千歳川散歩道央)  2008.1.10(木)  晴れ



自然観察指導員仲間のMYさんから「千歳川のふ化場から第四発電所の間で珍しい様子が見られるよ」と連絡があった。
何事だろうと早速訪れてみた。

この付近は春に野の花や山菜を目当てに度々訪れるのだが、冬のこの時期に来たことは無い。
念のためスノーシューを持ってきたが雪不足は市内と同じで10cmほど、長靴で歩き始めた。

川の流れを見ると何か変だ、白い物が沢山横たわっている、いや動いている。


川の流れの中に白っぽい物が沢山

我が目を疑った、鮭、鮭の大群。
何で鮭がこんな群れで居るのだ?
千歳川を上ってくる鮭は市内に仕掛けられている「インディアン水車」で捕獲され、ふ化場で稚魚となり放流されている。
捕獲数は毎年8万匹を超えると聞いている。


白く変色しながらも悠然と泳ぐ鮭

考えられるのは、今シーズンの遡上は終了したとインディアン水車が取り外された後に、大量の遡上があったということなのだろう。

水が湧いている所なのだろうか、100匹単位の群が何十カ所も。
産卵の時期が熟すのを待っているのか、ペアを作り並んでゆったりと泳いでいる。
一方ではメスを巡ってオス同士が激しく体当たりしたり、噛み付き合って争っている。
そしてその側には役目を果たし力尽きた鮭達が川底に累々と横たわっている。


役目を終え、力尽きた鮭の群れ

このような自然の営みを千歳川で見たのは初めて、カミさんと二人、声も無く見入っていた。
子孫を残すという懸命な姿は何という感動なのだろう。

上流へ歩いても鮭達の営みは至る所で続いていた。
岸辺近くで力尽きた鮭をキタキツネとカラスが奪い合い、戦いに破れたキツネが恨めしそうに振り返りながら去って行く。勝ったカラスは得意げだ。

餌の少なくなる時期、キツネやカラスにしてみれば思いもかけなかった御馳走のはず、生きるための真剣勝負、戦いだ。

鮭が他の動物達の命を支え、森を豊かにし、川の水の養分となる、そんな連鎖を目の当たりにすると自然の豊かさ不思議さを感じざるを得ない。


最後の力を振り絞って泳ぐ鮭達

森の中にはキツネや鹿の足跡、鳥達の鳴き声で満ちあふれている。
いつもはそちらの方に気を引かれるのだが、今日は川の中に引き込まれる。

やがて第四発電所に着いた。ここが実質的な魚止めだ。

今年は例年になく雪が少なく気温も高い。
時期外れの鮭の遡上もその影響かも知れない。
地球温暖化の影響か、何か異変が起きているのか、私には判らないが、何かがおかしくなっている気がしてならない。


暖冬とはいえ、冬らしい景色も

鮭達の命を燃え尽くす営みをまじかに見、荘厳さと厳粛さに感動し、口数も少なく帰路に付いた。

本能の命ずるまま、必死で行動する鮭達の必死さ、力強さ、美しさには何の奢りも見栄も無いためか、神秘ささえ感じる。

それに引き換え人間の行動はどうなのか、見栄や強欲、奢り、諂いに支配される部分があまりにも多いように感ずる。
自然に教えられることは多い、でもその教訓を実践することは難しい。

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