愛別岳(2112m) 

 

永山岳(1978m) 安足間岳(2194m) 比布岳(2197m) 当麻岳(2076m)



  (大雪) 2008.7.15(火) 晴れ・ガス

 

 愛別岳

2008.7.15(火)
愛山渓温泉 0400
村雨の滝 0500〜0510
永山岳 0715〜0725
愛別岳分岐 0755
愛別岳 0835〜0905
比布岳 1005〜1020
当麻岳 1055
C2000m 1140〜1155

1591mP

1250〜1300
沼ノ平 1325
愛山渓温泉 1430

プロローグ

7月中旬は大雪の花達に逢いに行くのが恒例行事のようになっている。
今年も五色が原からトムラウシ付近を一泊でゆっくり巡ろうと楽しみにしていたのだが、主役のカミさんが腰を痛め大事を取る事にした。
カミさんは可哀想に静養だが、逆に誰かは鎖を解き放たれた犬のように勝手気ままにほっつき歩ける。
そこで以前、悪天候のため敗退した山を再訪してみる事にした。

その一つ目は愛別岳。
数年前、紅葉の時季に訪れたが氷雨と濃いガスにモチベーションが下がり断念したのである。
愛別岳は表大雪の山群から少し離れていて、永山岳と比布岳へ続く稜線途中から北に延びる吊り尾根を辿る。
柔らかい優しい姿の山が多い大雪の中では珍しく、尖った荒々しい景観を見せる山である。

登山基地でもある愛山渓温泉はひっそりしていた。ここは花より紅葉の時期が人気なのであろうか。
天候回復を願い、一杯やりながら車中泊。
目覚めると雲の流れは早いものの晴れてくるような感じ。
やれ嬉やと、準備を整え、早立ちする。


びしょびしょ!

愛山渓温泉からイズミノ沢沿いにまだ薄暗い林の中を朝露に濡れながら歩く。
大丈夫とは思いつつ、時折気休めに笛を吹き声を出す。

イズミノ沢


右岸から左岸に渡り、沼の平への道を右に分けしばらく行くと、正面に滝が見えてくる。
「昇天の滝」次いで「村雨の滝」、姿形も良く立派な滝だ。
村雨の滝を左から巻くと沢を渡り、永山岳への登りとなる。
この沢で水の補給、冷たくて痺れるようだ。

二段に流れ落ちる村雨の滝村雨の滝

永山岳へは笹と岳樺の急斜面、見通しもなくひたすら耐える時間が続く。
気付けば、笹の朝露でびしょびしょ。
雨着を着ようかと思ったが、後の祭りだ。

お花畑

C1700m付近からハイマツ帯となり、見通しも開けてきた。

永山岳
視界も開けて来た、正面が永山岳。

上空は晴れているのだが、低い雲と言うかガスが早いスピードで流れている。
やがて周囲には花が目立ち始めた。

お花畑が広がるお花畑

ハクサンイチゲ、メアカンキンバイ、エゾキスゲ、チングルマ、イワヒゲ、コマクサ・・・
白雲岳や小泉岳のような種類の豊富さや派手さは無いが、静かに広がるお花畑は心が洗われるようで気持ち良い。

こまくさコマクサ

 

イワヒゲイワヒゲ

ド迫力!

銀明水の標識を見て少し登れば、永山岳。
北側は切れ落ち荒々しい谷、その向こうに目指す愛別岳がガスの切れ間から迫力ある姿を覗かせている。

永山岳永山岳にて

 

地獄谷
永山岳から見た愛別岳

 

安足間岳に続く稜線から愛別岳

永山岳から比布岳への稜線を歩くが、左側は荒涼としたもの凄いこの世のものとは思えない程の険しい谷。
高度恐怖症ではない私だが、思わず後ずさりしたくなる光景だ。

愛別岳へは安足間岳と比布岳のコルから北に延びる吊り尾根、急斜面のザレ地を下りる。
尾根に乗ってしまえば思ったより広く安心して歩けるが、最初の取り付きは足場が不安定なので注意が必要だ。

愛別岳下り始めた吊り尾根から永山岳

ガスが短い周期で被ったり晴れたりしている。
たとえガスが被り見えなくなっても、尾根の一番高い所を歩けば良いだけだ。

吊り尾根から見た愛別岳愛別

直登!

