花の大雪 (大雪)  2007.7.14(土)〜15(日)  晴れ


白雲岳(2230m) 小泉岳(2158m) 緑岳(2020m) 赤岳(2078m)


2007.7.14(土)
銀泉台 0650
コマクサ平 0820
赤岳 0935
1030
白雲岳分岐 1110
白雲岳避難小屋 1150

2007.7.15(日)
白雲岳避難小屋 0455
緑岳 0535
0545
小泉岳分岐 0645
白雲岳 0720
0740
小泉岳分岐 0810
赤岳 0835
コマクサ平 0930
銀泉台 1020
7月の大雪は花の季節真っ盛り。
多くの人達が大雪の花や景観を目当てに訪れ、山は賑わいます。

この最も賑わう時期に合わせ、私の所属している「北海道、山のトイレを考える会」では大雪の各避難小屋で活動する事となり、私達も白雲岳避難小屋での活動に参加してきました。

活動の主な内容は使用済みのトイレ紙を小屋のトイレや山中に捨てないで持ち帰って処分する事をお願いする事と避難小屋周辺の清掃、トイレに関するアンケート調査などです。

銀泉台から白雲岳・小泉岳・緑岳を巡るコースは日帰りでも充分なのですが、避難小屋での活動に備え一泊二日の余裕ある計画。
会のボランティア活動が今回のメインですが、この時期ですからゆっくりたっぷり花巡りも存分に味わう心積もりです。

いつもは一人歩きかカミさんと二人の山旅なのに、今回は「山トイレ」の事務局を担当しているKDさん御夫婦と旭川のKZさん、MIさんとの6人パーティ、初めて御一緒する方達でどんな山行になるのかこれまた楽しみです。

銀泉台で前夜車中泊、早朝目覚めると周囲は深い霧。
隣り合わせた車の新潟から来られたという老夫婦は初めての山で不安そう、聞かれるままにコースや注意点などをお話します。
出来れば一緒に登って差し上げたかったのですが、私達は0700の待ち合わせ、山中で携帯も圏外で連絡も出来ず、多くの人が登っているので大丈夫と励まし出発してもらいました。

予定より早く0630頃全員が集合し挨拶、トイレの扉に貼る看板やトイレマナー袋、アンケート用紙などを分担し出発です。
今回のリーダー、KDさんが山トイレの幟を持って先頭を進みます。

ゆっくりしたペースで登って行くと第一雪渓、サンカヨウやミツバオウレンなどに目をやりながら進みます。
雪は一昨年の同時期よりかなり少ない感じでした。

第二雪渓に掛る頃から霧の上に出ました、一転して明るい陽射しを受け、一面の雲海を眺めながら登ります。


雲海から顔を出す、ニセイカウシュッペ山と屏風岳

雲海にはニセイカウシュッペ山・平山、少し離れて屏風岳が頭を出しています。
少し暑くなってきました、小休憩をして着衣を調整します。


一休み、半袖になって涼しく

北東方向にはニペソツ、石狩岳、音更岳などがスックと形良く立ち並んでします。


三國岳から石狩連山、右にニペソツ

一登りすると砂礫の台地となりヒメイソツツジが目立つようになると、間も無く「コマクサ平」に出ます。
一時は盗掘によって見る影も無かったそうですが、監視活動や保護活動、なにより多くの方達の意識の変化によって回復し、コマクサを初めタカネオミナエシ、イワブクロなどが群生して訪れる人を喜ばせるまでになっています。


イワブクロ(タルマイソウ)

コマクサ

広々したコマクサ平、草の緑の中にピンク、黄色、白が散らばり、山々のシルエットを背景に一幅の絵を見ているようです。


石狩連山を背景に広かるコマクサ平

コマクサ平を過ぎると僅かに下って第三雪渓への登りに入ります。
さすが三連休の初日、何人もの人達がこのコース一番の登りである第三雪渓の左縁を列になって歩いています。
一部雪の上を歩きますが、訪れる何百人、何千人の人に踏まれ、真っ黒な雪の階段と化していて積み重ねというのは凄い力なのだと思い知らされました。

景色も次第に広がり、赤岳から東岳の稜線が望まれ大雪らしい雄大さが感じられます。
横長の第四雪渓を登り切ると傾斜は緩み平坦な礫地、タカネスミレ、ジンヨウスミレ、エゾノツガザクラ、チョウノスケソウなどを眺めながら歩けば、赤岳山頂に到着です。


タカネスミレ

大雪名物とも言える、雪渓の縞模様も美しい山並みが目に飛び込んできました、旭岳から北鎮岳へ連なる山並みです。


旭岳(左)から北鎮岳(右)へと連なる大雪の山並み

赤岳山頂とされている所は本当の山頂から南西に200mほど離れています。
大きな岩が積み重なっている山頂に立つと表大雪の山々が一望です。


赤岳山頂から北鎮岳

ここで早お昼を兼ね1時間の大休止、三々五々にパンやおにぎりを口にします。
大の麺好きだというMIさんは何と冷やしうどんを食べています。
水の豊富な沢筋では、うどんや素麺は普通だと思っていましたが、山頂でうどんとは驚きです。
コンビニの冷やしうどん、目からウロコのアイデアで私も真似をしようと思いました。

