黒岳(1984m) 北海岳(2149m) 赤岳(2078m)

大雪紅葉巡り

大雪  2009.9.14(月)  晴れ

 


 

まねき岩

 

2009.9.14(月)
黒岳リフト
降り場
0640
8合目 0710
黒岳山頂 0745〜55
北海岳 1000〜15
白雲岳分岐 1110〜20
赤岳 1145〜55
こまくさ平 1240〜55
銀泉台 1355

 

大雪の紅葉

大雪山はまさに北海道の屋根、一番高い所にそびえ立っている。
そのため春と夏は日本で一番遅く、秋と冬は一番早くやってくる。
花々が美しく可憐に咲き競う夏は8月で早くもその勢いを失い、9月に入ると秋から冬へと急ぎ足で季節は移り変わる。
今年も9月12日には初雪が降った。

秋の恵みは動物達の大切な命の糧となるばかりでなく、私たちにも紅葉という美しい恵みを与えてくれる。
日本で一番早く美しい紅葉を待ち望んでいる人達も多い。

私たちもその一人として大雪の紅葉を見に訪れた。
この時期、マイカー規制が行われその代わりに臨時シャトルバスが各登山口へと運行されている。
そのシャトルバスを活用して、層雲峡〜黒岳〜北海岳〜白雲岳〜赤岳〜銀泉台へと歩き、紅葉を満喫しようという趣向である。
高知の友人であるNMさんをお誘いしての、のんびり紅葉見物の山旅だ。

 

 

楽チン!

前夜は層雲峡の公共駐車場で車中泊、きれいなトイレもあり有り難い。
NMさんの大きな車で車座になり小宴会、高知の人は酒豪ぞろいで勧め上手。
二日酔いが心配になるほどで、9時前には許して頂きお開きにした。

降るような星空と月明かりの一夜を過ごし、目覚めれば嬉しい晴天。
いそいそと準備を整え、黒岳ロープウエイ乗り場へと向かう。
6時の始発に乗ろうとすでに多くの人達が集まっていた。
100人乗りのロープウエイであっという間に5合目へ、そしてリフトに乗り換え7合目。
「いや〜! 快適で楽ちん。」
若い頃はこの手の乗り物に若干の嫌悪感を抱いたこともあったけど、この年になれば使えるものは有り難く使わせて頂く。
お金で体力の不足が補えるのなら、お安いものである。

7合目からは北大雪のニセカウ、平山、屏風岳などが朝日を浴びて美しく屹立していた。

ニセカウ


普段は人に会うことが滅多に無い山を歩くことが多いせいか、ちょっぴり戸惑いながら多くの人達の一員となり一緒に黒岳を目指す。

そんな中、一人の男性から「インターネットでHPを開いている方ですよね。オジロワシの・・・とか」と声をかけて頂いた。
これまで話をしている中、HPの話題になって「知っているよ」と言われたことはあるが、顔を見ただけで言われたのは初めてでいささか驚き、戸惑い、そしてありがたく思った。

8合目8合目付近で

8合目を過ぎ、少しずつ色づいた木々が目立つようになって来たが、茶褐色の冴えない色である。「う〜ん、いまいちだな〜!」

まねき岩の近くで何人もの人が立ち止まり、写真を撮っている。
「わ〜、奇麗!」カミさんが思わず歓声を上げている。
鮮やかな赤が目に飛び込んで来た。
「待っていましたよ〜」後ろから登って来る人達を気にしながら、写真を何枚か。

まねき岩
まねき岩付近の見事な紅葉

 

すご〜い!

素晴らしい鮮やかな紅葉を楽しみつつ、少し登ると山頂稜線が真近に見えて来た。
稜線に出るとそこが黒岳山頂、日差しは強いのに遮られていた冷たい風が吹き通り一気に体温が奪われる感じ、寒いというより痛い。
でも、それまで見えなかった大雪の山々が一気に姿を現し、どうだとばかりに並び立つ大景観に心も目も奪われてしまう。

白雲岳
黒岳からの間宮岳、旭岳と裾野に広がる紅葉

パーカーを引っ張りだして着ながらも、雄大な壮麗な景観から目が離せない。
山々に頂きには先日降った初雪が溶けずに張り付いていて、白く輝いている。
新雪の白さと紅葉の赤、ハイマツの緑の対比、コントラストが何とも美しい。

白雲岳
黒岳から白雲岳

かなりの人達が寒さに耐えられず、そそくさと山頂を後にするのを見送りつつ大景観に酔いしれひとときを過ごす。

黒岳山頂にて黒岳山頂で

 

冬の感触

黒岳から赤岳へ向かうべく、まずは北海岳へ足を向ける。
すぐに黒岳石室、トイレが利用出来るのは有り難い。(協力金200円)
石室の小屋番さんとしばらく話が弾み、ご苦労に感謝する。

isimuro
黒岳石室(右下)と北鎮岳(右)、間宮岳(左)

向かう人の多い北鎮岳への道を右に分け、北海岳へ。
水音高く流れる沢を二本渡って、北海岳への緩やかな登りにかかる。
沢筋のハイマツの緑とナナカマド・ウラシマツツジの紅葉が美しく眼を引く。

紅葉紅葉を楽しみつつ

2日前に降った初雪、吹きだまりは20cm以上あり日陰では凍り付いて堅くなっている。
久しぶりの雪の感触、懐かしいような嬉しいような感触を楽しみながら稜線に出れば、北海岳である。

