樽前山(1041m)

道央 2008.10.8(水) 晴れ


 

支笏湖
樽前山山頂から見た風不死岳と支笏湖

 

2009.10.8(水)
7合目ヒュッテ 0850
樽前山東山山頂 0935〜0945
大休止 1000〜1030
風不死岳分岐 1055
7合目ヒュッテ 1130

樽前山

樽前山は日本を代表する大カルデラ支笏湖を取り囲む山々の一つで、支笏湖との調和のとれた景観・自然美は訪れる人達を魅了し、手軽に登れる山としても人気が高い。

風不死岳・恵庭岳と共に支笏湖形成後に誕生した火山である。
1909年に大噴火し、僅か2日間で山頂部に巨大な溶岩ドームが造られ三重式火山と呼ばれる珍しい形の活火山、噴火要注意の山として常時監視下に置かれている山でもある。

7合目からは噴火の影響で樹木は殆どなく一見禿げ山であるが、春のコメバツガザクラから始まってイソツツジ、イワヒゲ、シラタマノキ、タルマイソウ(イワブクロ)などの花々、秋のナナカマドや岳樺の紅葉と訪れる人達を楽しませている。

 

平日なのに・・・

北国の秋もいよいよ本番となり、紅葉の話題があちこちで聞かれるようになった。
私の住む千歳市で紅葉と言えば誰もが思い浮かべるのが支笏湖、今年の紅葉はどうなのだろうか?
一足早く、ぶらぶら歩きながら紅葉を見て来ようと樽前山を訪れてみた。

7合目ヒュッテの駐車場に着いて驚いた。
平日と言うのに車でほぼ一杯なのである。
花や紅葉の時季の土日に込み合うのは例年のことであるが、平日にこれほど人が訪れるとは思ってもいなかった。
近年の自然志向や登山ブームのお陰なのだろうか? 
若い人のグループ、例によって賑やかなおばさんグループ、アジアの人達の団体、もちろん個人の登山客、多くの人達が自然に山に興味を持ってくれるのはとても嬉しいことだ。

 

草もみじ

今日は7合目ヒュッテから外輪山の一角「東山」へ登り、そのまま外輪山を北から西へ歩いて風不死岳との分岐へ、そして広大な樽前山の裾野の平坦な道を辿って7合目ヒュッテへ戻る、極めてお手軽散策コースの予定である。

ヒュッテから岳樺とミヤマハンノキの樹林を少し歩くと見晴し台、ここからは林も切れ振り返れば支笏湖、右には風不死岳、左手には苫小牧へ続く原生林を見ながら歩くようになる。

風不死岳支笏湖や風不死岳を後ろに

道は火山性の砂礫の中を登って行く、崩壊防止の為階段状に整備され少し歩きにくい。

苫小牧へと続いている広々とした原生林そして太平洋と、心まで大きくなるような雄大な景観が広がっている。
苫小牧の人達が樽前山を町のシンボルとして親しみ誇りに思っているのが良く判る光景、ちなみに樽前山は苫小牧にある樽前神社のご神体で、外輪山に樽前神社の奥の院が祀られている。

苫小牧方面に緩やかに広がる樹林帯紅葉の樹林

おしゃべりをしながら汗をかかない歩調で淡々と歩けば、慣れない為だろう先を争うように出発した、賑やかおばさんグループ、若者達、韓国の人達が息を切らせて立ち止まっている。
挨拶したり声をかけながら私達は私達のペースで歩かせてもらう。

斜面にはタルマイソウやマルバシモツケなどの草が赤くなり、中々の草紅葉。
大雪の紅葉のような派手さや凄さは無いけど、これはこれで奇麗だし美しい。
控えめな紅葉といった所だろうか?

草紅葉斜面に広がる草紅葉

 

草紅葉や眼下に広がる景観を見ながらのおしゃべりを楽しみつつ歩けば、程なく外輪山の一角へ上がる。
なだらかに続く外輪山を一周するのも楽しいが、カミさんのリハビリを兼ねている私達は東山へとお手軽ルートを進んで行く。

山頂部に出て溶岩ドーム

 

弩迫力!

