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摩周岳
プロローグ
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午前4時半には目が覚めてしまった、昨夜は午後7時には寝たのだから当たり前と言えば当たり前である。
東の空が茜色に染まる頃には出発準備も概ね終わり、0540には駐車場横にある登山口を歩き出した。日の出直前の摩周湖はまだ静かさに深く沈んで、湖面に波も無く空は茜色を残している。
静かすぎる早朝の摩周湖
歩き始めるとすぐに今日訪れる西別岳から朝日が昇り始めた、ご来光である。
今日の始まり、どうぞよろしくお願いしますとご来光に向かって頭を下げた。
日の出 思わず頭を下げる
そして南西方向には阿寒の山々を背景に弟子屈の町が雲海に沈んでいるのが眼に入る。
日の出といい、雲海といい、朝ならではの光景である。
「早起きは三文の徳」のたとえ通り何か徳をした気分で気持ち良い。
阿寒の山々と雲海
今日はルンルン気分のお散歩と思っていたら、登山口の案内図には摩周岳まで7.2km、西別岳にはさらに3kmとある。
昨日の雄阿寒岳が5km、一昨日の雌阿寒岳は4km弱であったからその距離の遠さを体感的に比較でき、以外や以外と変に感心してしまう。道は摩周湖を西から南そして東へと回り込んで行く、距離はあっても標高差は僅か300mほど。
やはりお散歩だなと思っていると結構なアップダウンが連続している。
一つ一つは大した事ないのだが、これまた以外や以外の気分である。それでも左手には摩周湖ブルーの湖面が、右手には大平原が広がっていて飽きる事は無い。
南側からの摩周湖と摩周岳
明瞭なC684mPを越えさらに小さな起伏を何回か越えると、これまで摩周岳と続いていたかに見えていた西別岳が自己主張しているのが見えて来た。
西別岳
道は大変良く整備され、両側の植生は岳樺の林、笹原、草原と変化しながら続いている。
西別岳との分岐には立派な標識が立てられ、西別岳方向へも整備された道が続いているように見受けられた。分岐を過ぎ、次第に傾斜を増す火口壁の上を登るようになる。
両側が切れ落ちた火口壁の急斜面に一汗かいて、右側から回り込むように山頂を目指す。
切れたった山頂へ
山頂部分のカルデラへの斜面はほぼ垂直に切れ落ちていて、迫力満点である。
最後の急登を頑張ると、岩の山頂に飛び出た。
始めて目にする景観、湖が山頂の裏側まで延びていたなんて想像もしていなかった。
斜里岳が本当に近くに見える、そして武佐岳などの道東の山々も手に取るようだ。
独特な姿を見せる低山群も目新しく新鮮に見える。
回り込んで来ている摩周湖と斜里岳
近くに見える斜里岳
独特な姿を見せる山々
一方、摩周湖を挟んで雄阿寒岳、雌阿寒岳、阿寒富士などの阿寒の山々も立派な感じで聳えている。
阿寒の山々
そして摩周岳そのものの景観も新鮮だ。
山頂から続く火口壁は恐ろしい位の斜度で切れ落ちている。
摩周岳の壁は湖にそのまま落ち込み湖に接しているのかと思っていたが、落ち込んでいる先は摩周岳カルデラの中でカルデラの西側が湖に落ち込んでいる、いわば摩周湖の大きなカルデラの中に摩周岳の小さなカルデラがもう一つ存在すると言った方が解り易いのかも知れない。
摩周岳カルデラ壁
また南東方向には西別岳の姿が尾根続きで見えている。
こちらは緩やかで大人しく安心して見れる光景である。
たおやかな西別岳
摩周岳山頂でその新鮮かつ雄大な景観・光景を30分以上も楽しみ、山頂を後に西別岳へと向かう。
分岐まで戻り、左に道を取る。
緩やかな登りをそれこそお散歩気分でのんびり歩く、西別岳の姿が段々大きくなって来た。
西別岳山頂部
西別岳手前のピークには「又牛別岳」(ヌーウシベツダケ)との標識が立っていた。
これを越え5分も歩けば、西別岳山頂で立派な看板標識が立てられている。
西別岳山頂
西別岳からも摩周岳の展望が違った角度で眺められる事を除けば、他は摩周岳からとほぼ同様である。
山頂は広く、地元の人気の山なのだろう大勢の人が休めるように手を入れてあり、西別岳小屋からの登山道がず〜と続いているのを確認できた。
西別岳からの摩周岳を見る
斜里岳も大きくくっきり見えているし、阿寒の山々も素晴らしい。
阿寒の山々
山頂にどっかり腰を据え、おやつを食べながら周囲の景観を堪能し、下山の途に付いた。
往路とは逆に摩周湖を常に右側に眺めながら引き返す。朝の色とは明らかに違う摩周ブルーとカムイシュ島が印象的であった。
昼の摩周湖
始めて訪れた摩周岳と西別岳、想像していたより本当に良い山であった。
迫力ある山頂からの風景、厳しく切り立ったカルデラ壁、たおやかな山容の西別岳、歩きでのある整備された登山道、どれ一つとっても忘れがたい思いが残る。展望台に戻り、川湯で温泉を楽しみ、大満足だった摩周岳の思いを反芻しながら、道東の山旅四日目の斜里岳を目指して車を走らせた。
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