天塩岳 (1558m) (道北) 2007.7.30(月) 晴れ
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天塩岳は道北北見山地の最高峰。 花の山としても名を馳せていて、ガマ沢という一本の沢を幾つものピークが取り囲むように連なり、一つの山塊を成しています。 道北は遠いというイメージが強く、訪れたいという気持はあっても中々実現できませんでした。 高速を愛別インターで下り道道101号線を北上、於鬼頭トンネルを過ぎて間も無くある大きな「天塩岳登山口」の看板に従い右折、約17kmで天塩岳ヒュッテです。 ヒュッテは大変立派、手入れも行き届いており奇麗、水場や炊事場、トイレ、駐車場も完備されています。 明るい内に到着できやれやれと思っていると、札幌と函館の友達同士という女性二人連れが到着。 |
立派な天塩岳ヒュッテ |
7.30(月)0400頃、目覚めると青空が覗いていて気分は上々。
朝食を摂り、準備を整え早めに出発です。
コースは時計回りに前天塩岳、天塩岳、1396峰、円山と一巡する予定です。
ヒュッテ奥へ伸びる道は沢沿いに緩やかに続き、沢音を聞きながら幾つか架けられた板を渡りながら歩く気持ち良い道です。
沢沿いの道を行く |
20分ほどで新道への連絡路の分岐を右に分け、道端に咲くヨツバヒヨドリやアザミなどを愛でながら歩くと旧道との分岐に出合いました。
ヨツバヒヨドリなどが沢山咲いていた |
沢沿いを遡る旧道と分かれ、山腹を斜上しつつ沢と平行して登っていきます。
岳樺の中を行く道は良く整備され沢音が聞こえなくなる位高度を上げると、右手には帰路に歩く円山方面の稜線が木々の間から見え始めました。
ダケカンバの林の中を行く |
やがて道は左に向きを変え、前天塩岳に向かってジグを切りながら突き上げていきます。
しばらく樹林帯の急登を耐える時間が続きます、やがて森林限界となり周囲の視界が開けました。
正面には岩屑の積み重なった斜面が続く前天塩岳、後ろには表大雪の山々が見えて来て、思わず歓声です。
表大雪と十勝連山の姿が望まれる |
歩きにくい岩屑の道を高度を上げれば、山火事で枯死したというハイマツの原が白い骨のように見える山頂部。
前天塩岳の山頂です、素晴らしい大展望。
清々しく透明感抜群、気持も晴れ晴れ、爽快感に満たされます。
前天塩岳から天塩岳と表大雪の山々 |
南にはドッシリとした天塩岳、その後ろに表大雪、北大雪、十勝連山、夕張連山、遥か遠くには斜里岳や知床の山並みも見えています。
こんな素晴らしい大景観なのに、それを手にしているのは贅沢にも私一人、勿体なく申し訳ないような気分です。
ニセカウ、武利岳などの北大雪の山々 |
何時までもたち尽くすわけにも行かず、前天塩岳から天塩岳へと向かいます。
少し下ったコル付近からは天塩岳が堂々たる姿でそびえ立っています。
天塩岳 |
花の名山も花の時期はすでに終わっているようで余り見られませんでしたが、コル付近にはハイオトギリ、ヨツバシオガマが露に濡れて咲いていました。
夜露に濡れた、ハイオトギリ |
ヨツバシオガマ |
心地よい稜線を辿り天塩岳山頂を目指します。
左手には北見富士からチトカニウシ山に掛けての山並み、右手にはガマ沢の深い谷とそこから上がってくる旧道が見えています。
コルから一登りすると滝の上町からの渚滑川コースが合流してきました。
山頂直下にはゼンテイカがオレンジの花を付けていました。
ゼンテイカ |
主峰である天塩岳山頂に着きました。
全体に雲がやや湧いてきて目立つようになってきましたが、空気が透き通っていて何処までも見通せる感じです。
天塩岳山頂から表大雪の山々 |
北側は低い雲で覆われていますが、その他はスッキリ見渡せます。
表大雪がこんなに近いのかと思わせる大きさで、右手から愛別岳、旭岳、凌雲岳、白雲岳など北海道の屋根が横たわっています。
天塩岳山頂標識 |
静か過ぎる静寂の山頂に座りボンヤリ景色を眺めていると、頭も心も空っぽになり時間だけが過ぎていく。
雲がゆっくり流れています。
前天塩岳 |
いつまでも座っていたい気分を払いのけるように立ち上がり、足を進めることにします。
山頂からハイマツと笹の広い斜面をゆったり下りていきます。
西天塩岳(左)と円山(右) |
さらに進むと避難小屋。
近くには遭難碑が立っていましたが、関係あるのでしょうか?
避難小屋、奥はトイレ |
なだらかな円山へはハイマツの緩い登り、アカネトンボの群れが飛び交い、アキノキリンソウが咲き、ウラシマツツジが紅葉を始めている。
夏の盛りの時期だというのに、山は秋の支度を始めているのですね。
アキノキリンソウ |
赤く染まり出した、ウラシマツツジ |
その名の通り丸い、円山からは天塩岳と前天塩岳がなだらかに優美な姿を見せていました。
円山から見た、天塩岳(右)と前天塩岳(左) |
円山から小一時間尾根を進むと新道と連絡路の分岐、ここを右に折れドンドン下ると往路に合流し、天塩岳ヒュッテに戻ります。
天塩岳、本当に静かな山旅を楽しむことが出来ました。
グループでワイワイガヤガヤの賑やかな山行より、一人か二人で静かに物思いに耽りながら歩くのが似合っているかの天塩岳です。
ヒュッテに戻ると静岡から来て北海道の山を旅しているという、御夫婦に出会いました。
問われるままにトムラウシや幌尻岳の情報をお教えします。
折角来られたのですから、北海道を大いに楽しみ満足して帰ってもらいたいと思いました。