794m峰、前トム平(右)

歩き初めて一時間半、ほんのチョロチョロしか流れていない小さな水流の所で一休み。
色付き始めた木々や草、遠くに見えるニペソツ等を楽しみながら、おやつを口にします。


このまま寝てしまいたいほどのポカポカ陽気の中で一休み

しばし平坦な稜線歩きの後、道はほぼ直角に右へ曲りカムイサンケナイ川沿いへ100mも降りていきます。
「折角登ったのに〜・・・」カミさんの声が空しく響きます。

カムイサンケナイ川沿いを少し歩くと二股となり、ここは右股のコマドリ沢沿いを登って行きます。
この二股はこの時期唯一、水がとれる場所でした。

コマドリ沢からは岩混じりの急登、標高差300m程を息を切らしつつゆっくり登り詰めます。
沢上部の礫地では、あちこちから「ピッ、ピッ」という鋭いナキウサギの声が聞こえます。
しばらくジッとして見ていると最初はなかなか目に入りませんでしたが、何匹ものナキウサギが岩から岩へ走り回っています。
初めて見るカミさんは大感激、「嬉しい〜! 可愛い〜!」となかなか動こうとしません。


コマドリ沢上部の紅葉、この岩場でナキウサギが見られた。

ガレ場の急登を登り切ると前トム平、急激に展望が開けてきました。
東大雪の山々、そしてトムラウシへ続く美しい斜面、果物などを食べながらしばらく素晴らしい大展望に見入ってしまいます。


前トム平から石狩連山

当初の紅葉見物であればここまででゆっくりしても良かったのですが、習性とは恐ろしいものです。
折角ここまで来たのだから登ってしまおうと、突撃モードにギアチェンジ。


山肌を彩る美しい紅葉

前トム平から道は一旦下り、トムラウシ公園と呼ばれる小さな湖沼や面白い形の岩などが散らばる斜面を南沼へと登って行きます。
首を伸ばした亀のような岩、カエルがオンブしているような岩、様々で見ていると飽きる事がありません。


小さな湖沼や岩が点在するトムラウシ公園

ロープでしっかり示されている道を緩やかに登ると南沼の分岐です。
ここはキャンプ指定地でもあり、トイレブースも設置してありましたが、この時期水は涸れていました。
ここから西に進めば、オプタテシケ・十勝岳へと歩く事が出来、何時か歩いてみたい所です。


南沼分岐

山頂へは急登を一登り、ここでゆっくり休んで気合いを入れます。
岩陰には一昨日(9.22)に降ったという雪が点々と残っています。


あそこまで登るの〜?

ゴロゴロ石の積み重なった急斜面をペンキマークに導かれながら一歩一歩約30分、すでに山頂に到着していた人達から拍手で迎えられます。
思ってもいなかった今回のトムラウシ、「ヒョウタンから駒」か「棚からぼたもち」か、ともあれ嬉しい。
初登頂のカミさんは「トムラウシなんて思ってもいなかったのに・・・」と大感激の様子、私も嬉しい。


トムラウシ山頂から東大雪方向

風も無く上天気、晴れ過ぎて遠くは少し霞んでいますが、これ以上望んでは罰が当たりそう。
トムラウシから続く化雲岳・忠別岳・高根ヶ原・白雲岳・旭岳などが手に取るように見えています。


山頂から旭岳(左)へと続く表大雪の山々

山頂の岩場の一角に陣取り、パーカーを着込んで大景観を楽しみつつお仲間に入れていただきお昼ご飯です。
周囲の人達も夫々にシャッターを押したり、コーヒーを飲んだり、夫々に楽しんでいます。
歌好きの人が山の歌などを大声で歌っています、確かに上手でしたが、チョッピリ閉口しました。


黄金が原と遠くオプタテシケ・十勝岳方面

私達も記念に一枚、シャッターを押してもらいます。


オ〜イ、髪の毛が立っているよ!

気が付くと十二時です。
もう少しゆっくりしたい気分ですが、登りに約五時間掛りました、帰りも大きな登り返しが二ヶ所もある上、距離もあります。下山を急ぐ事にしました。

ゴロゴロ石を慎重に下り、トムラウシ公園を下ってきました。
前トム平への登り返しの手前に大きなオブジェのような奇岩が聳えています。


巨大な奇岩がそびえ立つ

前トム平からは東大雪の山々が秋色に彩られ並んでいました。


前トム平付近から東大雪の山々

歩きにくいガラガラの礫地をコマドリ沢へと降りていきます。
ナキウサギの声に思わず姿を探すと足を踏み外し転びそう。
振り返ると、次第にトムラウシの姿が隠れていくようです。


コマドリ沢へと降りていく

チングルマやウラシマツツジが真っ赤になって一面に広がっています。
コケモモやクロマメノキの実も熟して甘く美味く、疲れが飛んでいくようです。


美しく彩られたウラシマツツジ

カムイサンケナイ川沿いから100mの登り返しはきつく、疲れた身体には堪えます。
正面にはニペソツが「もう少しだからガンバレ!」と言っているようでした。


ニペソツ

結構疲れて、まだかまだと言う気持で歩いていると、道を間違えているのでは無いかなど疑心暗鬼になってきて、記憶にある風景や場所に出会うとホッとする気分です。

やっと下山に3時間45分も掛かって、登山口へ戻ってきました。
地図も持たないお気軽登山の典型のようなスタイルでしたが、何とか無事に下山して一安心、自分を納得させる為にもきちんと準備して歩く事の重要性を再認識しました。
登山口にはソーラーパネルが付いた男女別のバイオトイレが設置してあります、覗いてみると大変奇麗になっていました。
気持ち良く使わせてもらったら、これまた気持ち良く維持管理の為の協力金を置いていきたいものです。

新調した靴の中敷がまだ慣れないのか、左踵に靴擦れを起したカミさん曰く、
「私、トムラウシに登って一皮剥けたわ !! 」
「む・む・む・・・・」

GPSトラック

 

 

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