オプタテシケ山からトムラウシ、その左奥に旭岳を望む
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快晴
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石垣山の山頂部を巻きながら進み、コルからベベツ岳へ。
正面やや右から朝日が昇って来て目映いばかりだ。
ベベツ岳への道から振り返る
ベベツ岳を越えて一旦コルまで下がりオプタテシケ山へ登っていく。
この辺りはナキウサギと思われる鳴き声が周囲の岩から聞こえ、花も多く別天地のようだ。
朝日を浴びながらオプタテシケ山へ
コルから標高差200mを頑張ると大岩がゴツゴツした今日の最高峰オプタテシケ山だ。
前回は雨とガスで何も見えなかっただけに始めて目にする大景観がことの外嬉しい。
オプタテシケ山山頂で
オプタテシケ山からは、十勝連山、表大雪、東大雪、芦別、日高の山々がズラリと見渡せ、正に大景観。
NMさんと共に素晴らしい景観に酔いしれる。
左から下ホロカメットク山、富良野岳、十勝岳、美瑛岳、美瑛富士
そしてオプタテシケ山の北の肩からはこれから歩いていくコースが手に取るように見て取れる。
そうなのだ、今日歩くコースこそ今回の山旅の核心部なのだ。
手前から順次ピークを繋ぎトムラウシへ歩いていく
遥か彼方だ。遠い! 気が遠くなりそうな距離。
でも歩いてみたい。
頑張ろう、二人で励まし合って歩いて行けば弱気の虫も大人しくしている筈だ。「NMさん、行くよ〜!」と核心部であるオプタテシケ・トムラウシ間の未知の領域へ足を踏み入れた。
オプタテシケ山の北の肩からは、標高差600mの一気下り。
下るだけでも途中で休まないと辛い位の急坂だ。
ここを登る事など考えたくもない。
亀のようにゆっくり着実に歩かなければいけないと「亀坂」と名付けられたのだろうか?降り切った最低コルが双子池のキャンプ指定地、しかし沢の水はほとんど涸れて滴り落ちる程度。
この時期は溜まり水を煮沸して利用するしかないのだろう。
双子池を過ぎると湿地帯、そして笹被りの道となる。
下はグシャグシャ、前は笹。歩きにくい事この上ない。
四国で薮漕ぎの経験が無いNMさんは大きなザックのせいもあり辛そうだ。
1時間弱でやっと薮漕ぎから解放され、やれやれ。
1668mPから振り返るオプタテシケ山
双子池から三川台までピークだけでも、1569P、1668P、コスマヌプリ、1591P、1558P、ツリガネ山横P、三川台とあり、ピーク以外にも上り下りが激しい。
一つ一つのアップダウンは大した事ないのだが、しつこく続く上り下りはいい加減嫌になる。それに加え、ジリジリ照りつける暑さ!
水を飲む、汗をかく、さらに暑い、また水を飲む、食べ物は受け付けない。
気怠くなってくる、助けて〜!
コスマヌプリからトムラウシへの道
この日は北海道各地で真夏日になったそうだ、涼しさにすっかり慣れている私にとってこの暑さは最大の敵。
それに引き換え南国育ちのNMさんは暑いと言いながらも平気な顔をしている、大したものだ。へばりながらも歩かなければ前へは進まない。停まっていては進まないのだ。
一歩だ、この一歩だ。この一歩の繰り返しが今必要なのだ。
いつの間にか「南無大師遍昭金剛」と心の中で呟きリズムを取りながら歩いている自分が居た。どうしてだか自分でも判らない、笑うしか無い。
後でNMさんに話したら、やはり大笑いをされてしまった。そうだよな〜。
弘法大師という人の人間としての図抜けた大きさを尊敬こそすれ、別に信じている訳でもない。
でも何とかそれで歩き通せたのだから、良しとしよう。
お大師様、後押しして下さって有り難うございました。
ツリガネ山付近から十勝連山
ツリガネ山の横を通過し、C1507mのコルから200m強を登り切れば今日のキャンプ予定地三川台だ。
ヘロヘロ状態で何とか登っていくとC1700m付近にテン場があった、しかもそこから二つ沼方向へ踏み跡が延びている。もう限界だ!
そこでキャンプする事に躊躇は無かった。
NMさんが水を汲みに行き、「たかさ〜ん、コップを用意して!」と叫びながら戻って来た。
その水の美味かった事、生ビールより美味しいと感じた甘露の水であった。テントを設営し、潜り込めばそこは苦闘12時間の疲れを癒してくれる天国だ。
一杯のウイスキーと焼酎がたちまち夢の中に誘ってくれたのだった。
二つ沼のテン場