黒松内岳(740m)

道南  2009.6.27(土)  晴れ


 

黒松内岳

 

2009.6.27(土)
登山口 0950
C528m 1030
C515mコル 1045
黒松内岳山頂 1115〜1140
C515mコル 1200
迂回路 1220
登山口 1240

プロローグ

半月板損傷のリハビリ登山第二段は道南の黒松内岳。
前回のオロフレ山の標高差は約300mであった、黒松内岳は約500mと段階的強化には相応しい山。
しかも足元はブナ林のふわふわ土で膝にも優しい筈、もちろん新緑のブナの美しさも期待してである。

土曜日とあって高速道路は一律1000円、家をゆっくり7時過ぎに出て長万部へ、そして黒松内岳の登山口へは0930に着いた。
登山口へは国道5号線を小樽方面に走り、蕨岱から道々9号へ。
約1kmの左手にトイレのある駐車帯がある。この駐車帯の黒松内市街側から林道が左に延びている。
この林道を道なりに約5km走ると、7・8台が駐車できるスペースがあり、そこが登山口である。

 

いきなり?

登山口には既に5台の車が止まっていた。
準備をしながら小腹を満たしていると、相次いで2台の車が到着。
黒松内岳は結構人気の山なのだと改めて認識する。

登山届けを記入し歩き出すが、待っていたのは急な階段。
体を慣らし、温める暇も与えられない急な階段道に、「いきなり」かい? と少々戸惑う。
10分程登ると、「迂回路」の標識があり二股に分かれる。
帰りに迂回路を通る事にして、取りあえず直登コースを選定。
尾根通しに登って行くのだが、結構な傾斜である。
しかも植林されたトドマツ林は見通しは利かず、道の両側は笹に覆われユズリハの緑が目立つ位、花もなく気を紛らわせるものも無い。
所々、白い幽霊のようなギンリョウソウが薄暗い樹林の中に浮き立っている位だ。

ぎんりょうそうギンリョウソウ

 

玉の汗

今年一番の暑さとの予報通り、むっとする暑さ、風も通らない、陽射しも強い。
膝の調子を見つつ急坂をゆっくり歩むが、汗が滴り落ちサングラスが曇る。
「暑いな〜、たまらないよ!」
「本当ね、風の通る所まで行っちゃいましょう!」

30分位、ブツブツ良いながら頑張ると傾斜は緩み、平坦なブナの稜線歩きとなった。
木々の間から長万部岳も見え出し、気持ちの良い稜線である。
道は少し下りとなって最低コルへと降りて行く。
そこから黒松内岳が正面にすっきりとした姿を見せている。

黒松内岳黒松内岳

 

涼風

コル付近で樹林帯は途切れ、見晴らしの良い尾根歩きに変わる。
風が通り、涼やかで気持ちが良い。

これまで寂しい位だった道にもエゾカンゾウやチシマフウロ、ハクサンチドリなどの黄色や紫が眼を惹くようになってきた。

写真お花を・・・

左手の沢からは涼やかな流れの音が聞こえ、暑さに痛めつけられた気持ちを沢歩きへと誘う。
振り返ると黒松内の市街地や寿都へ続く丘陵地帯、そして日本海が見渡せる。

エゾカンゾウ(カミさん撮影)エゾキスゲ

 

一気登り

山頂まで見通せる尾根道は次第に傾斜を増しながら山頂を目指して一直線に延びている。
事前情報では花が多いと聞いていたが、思ったより少ない。
丁度、春の花から夏の花への移行時期だったのかもしれない。
目立つのはタニウツギ、カラマツソウ、チシマフウロ、ハクサンチドリ位である。

タニウツギタニウツギ

「暑いわ〜! ゼリーが食べた〜い。」の声に、急な尾根の途中でザックを降ろし一休み。
時折吹く涼しい風とみかんゼリーの甘さ、氷入りのコーヒーが、心にも体にも元気をくれるようだ。