裸地の吊り尾根を渡り、愛別岳に取り付く。
道は付いているのだが、ボンヤリしていて岩礫の中で見失ってしまった。
戻るのも面倒。ままよ!と岩を適当に直登すると山頂直下で右から道が合流して来た。

山頂愛別岳山頂から振り返る

 

愛別岳山頂にて山頂にて

ガスが行き来する愛別岳山頂でのんびりした時間を過ごす。
遠くは見えないが見え隠れする永山岳から比布岳の断崖、うっすら見える大雪独特の雪模様、恐ろしい表情の地獄谷、風の音だけ、静かだ。

そんな愛別岳山頂にも幾つかの花が咲いている。
タカネスミレ、メアカンキンバイ、ヒメイワタデなどなど。

タカネスミレタカネスミレ

 

 

ヒメイワタデ花

愛別岳山頂を満喫し、吊り尾根に戻る。
道は直登した岩場の右側を回り込むようになっていた。


小さな岩峰とイワヒゲが可愛い表情を見せている。

岩峰イワヒゲと岩峰

まったり!

稜線に戻り比布岳へ。
北海道第2の高さを誇る北鎮岳が目の前にどっしりした姿を見せている。

北鎮岳北鎮だけ

急げば行って帰る事も出来そうだが、目的の愛別岳は登れたし、無理する必要は無い。
後はのんびり景色や花を楽しみながら過ごそう。

安足間北海岳など

安足間岳に3人の人影が見える。今日、初めて目にする人影だ。
私も安足間岳に戻り、当麻岳、沼の平を経て愛山渓温泉に戻ることにする。


足下は一面のお花畑、独り占めしているようで申し訳ない感じさえする。

エゾノツガザクラ栂桜

 

ヨツバシオガマヨツバシオガマ

 

ミヤマリンドウリンドウ

この他にもコマクサ、まだ莟が多いイワブクロ、旬を過ぎた感じのエゾコザクラと豪勢な花の競演だ。
何と言っても圧巻はチングルマの群落。見事と言うよりほかは無い、圧倒されてしまう。

チングルマ一面チングルマの群落が続く

安足間岳から当麻岳の広く緩やかなお花畑を堪能しながら歩いて行くと、3人パーティに追いついた。
挨拶し、話をすると、富山から来られていると言う。
劔岳を始めとした北アルプスの本場からわざわざ来られている。有り難い事だ。
それだけ北海道の山は素晴らしく魅力的なのだと思うし、この地に住む私達は幸せなのだと思う。

C2000m付近からグ〜ンと下り、当麻乗越へ。
愛別岳とは全く異なる、湿原が広がる穏やかなゆったりした景観を楽しみながら下って行く。

沼の平を見下ろしながら湿原

当麻乗越からは裾合平や姿見の池のロープウェイ駅も近くに見える。
旭岳はこの日、雲から顔を出す事は無かった、ご機嫌斜めだったようだ。

旭岳は雲の中だった

沼の平には高山植物の保護が目的だろうが木道が整備され、点在する沼を縫って快適に歩ける。
気持ちの良い遊歩道、まったりした気分、足取りも緩やかになり満足だ。

ワタスゲの咲く沼ワタスゲ

ぬちゃぬちゃ、ベトベト!

沼の平を過ぎ、八島分岐を左へ、永山岳の道を右へ分け愛山渓温泉へ下って行く。
この道はいつもどろんこ道。ぐちゃぐちゃ、ぬちゃぬちゃだ。
下手に避けようとせず、真ん中を歩いた方がどうせ汚れるのだし滑る危険も少ない。
開き直って降りれば、愛山渓温泉の靴洗い場が待っていてくれる。

荒々しくも静寂!

2度目の訪問で登ることができた愛別岳、愛別岳を含む表大雪北部の山々は荒々しい近寄りがたい雰囲気と穏やかな表情を併せ持つ静かな山々だった。
近くの旭岳や黒岳、花の名所白雲岳周辺の賑やかさ、派手さが嘘のような静けさだ。

大雪の余り知られていないもう一つの顔、それが愛別岳と言えるのかも知れない。

 

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