何度も立っている樽前山山頂、何時見ても良い感じ。
溶岩ドームの存在感は何度見ても圧倒される、静かに佇む支笏湖も良い、苫小牧から襟裳へ続く海岸線、札幌へ続く山々、登別へ続く山、そして羊蹄山。
変らずにいつもそこにある風景、なのに人の心を打つ何かを持っている、自然の持つ素晴らしさ、力なのだろうな〜。

山頂風景東山山頂から

立ち止まるとそれまで感じなかった風が涼しさを通り越して寒く感じる程。
少し降りながら進んで、風を避けられる所でゆっくりすることに。

山頂から風不死岳羊蹄

溶岩ドームの丁度北側の大きな岩の陰で大休止、風が遮られ陽も当たりほんわかした気分になれる良い場所だ。
日だまりの岩陰に一輪のタルマイソウが鮮やかな緑色をしているのを見つけた、僅か数m離れた場所のは赤茶色に枯れかかっているのに・・・、環境の違いがこんなにも影響するのかと感じた草一輪だった。

溶岩ドームが大迫力だ。
良く見ると、以前には気がつかなかった大きな割れ目と言うか抉れがある。
岩の固まりである溶岩ドームにも数年の間にその姿を変える程の力が加わり、刻々と変化しているのかも知れない。

溶岩ドーム大きな抉れが出来ていた溶岩ドーム

そんな風景を見ながら自分達は大した環境の変化も、外部からの大きな力も感じず、ぬくぬくと気ままに生きているのは果たして幸せなのか、どうなのか考えてしまった。

ぽかぽかした日だまりで、早めのおにぎり、フルーツ、コーヒーを楽しみ大自然を眺めつつ、ゆったりした時間の流れに身を任せた。

ふと気がつくと、溶岩ドーム全体から水蒸気が立ち上っているのに気付いた。
さすが活火山である、先程までとはまた違った表情を見せていて、これはこれで迫力満点である。

立ち上る水蒸気水蒸気

 

爽快!

ここからは西山との分岐で外輪山と別れ、ペウレ(子供)山を見ながら風不死岳との分岐へ下っていく。
ゆったり伸びやかな尾根続きの山岳風景、斜面を飾る草紅葉、まことに気持ちが良い。

斜面ペウレ山(正面)と風不死岳(右)

北側には樽前山の大斜面と支笏湖、その向こうには紋別岳が清楚な姿を見せている。

草紅葉の斜面と支笏湖ペウレ山

私達が歩いているコースは本当にお手軽で楽に歩けるコースなのだが、多くの人達は東山で満足し引き返す。
そのためこちら側は人も少なく、一層のんびり楽しめる。

風不死岳ペウレ山と風不死岳

この付近ではタルマイソウやマルバシモツケの赤にミヤマヤナギの黄色が混じり草紅葉に変化を付けている。
またシラタマノキの白い実がびっしり、小さな白が点々と散らばっている。
やはり単色よりも赤、黄色、緑、白と色が混在して方が奇麗に感じる。

柳の黄色が目立つ草紅葉

風不死岳との分岐まで降りてくると8名程のグループがいて、トイレマナー袋を配布してくれていた。
このようなことをして下さる方達が増えるのは本当に有り難く感謝である。
少しでも多くの人が自然を大事にし、見た目にも汚いトイレ紙を持ち帰ることを当たり前に思う環境にしていきたいものだ。

柳風不死岳との分岐付近

岩尾根を下り、雄大な樽前山中腹の7合目ヒュッテへと続く気持ちの良い平坦な横断道に出る。
ススキやハナヒレノキなどが目立つようになった道からは、支笏湖へ落ちて行く大斜面のナナカマドが見事な紅葉を見せている。

ナナカマドの紅葉ナナカマド

もっとも今年は岳樺の黄色がくすんでいて鮮やかさが無く、ナナカマドの赤が映えない感じである。
「今年は・・・、あの時は凄かったね〜」など、たわいのない会話をしつつ7合目ヒュッテへ戻った。

駐車場には入り切れない車が道路に駐車する程の混雑振り、大人気の樽前山であった。

 

 

・山肌のひだ染め分けし樽前山 輝きながら煙り上れる

 

・腰痛の癒えたる吾は嬉しくて 思わず経を唱えつ登る

 

 

 

 

 

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