神居尻山から見る増毛山地
|
神居尻山
|
長沼町に別荘を持つNMさんご夫妻から、神居尻山へご一緒しませんかとお誘いを受けた。
夫婦二組でと言う事だったのだが、残念ながらカミさんはまだ痛めた腰に不安があり、私一人でお付き合いさせて頂く事とした。神居尻山へ向かう車中では、長らく教職に就いていた奥様の豊富な話題で盛り上がり、あっという間に道民の森に到着した。
お天気はあいにく低い雲に覆われ、雨の心配は無いものの展望は期待薄の気配である。NMさんご夫妻
今日はBコースから登りCコースを下りる予定である。
Bコース登山口の駐車場に車を停め、準備を整えNMさんの奥様のペースで歩き出す。道の両側にはツルリンドウの赤い実、オオツリバナ・マユミ・オオカメノキなどの実が可憐さを競い合い、ヤマブドウの実は黒紫に熟して美味しそうだ。
北海道の山に不慣れの奥様は羆を必要以上に怖がっていて可笑しい位、確かに恐い動物なのだが目の敵にされる羆も少し可哀想だな〜。やがて樹林帯に続く急傾斜の滑り易い道となり、悪評高い階段が現れ始めた。
何とも歩幅が合わないし、自然の道ではない階段を上るのは疲れ、嫌気がさす。
さらにご丁寧にも太いロープが手すり代わりに設けられ、自然の中を歩いている気分になれない。
行き届いた整備・サービスのつもりなのかも知れないが、馬鹿な役人の阿呆な仕事と同じく何もしてくれない方がよっぽど良いという好例ではなかろうか?
ブツブツ文句を良いながら視界の聞かない樹林帯の急斜面を登り707mPに出ると、雲に頭を抑えられながらも増毛山地の群別岳や暑寒別岳が見え始めた、ラッキー!
思わず歓声が上がる、内心展望は無理かもと思っていただけに私も嬉しい。
増毛の山々の姿が振り返ると登って来た道民の森周辺も見えている。
奥様は四国の山とは違う景観の広がりや木々の違い、植生などに興味を示している。707mPから気持ち良い尾根歩きとなるが、神居尻山は依然として雲の中だ。
雲が高くなる事を願いつつ、霧の流れる尾根をゆっくり登って行く。
雲の神居尻山へ
霧の尾根筋にはヨツバヒヨドリ、タカネナデシコ、ホソバトリガブト、エゾオヤマリンドウなどが数は少ないものの咲いている。
BコースとCコースの分岐となっている842mPに着くと、女学生6人パーティが休んでいて賑やかだ。東側がスッパリと切れ落ちた斜面を見ながら歩くと、間もなく神居尻山の山頂である。
神居尻山山頂へ
雲は下から吹き上がって山頂部にまつわり付いているが、晴れてくる感じがする。
風で雲が吹き払われると稜線をはっきり見ることができるようになって来た。神居尻山の稜線
きっと、何方かの普段の行いが良かったからなのだろう。
NMさんご夫妻なのか、女子学生達なのか、少なくも私でない事には自信がある。
姿を見せてくれた増毛山地、群別岳(左)と暑寒別岳
時間は丁度12時、概ね2時間で登って来た。
コースタイム通りに歩けたと奥様は喜んでいる、大したものだ。お腹も空いたとそれぞれ持参したおにぎりで昼食にする。
そろそろ温かいものが嬉しいだろうと持って来た「おでん」を温める、もちろん日本酒もだ。
NMさんの別荘で採れたトマトがとても美味しい。
山頂で
食事を楽しんでいると雲がとれ始め、隠れていたピンネシリも姿を現し出した。
南西方向には霞んではいるが、札幌・積丹方面の山も微かに見え出している。ピンネシリの姿も
私達が山頂に着くのを待っていたかのように晴れ始めた空に感謝しながら、温かく風もない山頂でゆっくり食事と景観を堪能した。
1時間ものんびりし、大満足で下山にかかる。
山頂から842mPまで下って行く、雲が晴れ東側に切れ落ちている雪崩斜面がしっかり目に入り怖い位だ。
NMさんまでが「この下を羆が歩いていたら絵になるのにな〜」等と言っている。
ご主人が脅かすから奥様が怖がるんじゃない?
842mPからの神居尻山
晴れて暑くなって来た、澄み渡る秋空が広がって心も大きく広がるようだ。
Bコースと同様に延々と続く歩幅の合わない階段に足をもつれさせ、いい加減嫌になりながらも無事登山口へ降りて来た。「お疲れさまでした。」
秋空が広がって
NMご夫妻との山歩き、のんびりゆったり気の置けない雰囲気で楽しめた、きっとお人柄によるものなのだろう。
お二人も心から楽しんで頂けたのなら嬉しい限りだ。下山後、岩見沢北村の北村温泉で汗を流し、夕方長沼に帰り着いた。
そこにはNMさんが気に入って別荘を購入する決め手になったと言う、見事な夕日が札幌の山へ沈んでゆく所であった。