樽前山(1041m)

道央  2009.7.3(金)  曇り


 

支笏湖
樽前山7合目付近からの支笏湖

 

2009.7.3(金)
7合目ヒュッテ 0820
風不死岳分岐 0910
西峰 1015
東峰 1100
7合目ヒュッテ 1140

プロローグ

このところ、私の住む千歳では蝦夷梅雨と言うのか、雨がちのぐずついたお天気と寒さが続き、家にいてもフリースや膝掛けが手放せないほどであった。
7/1に頼まれていた千歳市民を対象とした樽前山登山のボランティア・ガイドも悪天の為、中止になった。

7/3も曇っているがなんとか雨は降らなそう。
散歩気分で樽前山のお花畑を覗いてこようと思い立ち、7合目ヒュッテへと車を走らせた。

樽前山については、すでにこのページでも何度か紹介し、記述している。
今回はコース自体は雲や霧の中に入っていることが多かったので、ご紹介すべき写真もない。
そこで7月上旬の樽前山の花情報と割り切り、花に特化してご紹介しようと思う。
コースについては既ページとリンクしますので、そちらをご覧頂きたいと思います。

 

マルバシモツケ

7合目ヒュッテから西へ山腹をトラバースするようにナナカマドの林を進むとすぐに開けたお花畑が広がり出す。
雲がたれ込め、支笏湖がかろうじて見えている。
目につくのはマルバシモツケの白い花、群れを作って点々と続いている。

マルバシモツケマルバシモツケ

湿度が高く、水滴をまとった花や葉の表情もいい感じである。
まさに丁度見頃、旬の花のイメージである。

マルバシモツケマルバシモツケ

花は5弁で小さく、密に多くの花が集まり、あたかも一つの花のように見えるのが特徴であろう。
雄しべが長く突き出ている。
色は白、やや黄ばみがかっているもの、ピンクっぽいものと変化が多いようだ。

マルバシモツケマルバシモツケ

高さ1m弱の小木で葉はその名の通り、卵形で荒い鋸歯がある。
樽前山では、このお花畑では勿論、西山への稜線、東山への登りでも、ごく普通に目にすることができるし、群落をなして咲いているのでとても見事、一見の価値ありです。

 

イソツツジ

マルバシモツケと同様に目立つのが、イソツツジの群落である。
同じような大きさ、花の感じも少し似ているので、同じ花だと通り過ぎる人も多いようだ。

イソツツジイソツツジ

直径1cm強の花が集まって手まりのようになっている。
色は純白が多く、清楚な感じが漂う。

イソツツジイソツツジ

この時期イソツツジは沢山咲いていたが、やや盛りを過ぎた感じのものが多かった。
旬は6月初旬〜中旬位なのかもしれない。

イソツツジイソツツジ

この花も樽前山全域に根付いていて、どこででも目にすることができる樽前山を代表する花の一つであると思います。

 

岩尾根を登り風不死岳との分岐を過ぎた頃、雲が一時的に切れ、晴れ間が覗いて久しぶりに明るい日差しが降り注ぎました。
気持ちも弾み、932m峰を歩く人も気持ち良さそうに足を運んでいます。

932m峰
932m峰(ペウレ山)

 

タルマイソウ(イワブクロ)

岩尾根付近から目立ち始める花が薄紫のタルマイソウ。
高さ10〜20cmの株立ちの茎に薄紫の鐘型の花が横向きに数輪付いている。

タルマイソウタルマイソウ

「イワブクロ」と言うのが正式名称だが、樽前山に特に多いことから「タルマイソウ」とも呼ばれている。

タルマイソウたるまいそう

でも、何故か「タルマエソウ(樽前草)」ではなく「タルマイソウ」なのである。
花にも葉にも、ふちに薄い毛が生えていて、花の内側には紫の線がある。

タルマイソウタルマイソウ

タルマイソウと名付けられた通り、樽前山の山頂部至る所に自生している花である。

 

風不死岳との分岐を過ぎ、樽前山へと登っていくと樽前山名物の溶岩ドームが姿を現す。
1909年の大噴火で形成された巨大な溶岩ドーム、今も噴気と水蒸気を立ち昇らせ不気味な姿を見せている。

溶岩ドーム
溶岩ドームとイソツツジ

 

イワヒゲ

6月初め頃までイソツツジに勝るとも劣らぬほどの勢力で咲き誇っているイワヒゲの姿がほとんど見当たらない。
少し高度を上げ、西峰への分岐を過ぎた日陰や岩の陰に姿を見つけることができた。

イワヒゲイワヒゲ

岩にへばりついている草のように見えるが、立派な木なのである。
細い茎に鱗状の葉が密生しているのが特徴だろうか。
花は釣り鐘状でかわいい。

イワヒゲイワヒゲ

その名の通り岩に付いていることが多く、またそれが似合っている。
イワヒゲの盛りは5月中旬頃から6月初め位であろうか。
マルバシモツケよりやや高いところの岩や岩陰に多く咲いている。

 

 

イワヒゲ
山頂部に点在する溶岩とイソツツジ

 

その他の花

7月初旬の樽前山の代表的な花はこれまで紹介した、マルバシモツケ、イソツツジ、イワヒゲである。
これ以外にも、ウラジロタデ、ミネヤナギ、コケモモ、シラタマノキ、ナガバツガザクラ、ガンコウラン、コメバツガザクラ、ヒカゲノカズラなどが確認できた。

コメバツガザクラ
コメバツガザクラ

コメバツガザクラは5月上旬〜中旬に咲く花で、その時期には全山が白く彩られるほどの量で咲き、圧倒される。
今の時期は山頂部の大きな岩の北側にわずかに残っているに過ぎなかった。

 

ミネヤナギはマルバシモツケなどと同じような場所に多くあり、高さ1m前後の小低木。
花は毛虫のような形をしている、今の時期は写真のように受粉して子胞が膨らみ始めている。


ミネヤナギ

 

ヒカゲノカズラは親蔦が地を這い、子供がブラシのように立ち上がる。
目立たないが、よく見るとなかなか可愛い。


ヒカゲノカズラ

 

なお2005年6月の樽前山で紹介した、樽前山のコマクサですが、樽前山本来の植生では無いとして環境省の手ですべて撤去され現在はありません。
折角、樽前山の環境が気に入り何千株と増えたのに残念ですが、仕方のないことなのかもしれません。
でも小鳥が運んできたと思えば、助けられたのでは・・・などと思ってしまう私です。

そんなことを思いつつ雲中の稜線を歩き、樽前山神社奥の院にお参りして今回の花散歩を終えました。

奥の院
樽前山神社奥の院

 

 

2005年6月の樽前山へ
2008年10月の樽前山へ

 

 

 

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