時間もあるので赤岳周辺の花を見て回ります。


メアカンキンバイ

びっしりと咲いているタカネスミレに混じってメアカンキンバイやイワツメクサも今が盛りと咲いています。


イワツメクサ

赤岳から白雲岳分岐までは丘のような広大な尾根、花と展望を満喫しつつのんびり歩きます。

ホソバウルップソウ、タカネオミナエシ、チングルマ、タカネスミレ、オヤマノエンドウ、キバナシオガマなどなどが咲き乱れる道です。

この辺りで今朝、不安そうにしていた新潟の老夫婦が下山してくるのに出合いました。
何人もの人の助けを借り励まされて、小泉岳まで行ってきたとの事。
嬉しさで弾けそうなお顔を見て、こちらまで嬉しくなりました。

丘の頂点のような小泉岳を過ぎると、今まで姿を隠していたトムラウシや十勝連峰が満を持していたかのように現れました。
「私が大雪の主だ!」と自負しているかのトムラウシ、さすがに素晴らしい!
皆さんから歓声が上がります。


小泉岳付近から見るトムラウシと十勝連峰

雲が沸き上ってきて何とも良い感じ、まさに楽園です。
十勝連峰、先日ガスと雨の中を歩いたオプタテシケ山もしっかりとその姿を見せていました。


十勝連峰(手前の三角がオプタテシケ山)

そして小泉岳から緑岳へ向かう人達が稜線上を石狩連山とニペソツをバックにして、浮かんでいるように見えています。


ニペソツをバックに稜線を歩く人達

白雲岳分岐に来ました。
時間はまだ1100ですが避難小屋での作業をこなさなくてはならない為、白雲岳は明日にして避難小屋へ直行です。

避難小屋キャンプ場に着き、取り合えず自分たちのテントを設営。
ねぐらを確保してまずはトイレの扉と便器横にトイレ紙持ち帰りとゴミ投棄防止を呼びかけた看板を取り付けます。


トイレの扉に看板を取り付ける

トイレ紙の持ち帰りは便槽内の容量を大幅に減らす事が出来、汲み取り期間を倍近く伸ばす事が出来るそうで、是非御協力頂きたい事項です。
また、トイレ以外で用をたす時も環境保全の意味からも見た目の汚さからも、持ち帰りするようしたいものです。

宿泊する登山者の皆さんが到着する前にトイレでの作業を終え、登山者達が続々と到着し始めてからはトイレマナー袋(使用済みのトイレ紙を入れて2重にカバーできる特製袋)を配布しながらアンケート調査をお願いしました。

大多数の方から賛成の御意見と御理解を戴けました。
ぜひ、多くの人達に実行していただけるよう祈りたいものです。

アンケートなどを行いながら、非難小屋の周辺の花々を見て回りました。
この辺りは変化に富む環境下にあるのでしょうか、植えたのではと思うほど大雪山系にある殆どの花を一挙に見る事が出来ました。


タカネツメクサ

タカネツメクサの群落、イワベンケイの巨大な株、エゾノハクサンイチゲの大群落、本当に見事です。


珍しい、リシリオウギ

目にする事の少ないリシリオウギにも出会え、嬉しい限りでした。


避難小屋周辺の御花畑の一部

夕方近くになるとガスが湧き始め、高根が原を覆い始めました。
刻一刻と変わる山の表情、見とれてしまうほどの美しさです。


ガスが高根が原を覆い始めた

小屋には宿泊する人で満員状態、テントサイトもカラフルなテントで埋まり始めました。
談笑したり、食事の準備をしたりする人々のざわめきや水を取りに行く人が行き交い、奥深い山の中とは思えない賑わい振りです。

私達も作業を終え、テントサイトでお酒を飲みながら楽しい反省会兼懇親会。
歩きながらの話しから想像していましたが、旭川からのKZさん、MIさんは経験も能力も深い生粋の山屋さん、様々な興味深くユーモア溢れる話しに聞き入ります。
お酒が飲めないのに明るいKDさんとお酒が大好きで陽気な奥様の御夫妻は私達と同様に山を楽しんで居られる様子、奥様手作りのおつまみを御馳走になりながら懇親会は盛り上がりました。


賑わうキャンプサイト

楽しい一時は直ぐに経ち、やがて白雲岳の稜線に太陽が沈んでいきます。
花盛りの三連休、大雪が最も賑わう日、日暮れと共に騒めいていた喧騒も次第に静かになり山の一日は過ぎていったのでした。

夜中に目覚め外に出てみると、恐いほどの星空。
星の一つ一つが大きく、明るく、天の川もミルクを流したように見えています。
こんな凄い星空を見たのは何年ぶりの事だったでしょうか、感動でした。

明日も晴れてくれると良いな〜!

花、花、花の、二日目に続く

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