ウェンシリ岳 (1142m) ポロナイポ岳 (1110m) (道北) 2007.7.31(火) 晴れ
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道北山の旅の二日目はウェンシリ岳です。
麓にある「氷のトンネル」は観光名所として名高いのですが、先年崩落死亡事故があり現在は立入り禁止となっています。 天塩岳を下山して滝の上町で買い物、道道137号線を西興部方面に走り、札久留峠を過ぎた所に「ウェンシリ岳登山口」の大きな看板があります、これに従って左折し氷のトンネル・キャンプ場へ向かいました。 キャンプ場に着くと、札幌から来たというとてもヤンチャで可愛い子供三人連れの五人家族が丁度ウェンシリ岳から降りてきました。 この御家族と連れ立って、氷のトンネルを見物に行きます。 |
氷のトンネル |
幻想的な雰囲気すら漂う |
この日はキャンプ場で車中泊、やや古いながら炊事場やトイレもありますが、水は横を流れる氷のトンネルからの小さな沢水を利用するしかありません。
不安であれば、別途用意してきた方が良さそうです。
7.31(火)は朝から快晴、新たな山との出合いに期待して出発です。
キャンプ場脇から直ぐに東尾根に取り付いていきますが、これがとてつも無い急斜面、信じられない傾斜です。まだ目覚めていない体が悲鳴をあげています。
最初の超急斜面を過ぎてもキツイ登りが続き、昨日会った子供たちが良く登ったものだと感心したほどでした。
約1時間歩くとC640mで今は閉鎖となっている氷のトンネル末端から登ってくるルートとの合流点、下降点にはロープが張ってあり通行止めとなっていました。
尾根を登ると、朝の景色が広がっていた |
ここから尾根は細くなり岩場混じり、ロープ場や岩を攀じる場所もあり、ちょっとした緊張感を味わいつつC820m付近まで進んでいきます。
岩場やロープ場が続く尾根 |
朝だというのに暑くなってきました、昨日に比べて気温が上がっているようです。
加えて直射日光が容赦なく照りつけて、体感温度は急上昇。
C1000m付近で樹林帯を抜け、北側の帰路に使う稜線が見え出しました。
時折吹く風が心地よい。
北側の稜線、中央は1083mピーク |
やがて、正面に山肌が草付きの雪崩れ斜面になっているウェンシリ岳が大きく姿を現しました。
稜線から見るウェンシリ岳 |
初めての山、どんな景色が待って居てくれるのか?
一頑張りで、ウェンシリ岳山頂です。
山頂は小さく刈り払われていますが、北から西側に掛けては木に遮られ見通しが利きません。
南側には氷のトンネルに続く沢筋と登ってきた尾根筋が眼下に広がっていますし、東側には霞んでいますがオホーツク海や港が見えています。
登ってきた尾根と右に氷のトンネルに続く沢筋 |
山頂でトマトやゼリーで喉を潤し、梅干しで塩分を補給して後半に備えます。
ここから西隣のポロナイポ岳に立ちより、北側の稜線を辿りウェンシリ岳中央登山口へ降りる予定です。
山頂から北尾根を100m程下るとポロナイポ岳への分岐、道は一部笹が被り始めていますが、刈り分け道が明瞭に続いています。
分岐付近からのポロナイポ岳 |
コルへ降りる手前でササに足を滑らせ、以前から痛めていた左足首の筋をさらに痛めてしまいました。
激痛が走り、しばらく動けません。休んで湿布を貼りテーピングの応急処置です。
何とか歩けるようになり、左足をかばいながら山頂を目指します。
笹の斜面を登りきると、いかにも急ごしらえで刈り払われた感のする「下川町町制40周年記念」の看板の立つポロナイポ岳山頂です。
ポロナイポ岳山頂 |
やや霞んでいて昨日の天塩岳ほどではありませんが、大雪の山々も良く見えています。
期待していた利尻岳や日本海は見ることは出来ません。
ポロナイポ岳からの大雪の峰々 |
痛めた足をケアしながら休んでいると、変なことに気付きました。
ポロナイポ岳山頂標識には1093mとなっていますが、それは山頂西側の岩峰の標高で実際は1110mが正しいのではないかと思ったのです。
些細なことですが、地形図からも実際の地形からもそのように感じました。
ポロナイポ岳から南西方向の景観 |
ポロナイポ岳から見るウェンシリ岳も大きくドッシリ感じます。
辿ってきた尾根とウェンシリ岳 |
一旦、ウェンシリ岳山頂直下まで戻り、北尾根を1083mピーク、1024mピークを経て中央登山口を目指します。
稜線はかなり長く、起伏を幾つも超えながらの歩きが続きます。
最初は元気だったのに暑さと直射日光で消耗も激しく、次第に体力・気力が失われていくよう、バテないよう意識してゆっくり歩きます。
時折咲いている花を見ても、写真を撮る気持にもなれません。
1083mピークからのウェンシリ岳 |
1083mピークから下山する方向を眺めると下りの尾根はまだまだ長く、ウェンシリ岳から素直に氷のトンネル登山口へ降りれば良かったと後悔ですが、今更後悔しても仕方ありません、意を決して頑張るのみです。
下山方向を見る |
急な下りは痛めた足首に負担が掛かり痛む為、一歩一歩慎重に降りざるを得ません。
もどかしい限りですが、さらに痛めて歩けなくなったら一大事。
中央登山口に着いた時にはへたり込んでしまうほどでした。
でも、辛かったのはここからでした。
出発した氷のトンネルキャンプ場までの舗装された車道6kmは、これまでの暑さと疲労に道路の照り返しも加わり、本当に辛く苦しく感じました。
やっとのことでキャンプ場に戻り、濡れるのも構わず沢水を浴びて人心地でした。
辛い思いもしましたが、ウェンシリ岳は思っていたより大きく変化もあり、そして何より静かな山でした、良い山でした。
今回の道北山の旅は天塩岳とウェンシリ岳を心ゆくまで楽しみました。
「静かさ」、これが今回の山旅で一番感じた道北の印象でした。