北海岳
北海岳からの裏旭(左)、旭岳(中央左)とお鉢平

旭岳が新雪をまとって頭を間宮岳の上に出している。
お鉢平は荒涼とした姿を見せているが、周囲を取り囲む山の山肌は紅葉が筋のように赤く連なり、秋らしい。

トムラウシ
北海岳から見る、トムラウシ

そして目を南に転ずれば、忠別岳から化雲岳への稜線とその向こうにトムラウシの勇姿がどっしりと。
いつ見てもその堂々たる姿に見とれてしまう。

そしてトムラウシの南西にはオプタテシケ山などの十勝連山、遥か彼方には芦別岳や夕張岳も姿を見せていた。

北海岳山頂は風が冷たくゆっくりする気にもならないので、少し下った風の避けられる所で早お昼に。

何食べる?早お昼

まだ10時だが、朝食が早かったのでおなかも空いた。
おにぎり、菓子パン、ゼリー、リンゴなどを三人で分け合う、ワイワイガヤガヤにぎやかで楽しいひと時だ。
道に積もった新雪と戯れるのも一興である。

高知のNMさんと北海道の私たちとでは、体感温度の適温がだいぶ違う。
風さえ遮れれば私たちには気持ちよく感じる温度だが、彼には寒くパーカーが手放せない。
逆に暑さには彼は圧倒的に強く、私たちはすぐに参ってしまう。
暮らしている環境によって、同じ人間なのに感じる快適さは大きく変わってしまうのだ。

 

夏のなごり

お腹を満たし、たおやかに続く緩やかな道を白雲岳へと進む。
道を覆う新雪の感触が優しく、気持ちまで優しくなるようだ。

白雲岳白雲岳へ続く道

途中のゴロゴロ石が続く道の向こうから、赤いパーカーを羽織った大柄の男性がニコニコ笑い手を振りながらやって来た。「たかさ〜ん、おひさしぶり〜!」
いつも豪快な室蘭のNYさんであった。
再会を喜び合い、しばし立ち話。私たちと逆コースで大雪の紅葉を楽しんでおられたのだ。

白雲岳分岐で一休み、白雲岳に向かおうとするとNMさん「エッ! 行くの?」
何回も行っているし、今日はもう良い言う。
楽なことにはすぐに妥協、私の得意技である。そのまま、小泉岳を経て赤岳へ。

急に雲が流れ、沸き出してきた、降りそうな雲行きである。
旭岳もトムラウシも瞬く間に隠れてしまった。

積乱雲のようなモクモク雲、夏を思わせる雲である。
秋の紅葉を楽しむ山で、冬を思わせる新雪を歩き、夏を思わせる積乱雲に出会う。
変化に富んだ、山旅だ。

積乱雲
新雪の山と夏を思わせる積乱雲

 

紅葉NO1

赤岳には大勢の人達が思い思いに休んでいた。
運動靴のアベックが私たちの来た方向を指差しながら、「何処に続いているのですか?」
白雲岳を指し示しながら、あすこから旭岳や遭難事件のあったトムラウシ山へも行けるんだよと教え、行ってごらんとそそのかしたがピクリとも動こうとしなかった。

赤岳の周りはさしたる紅葉もなく、そそくさと下山に掛かる。
第四雪渓から第三雪渓跡を下る、7月に尻滑りで降りた時は楽ちんだったが、一歩一歩下るのは結構しんどい。
この辺りから再び紅葉も美しくなり、堪能しながら下る。

第三雪渓付近の紅葉第三雪渓

コマクサ平で一休み、ここでNMさんから思わぬプレゼント。
南国高知の名物「ブンタン」の差し入れである。
2月に取入れたものを保存して持って来てくれたのだ。
大好物だけにカミさんと頂く、美味しいだけではなくわざわざ持って来て下さった心意気が嬉しく、しみじみと味わった。

第二花園あたりには、添乗員に連れられた大勢の観光客が紅葉見物に登って来ていた。
真新しい靴やズボンを泥で汚し可哀想。
第一花園付近の紅葉はまさに全山紅葉の気配さえして美しい。
岳樺の黄葉が混じり、赤・黄・緑の競演だ。

紅葉

山肌の紅葉も一面と言って良いほど。
日射しを受け今回の山行中、一番の紅葉と言って良い場所であった。

観光客の皆さんに「此処の紅葉が一番です。上まで行くことはありません」と教えて差し上げたい位であった。

紅葉
銀泉台上の紅葉

 

エピローグ

二本で一番早く美しいと言われる大雪の紅葉。
お天気にも恵まれ、心から楽しめた。

紅葉のみならず、初雪の道を歩いて冬の気配も感じられたし、溶けた雪渓の脇では急いで咲いた花々に夏の思い出を感じることも出来た山旅であった。

銀泉台からはマイカー規制の臨時駐車場となっているレークサイドを経由して層雲峡まで戻った。
シャトルバスの御陰で登山口からの往復だけでなく、ミニ縦走が楽しめる。
来週からは大雪高原温泉までのシャトルバスが運行され、色々なルートを楽しめると思う。

皆さんも、楽しまれてみては如何でしょうか。

 

 

 

 

・刻々と雲の流れる空を突き
          初冠雪の旭岳見ゆ

 

・ひと時を燃やして染まる大雪の
          裾野を人が小さく動く

 

 

 

 

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