白水岳 (1136m)

道南  2009.10.5(月)  晴れ・曇り


 

海岸線

 

2009.10.5(月)
登山口 0700
白泉の滝 0735
二股の滝 0805
白泉岳 0910〜20
南白水岳 0955
中白水岳 1020
白水岳 1040〜1125
南白水岳 1200
白泉岳 1225
二股の滝 1305〜15
登山口 1400

白水岳

白水岳は遊楽部山塊に属し、その南西部にある山である。
遊楽部岳や臼別岳、平田内川を挟んで対峙している冷水岳と長くアップダウンの激しい稜線で結ばれており、地元では道南アルプスとも呼ばれているそうだ。

アップダウンのある道を行くので、夏は暑くてとても大変だという話を聞いていた。
そこで秋の紅葉を楽しみながら歩いてみようと計画した。
カミさんには「アワビと温泉も・・・」と言ってある。

この山域は深い笹に覆われているのだが、地元の方達の努力で登山道が開削され、笹刈りなどの保守も行われている。ありがたいことである。
この山を愛する故の活動、その御陰で楽しむことの出来る私たちとしては心から感謝申し上げたい。

白水岳は八雲町熊石の平田内温泉から約4km奥の天然露天風呂「熊の湯」が登山口である。
熊の湯の駐車場は広く簡易トイレもあるが、平田内温泉の道路沿いにきれいなトイレがあり通年24時間利用可能となっている。

また熊石はアワビで有名な町、アワビを食べさせる店が幾つもあり、アワビの里という養殖場で比較的安く購入することも出来る。

 

いきなりかい?

熊の湯の駐車場脇にある登山ポストに届けを出し、林道を50m程で右手に登山道が延びている。
熊の湯の温泉施設を右下にかいま見ながら植林されたトドマツ林を歩く。
助走の全くない急な登りが続く、それも緩むことがないのである。
「今日は体調が悪いみたい・・・」おもわず自分自身を勘ぐってしまうほどの登り、辛さである。

キツい登りを励ましてくれるのは、ブナ林の黄葉。
白泉の滝という細い滝でたまらず一服、汗が滝のように流れ落ちる、まるで夏の山歩き。

ブナ林ブナ林の黄葉

 

阿吽?

白泉の滝を過ぎると道は右の尾根方向へ進み、せっかく登ったのに急降下だ。
100m近く降りて、二股になっている沢に降りる。
両方の沢には小さな滝が落ちている、「阿吽の滝」の名が付けられた右手の滝を10mほど登り右の尾根へと取り付いて行く。

阿吽の滝二股の滝

水が多い時は釜があり滝へ取り付くのに少し微妙な感じ、滝の右岸にロープが垂らされている。
幸いこの日は水が少なく、滝の中央を簡単に登ることが出来た。

ここからの登りも極め付きの急傾斜、あきれかえりながらもひたすら一歩一歩を出すしかない。
「阿吽の滝」という名、仁王様が口を開いて怒っている様と口を閉じて睨んでいる様をもじって、凄まじい形相で登らざるを得ない所という意味なら、良く分かる気がした。

 

阿吽の滝から1時間はまさに阿吽の形相でひたすら頑張り続けることを要求される急坂である。
滑り易い背の高い笹の刈り分け道に悲鳴が漏れる。

急坂頑張る、只ひたすら・・

歩き始めて約2時間、やっと平らになった所は、白泉岳(1043m)。
北側前方には南白水岳(1122m)が凛々しい姿を見せていた。

南白水岳南白水岳

心を浮き立たせるのは、振り返る光景。
江差の海岸線が弓なりになって優雅に続いている。
初めて見る美しい光景だ。

海岸線
熊石から江差へ続く弓なりの美しい海岸線

道南、渡島半島の大半の山々が見渡せる。
遠くには大千軒岳の峰峰や大島・小島も霞みながら見えていた。

おもわずザックを降ろし、休憩。
リンゴの甘酸っぱさ、どら焼きのねっとりとした甘さが気力を回復してくれるようだ。

 