山頂に近づくにつれ斜度は増し、ロープ場も出てくる。
降りてくる人達も慎重に足を運んでいる。

一気に登る尾根

北側の稜線には林道が走っていて、その林道から延びていると思われる刈り分け道が山頂直下で登山道に合流してくる。
この刈り分け道を過ぎると、間もなく黒松内岳の山頂である。

 

ブヨ来襲

山頂へ到着。膝の調子も良いようだ。
残念ながら全体に煙が漂っているような感じで遠望が利かない。
隣の長万部岳さえ、霞んでいる。

寿都山頂から黒松内方面

山頂のすぐ南側にもピークがある、西側の展望を楽しむには良さそうだ。
だがそこへの踏み跡にはティッシュが散乱していて、あえて踏み込む気持ちにはならなかった。
少しだけ、後から来る人への配慮をしてもらえれば、皆が気持ち良く過ごせるのだが・・・。

長万部岳長万部岳

折角の山頂、ゆっくり腰を下ろしてお弁当をと思ったら、顔や手に痛みが・・・。
ブヨの襲来、手や首筋、耳など所かまわず、襲ってくる。シャツの上から噛み付いている奴も居る。
これは堪らないとハッカを塗る。
効果抜群で刺される事は無くなったけれど、顔の周りに何十匹もが飛び回わり、おちおちして居られない。

風が吹き抜け、ブヨの居ない所で休もうと、早々に下山する事にした。
その前に記念写真を一枚。

山頂にて

霞んだ景色、黒い固まりとなって襲ってくるブヨの大群、散乱するティッシュ、誰のせいでもないけれど、私たちにとって残念ながら余り良い印象の残らなかった黒松内岳山頂であった。

 

山毛欅

山頂からの急な尾根を左膝への負荷を少なくするよう庇いつつ、慎重に降りる。
先にすたすた降りるカミさんが何度も待ってくれる。
登りでは大して不自由を感じなかったが、下りは辛い。
左を庇う為か、右足に負担がかかり太股の筋肉が悲鳴を上げそうだ。

何度か小休止を入れ、涼風に力をもらいながら下山を続ける。
登りで後回しにした迂回路に入る。
見事なブナ林が辺りを包んでいる。

ブナ林ブナの林を行く

黒松内町はブナ自生の北限だそうだ。
以前、この町にある「歌才(うたさい)ブナ林」を歩きその美しさと見事さに感激した事がある。
黒松内岳のブナ林もそれに引けを取らない美しさと静寂さを持っている。
ブナの葉のグラディエーション、木々を亘る風と葉の擦れる音、そして木漏れ日が気持ちを和ませ、穏やかにしてくれる。

緑のグラディエーションブナの木々

気持ちの良い、気持ちの安らぐ散策路である。
小さな沢で顔や手を洗い、汗を流すと、登山口は間もなくであった。

 

エピローグ

リハビリをかねて訪れた黒松内岳、広がるブナの林はさすがに見事でほれぼれしてしまった。
山毛欅の美しさを楽しむなら、この新緑の時期か紅葉の時季が相応しいように思う。

ただ、花を楽しむなら6月下旬は避けた方が良いように思う。
今回は端境期であったのか、殆ど花を楽しむ事は出来なかった。
また、虫対策も必須である。

そして何所の山を楽しむ時も、自分たちだけでなく後から多くの人達が訪れる。
この人達に存分に楽しんでもらう為にも、山を美しく汚さないよう気を付けたいものだ。
ゴミは捨てない、トイレ紙は持ち帰る。
これだけでも気持ち良く過ごせる。 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。

美しいブナ林のお陰か、登山後も膝の痛みは無い。
今度は少し長い距離にも挑戦して行きたいと思う。

 

 

 

・照りつける陽も快良し北国はつかの間の夏キスゲ群れ咲く

・嫋やかな橅は一枝を震わせてお日様ちぎりきらきらと撒く

 

 

 

 

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