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プロローグ
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雷電海岸に落ちる夕日
落日
雷電山への登山口は雷電海岸から3kmほど入った所にある、朝日温泉。
朝6時前に温泉に着くと朝食の準備なのだろう煙が立ち上っている、鄙びた小さな温泉宿だ。
鄙びた温泉宿
駐車場も10台位が精一杯、宿のご主人にお願いして車を止めさせてもらう。
雷電山への道は温泉の裏側から広葉樹の林の中をゆっくりジグを切りながら登って行く、道沿いに温泉宿の取水ホースが延々と延びている。
近くの沢からではなく大変だろうに遠くから取水している、良い湧き水でもあるのだろうか?
登山道は取り付き付近の笹と広葉樹の林から、トドマツと岳樺の林、次いでエゾマツ林そして最後にはハイマツ帯へと変っていく。
笹狩りがされ良く手入れされた道、地元の方達に感謝しながら気持ちよく歩く。
良く整備された気持ち良い道
しばらくは展望も利かない尾根道だが、天狗岩からは明瞭な稜線歩きとなり視界も開け進むルートを確認することができる。
またエゾマツの美しい林が点在し、北欧のような独特の風情を醸し出していて見入ってしまう。
天狗岩
お天気は雲があり山頂部は雲に覆われているが、晴れそうな感じである。
暑くなく丁度良いとルンルン気分で歩いて行く。
天狗岩を過ぎ間も無く中山、急速に雲がとれ始め青空が広かり出した。
朝日で稜線の陰影がはっきり見え、歩くルートを示しているかのようである。
正面が1154mP、右が前雷電
振り返ると稜線が雷電海岸の青い海へと落ち込んでいる。
日高山脈が落ち込む襟裳岬、知床連山が落ち込む知床岬、そこまでの迫力は無いものの印象的な景観である。
稜線が日本海へと落ちていく
南西方向には山の中腹にあるコックリ湖が見え、その向こうには寿都方面が見渡せる。
海と山の対比が何とも美しく、それに雲が思わぬ変化を与えてくれ、素晴らしい眺めだ。
コックリ湖など南西方向を見る
中山から一旦下り1154mPへの稜線上の登りに掛かる。
一見なだらかな登りが続くように見えたのだが、結構な登りである。
特に後半はロープ場が何カ所も出てくる急傾斜、たっぷり汗をかかされた。
稲妻が真下に落ちるがごとき坂道、それで雷電山と名付けたのかと思う程の急坂である(本来の名の由来はアイヌ語)。1154mPと前雷電のコルからは斜度こそ無いが、背の高いハイマツの中を進む道。
見晴らしが利かない為か、けっこう長く感じられた。
ようよう着いた前雷電、ここからはたおやかに続くニセコ連峰の山並みが一望できる。
岩内岳から目国内岳、アンヌプリへ続く山並み
左から岩内岳、幌別岳、目国内岳、その奥にニセコアンヌプリが連なっていて、さらにその奥には羊蹄山の姿も見えている。
ニセコらしい、広々と茫洋としたたおやかな景観である。そして北側には岩内の町並みと積丹の山々が並んでいる。
岩内の市街と積丹の山並み
前雷電からは背の高いハイマツの平坦な台地の道を行けば、間もなく雷電山山頂である。
山頂と言っても標識が立っていなければ気付かず通り過ぎてしまう程の緩やかな頂きだ。
立派なユニークな山頂標識が立てられているが、背の高いハイマツに囲まれているため座ると何も見えない山頂でもある。
雷電山山頂
思ったより登りがい、歩きでのあった雷電山。
誰も居ない山頂にどっかりと座り込み、温かい初秋の陽射しを一杯に受けながら、おやつを食べ寛ぐ。
振り返れば、前雷電が自分の方が格好が良いとばかりに佇んでいる。
前雷電
眠くなってくる麗らかな風もないお天気、なんて気持ちが良いのだろう。
この辺りも、もう少し経てば草紅葉でさらに美しくなり楽しい時間を過ごせるに違いない。
ゆったりと時間を過ごし、腰を上げ帰路につく。
登って来た道を忠実に戻る。紅葉の気配を探しながら歩くがもう少し先のようだ。
1154mPからは周囲の景観を楽しみつつ海に向かって下りてゆく、登りは大変だったが下りは鼻歌混じりの気楽さだ。
この辺りから三々五々に登ってくる人達に出合い始め、挨拶を交わしながら道を譲る。
皆さん一応に辛そうだ。頑張ってね〜!
下って行く稜線
中山付近からは神秘的な表情のコックリ湖が良く見える。
古い踏み跡のようなものがあったが、湖へ行けるのだろうか?
コックリ湖へは南側の蘭越へ通じる道路から登るのが一般的だそうだ。
コックリ湖
天狗岩から歩いて来た雷電山、前雷電、1154mPをもう一度目に焼き付けて、樹林帯へと降りて行く。
前雷電、雷電山などを振り返る
朝日温泉に降りて来て荷物を片付け、まずは温泉。
入浴料は600円、駐車料込みだと思えば安いものだ。
小さいながらもたっぷりのお湯、湯の花が浮かび僅かに白濁しているのも乙なものだ。
外の沢沿いに露天風呂があったが、丸見えでちょっぴり恥ずかしいので遠慮した。
露天風呂
昼間からゆっくりと温泉を楽しみ、ビールの誘惑を辛うじて振り払い(何と言う意志の強さ)、これでニセコ連峰の山は皆訪れる事が出来たと自己満足に浸りながら家路に着いたのだった。