野塚岳 (1353m) (日高) 2007.4.19(木) 晴れ
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残雪期の南日高・野塚岳を訪れてきました。 南日高の女神達は機嫌良く美しい姿で迎えてくれました、でも硬雪の上をアイゼンを効かせて快調にと思っていたのに雪は予想外に深く思わぬ苦戦を強いられました。 順調であれば野塚岳から野塚岳西峰を経る周回ルートを予定していたのですが、疲れと雪の状態から野塚岳往復に変更せざるを得ませんでした。 2月末に食卓の椅子を動かそうとして、ギックリ腰になってしまい腰の痛みと不安感が無くなるまで約2ヶ月を要しました。 |
4.18(水)夕方、「無理しちゃダメよ!」の声に送られて野塚トンネルのパーキングエリアへ向かいました。
ギックリ腰で約2ヶ月間身体を満足に動かせなかったので、体力が不安なのですが残雪期の山々を訪れたいという気持を抑え切れなかったのです。
車の中でぐっすり眠り、深夜日高地方を中心に起きた震度4の地震にも気付かなかった程でした。
4時に起きて朝食と出発準備、5時には東の1147mPへ続く尾根を歩き出しました。
雪崩れの危険性がもっとも少ないと選んだこのルート、結構な登りです。
そしてツボ足で歩けるだろうと考えていたのに、スノーシューを履いても膝下位まで、所によっては膝上まで沈みます。
尾根は木々が混んでいますが、時折目指す野塚岳が朝日を浴びて輝いているのが目に入り元気が出ます。
朝日に輝く、野塚岳 |
斜度もかなりあり、スノーシューを蹴り込まないとずり落ちる程で時間だけが過ぎていきます。
振り返るとトヨニ岳が独特のコウモリのような姿で佇んでいます。
振り返るとトヨニ岳が |
高度800m〜900mで一旦斜度は緩みますが、稜線空際はまだ見えません。
霰も混じった雪質はやや不安定、足下から雪まくれや雪玉となって転がり落ちています。
1147mPへ続く苦戦を強いられた尾根 |
やっと1147mPへ辿り着きました。
ゆっくり登っても1.5時間あればと思っていたのに、すでに2時間半が経っています。
その疲れを南東に広がっているオムシャヌプリから十勝岳・楽古岳へ続く凛とした山並みの景観が取り去ってくれるようです。
思わず魅入ってしまいます。
1147Pからの心を癒す景観 |
そして南には目指す野塚岳がこれから辿る1223mPと共に立っています。
1223mP(左)と野塚岳 |
ここからは辛い登りからも解放され、景色を楽しみつつの稜線歩き。
相変らずの深雪の中、いったん下って1223mPへ登っていきます、どんな風景が待って居てくれるのか楽しみです。
右にトヨニ岳とそれに続く稜線、左に楽古岳を見ながら1223mPへ。
そこには圧倒的な存在感で野塚岳が待っていました。
1223mPからの野塚岳 |
野塚岳へはコルまで降りて約200mの一直線の登りです。
見た目は一登りといった感じなのですが、深い上に不安定な悪雪で何度も一息入れながらの登りです。
三歩行っては一歩落ちると言う感じの斜面を一歩一歩無心で登っていると、これ以上高い所は無くなりました。
野塚岳山頂です。
辿り着いた野塚岳山頂 |
野塚岳は夏に沢から登った時とは全く違う表情で出迎えてくれていました。
春というのに凍てついた主稜線の山々、日高の女神達の美しくも厳しい凛とした姿です。
快晴・微風の山頂は気温丁度0度、パーカーを着込み大景観を独り占め、幸せな時間を楽しみます。
コーヒーが美味い。
北西方向には野塚岳西峰からトヨニ岳・神威岳に続く稜線、北側遠くには十勝幌尻岳も見えていました。
野塚岳西峰からトヨニ岳への山並み |
主稜線を眺めていると昨年歩いたトヨニ岳の事が昨日のように思い出されます。
トヨニ岳北峰や神威岳もその姿を現しています。
今年訪れたいと思っているピリカヌプリは姿を隠していて焦らされているかのようです。
トヨニ南峰の向こうに北峰、左側に神威岳 |
野塚岳西峰への稜線は恐ろしいほど細く切れ落ちていて雪庇も張り出しています。
当初の計画では西峰から1268mPを回って降りる積りでしたが、時間はすでに10時過ぎ、しかも硬雪でアイゼンが効けば私でも大丈夫でしょうが深く不安定な悪雪では怖い。
無理をすることはないと、往路を引き返すことに計画変更です。
恐ろしい程切れ落ちている西峰への稜線 |
南にはニオベツ川南面直登沢が真下に延びていてその先には国道236号線の翠明橋が見えています。
南東には野塚岳から続くオムシャヌプリの双子峰、大きな十勝岳、楽古岳が何とも魅力的な稜線で結ばれています。
いずれも沢から訪れたことのあるだけに思い入れの深い山々です。
オムシャヌプリから楽古岳へと続く山並み |
野塚岳山頂で約1時間ゆったりした時間を過し、往路を引き返すこととしました。
素晴らしき景観を楽しませてくれた日高の山々をもう一度眺めて山頂を後にします。
帰りは往きのトレースを利用出来るので存外楽です。
1223mP、1147mPの登り返しもスムース。
トンネルへ戻る急な尾根では尻滑りで楽をしますが、霰混じりの雪は軽い表層雪崩のように身体と一緒に滑り落ちていきます。
今年は暖冬で平地は雪も少なかったのですが、日高の山は予想に反して昨年より雪は多いような感じでした。
春の残雪期は硬雪と思っていたのですが、今年は思いもよらない深い雪。
やっぱり、例年とは違う山の表情だったのでしょうか?