美々川は千歳市の新千歳空港近くにある千歳湖を源流として苫小牧市のウトナイ湖に注ぐ、全長僅か10km程の小さな川である。
小さな川ではあるがなかなかの清流で、ラムサール条約登録湿地に指定されているウトナイ湖の環境を維持する役割を担う重要な川でもあるのだそうだ。
札幌で看護士をしている娘が休暇で帰って来た、浜厚真でサーフィン三昧の予定とか。
ところが、水に濡れてもOKな日焼け止めクリームを忘れて来たと慌てている、カミさんの日焼け止めではダメだそうだ。
折角の休暇なのに、する事が無くなったのでは少し可哀想!それでは樽前山にでも行こうかと外を見ると、山は雲の中。
ラフティングが面白そうだと調べると、雪解けの増水時期が主で水量の少ない今の時期はやっていない。
ついていないねと諦めかけたら、近くの美々川でカナディアンカヌーを楽しめると言う情報を見つけ、親子三人で出かけてみた。
指定された集合場所である第2美々橋に行くと、三々五々参加者達が集まって来た。
カミさんと娘は神妙な面持ちで指導者の説明を聞いていたが、大半の人が始めてで初心者でも大丈夫と解ると安心したような笑顔を見せている。
ライフジャケットを身に着けて
カヌー下りは第2美々橋からウトナイ湖手前までの約5km、前半は葦原の中の比較的広く緩い流れを下るそうだが、後半は川幅も狭まり流れも速くなるそうである。
我が家の女性陣、不安定なカヌーに恐る恐る乗り込み、勇躍美々川の水面に漕ぎ出した。
と言うより正しくは指導員のお兄さんに押し出され、突き放された。「アワワワ・・・」「チョット〜!」「お母さん、右よ右だってば〜」「あら以外と気持ち良いわよ!」等等、その賑やかでかしましい事。
「いってらっしゃい〜!」
落ちるなよ〜!
カヌー目線で
気持ち良いわ〜!
下り始めてしばらくは、葦原の中をゆったりと下って行くというか、流されて行く。
息を合わせず一人が手を抜くとカヌーは横を向いたり、傾いたりするそうだ。
こんな牧歌的風景の中をカヌーは下って行く
所々木々の枝が川に出っ張っていたり、川幅が狭くなっていて、コントロールできず何度か薮に突っ込んだり枝に体当たりもしたらしい。
そうそう、真っすぐにね〜
中間点の植苗橋近くまでやって来た。
見る限り安定しているし、余裕もあるようだ。笑顔が輝いている。
内心秘かに期待していた「沈」は、まだしていないらしい。
余裕の笑顔も
早くもベテランの域に達したのか?
息も合って
下って行く途中、美々川に住み着いてしまった白鳥一家が仲良く泳いでいるのを見かけたり、
今年生まれた雛4羽と親鳥の6羽がウトウト気持ち良さそうに昼寝をしているのを見かけたそうだ。
どうも、どの世界にも安・近・短を好むのが居るらしい。
千歳住まいの白鳥一家
植苗橋からウトナイ湖までは流れも速くなり狭い所もあったようだがそれなりに楽しみ、母娘は協力し合って無事終着点に到達した。
岸に上がって来た表情はもう一端のカヌーマンそのものであった。
やったわよ!
始めてのカヌー、全くの初心者だったのに沈没する事も無く、とても楽しかったと大喜びだ。
なにより川面に近い目線で眺める風景は新鮮だったし、美々川の澄んだ水や藻の流れも印象的だったようだ。
そうであれば、一人4000円もリーズナブルかも知れないな〜。この母娘、次も二人で何か面白い事に挑戦しようとヒソヒソと相談していた。
「どうぞどうぞ、どうせそうでしょうよ!」
「男は黙って、一人でビール!」
・漕ぎゆけば 秋の日暑き美々川に 影ゆらしつつ水鳥の居り・ゆらめきつ 赤きカヌーで川面行く 見上ぐる空のあまりにも広し |
静かな美々川の風景