縦走目的地の旭岳(左)と秋の空
北海道の十勝と大雪を結んでの縦走を夢見る岳人は多い。
私も2年前の6月にチャレンジしたのだが、雨とガスでオプタテシケ山で断念・敗退していた。それ以降決して諦めた訳ではなかったが、中々チャンスに恵まれなかった。
そこに山仲間のNMさんから「美瑛富士から旭岳まで付き合わないか?」とのお誘いを受け、喜んでご一緒する事になった。しかも有り難い事にテントは彼が担いでくれるというおまけ付きである。65歳と60歳の高齢登山隊、経験はあるが体力は無い。
4泊5日のゆったりした計画で訪れた。
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朝、NMさんと長沼で待ち合わせ、下山予定の旭岳温泉に車一台をデポ、美瑛の白金にある美瑛富士登山口へ向う。 登山口に着くと既に10台程の車が停まっている。
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準備を整え、5日間の山旅へ勇躍旅立つ。
私は55ℓザックにぎっしりと詰め込めるだけ詰め込んでいるが、NMさんは性格と同じくおおらかにゆったり詰めるのが好きとかで120ℓザックを担いでいる。
デカイ! 見ているだけでも重そうだ。
水は美瑛富士避難小屋では採れない事が予想されるのでそれぞれ4ℓを持った。林道を少し歩き登山道へ入る、しばらくは樹林帯なので日陰ではあるが気温が高く暑い。
約1時間で天然庭園、トドマツの森が日本離れした景観を見せている。
天然庭園
C1400mを過ぎると傾斜が急になってくる。
暑さと荷の重さに負けそうになりながらひと頑張りすれば、森林限界となり正面に石垣山がその左にオプタテシケ山の山並みが見え始めた。
オプタテシケ山
遥か遠くにはトムラウシの姿も小さく見えている。
計画ではトムラウシを越えてまだ先まで歩いていくのだ。
遠いな〜、遠い!
「よし行くぞ!」という思いと「大丈夫だろうか?」という不安が心の中で交錯する。C1550m付近の細い水の流れている小沢で大休止、この先にはもう無いだろうと水もさらに補給した。
炎天下、暑さに弱い私はグッタリ気味だが高知在住のNMさんは暑いと言いながら平気な様子、住んでいる環境により体質も違ってくるようで面白い。20人近い大パーティが降りてくる、日帰りオプタテシケ山のグループで皆さん大変お元気、大したものだ。
6月には雪がたっぷりあった小屋手前の二本の沢もすっかり枯れている、美瑛富士や石垣山、ベベツ岳にも全く雪は無い、やはり今年は小雪だったのだと実感する。
2年前には3時間で着いた避難小屋、今回は4時間掛けて辿り着いた。
避難小屋付近
小屋の周囲にはアキノキリンソウ、ミヤマリンドウ、エゾオヤマリンドウなど秋の花が目立ち始め、キバナシャクナゲ、イワウメ、チングルマ、コザクラなどで華やかだった初夏とは景色が一変している。
ミヤマリンドウ
小屋には学生の4人パーティ(男女2名)が先着していて挨拶しながら私達も小屋の人となる。
明日の事を考えると双子池まで行っておくのがベターなのだが、初日から無理をする事は無いと荷物を整理し、早速乾杯。
若い人達の目線を気にしつつも、四方山話を肴にウイスキーや栗焼酎が進む。
アキノキリンソウ
暮れ行く夕方の景色を楽しみながら話に花を咲かせていると、四国の話に興味を持ったのか女子学生の一人がお遍路に行ってみたいのだがと話しかけて来た。
四国が地元のNMさんが嬉しそうに色々話をする、私もこの春のお遍路体験を話す。彼女はテントを担いでお遍路に行きたいそうだ。
彼女の体力なら大丈夫だろう、聞かれるままに持っている情報を提供した。
若い人にも興味を持たれるお遍路って一体何なのだろうか? 今更ながら考えてしまう。お寺のみならず、地元の人達とのふれ合いや自然との出合いに感動し本当に悔いの無い素晴らしい旅であったと言う私の感想に彼女は深く頷いていたが・・・・。
美瑛富士避難小屋