奮い立たせる

南白水岳はなかなか凛々しい姿をしている。
道は一旦大きく下り正面に遊楽部岳を見ながら、ややもすると萎えそうになる気持ちを奮い立たせ登り返して行く。
遊楽部山塊の全容が見渡せ、理解出来るような地形、右側は結構切れ落ちているので要注意だ。

遊楽部山塊
正面に遊楽部岳を見ながら

右手には平田内川を挟んで冷水岳がひときわ眼を引いて屹立している。

冷水岳冷水岳

立ちはだかるように聳えたつ壁のような稜線上の急坂を耐えれば、南白水岳だ。
西の海には奥尻島が大きく浮かんでいる。瀬棚の町並みも見えている。

奥尻島
奥尻島

 

女の意地

南白水岳まで約3時間が経過している。
今日の目標である白水岳までは、稜線上のこぶ(中白水岳)を越えて行かなくてはならない。
ざっと、1時間であろうか?
結構ハードな登りで体力気力とも、消耗気味。

カミさんに「ここで引き返そうか?」 と尋ねると、「ここまで頑張ったのだから、行ってみる!」
まさに女の意地である。
幸い、ここから白水岳までは比較的アップダウンの少ない稜線上を辿る。
トウゲブキやキスゲ、オトギリなどの枯れ尾花が点々とあり、時期にはお花畑となるのだろう。

 

達成感

白水岳にたどり着いた。
曲がりくねった大きな岳樺が良く来たねと出迎えてくれる。
充実感と達成感に包まれ、疲れも吹き飛ぶような感じである。

白水岳山頂山頂

出発から3時間半強、時間的にはそれほどでもないのだが、感覚的にはかなりハードだった。
腰を下ろし、遊楽部岳や臼別岳を眺めながら、昼食にする。

鋭い山肌を見せる臼別岳、対照的にたおやかな表情の遊楽部岳、コーヒーがうまい。

遊楽部岳
遊楽部岳(右)と臼別岳(左)

大雪のような派手さはないが、山肌はブナと岳樺の紅葉が落ち着いた色合いを見せ美しい。
平田内川をぐるりと囲んで冷水岳に通じている稜線上には縦走路が付けられているが、かすかにしか確認することは出来なかった。
かなりの薮漕ぎを要求されるのではなかろうか?

冷水岳冷水岳

歩いて来た稜線と南白水岳がどっしりした山容を見せている。

南白水岳

往路を再び引き返さなくてはならない。
距離もあり、かなりの登り返しもある、帰路での元気づけの為にゼリーを残して昼食を終えた。

さあ、元気を出して戻るぞ〜!

 

あら!

意を決して引き返す。
途中、東にペンケ岳と岩子岳が良く見える。
岩子岳の尖った山容が目新しい。

岩子岳
ペンケ岳(左)と岩子岳(右)

南白水岳が北側からも凛々しい姿を見せている。

南白水岳南白水岳

帰路の登り返しは急であるが距離は僅か、意外と簡単に、あっけなく越えてしまった。
あれ! という感じである。
体調なのか、気持ちの持ちようなのか、良く分からないが、ままあることだ。

白泉岳の山腹に日が差し込んで、紅葉が輝いている。
一幅の絵を見ているようで美しい。

紅葉
輝く紅葉

 

ラッキー!

白泉岳からは阿吽の滝からの登り返しを除いては、息もつかせぬ急激な下りの連続である。
滑り落ちないよう慎重の上にも慎重に、用心しつつ足を運ぶ。
刈った笹の上に乗ると、つるりと滑ることがあるので気が抜けない。

途中、道に横たわる大きな倒木にナメコが育っているのを見つけた。
直径3cmもある立派なものだ。感謝しながらありがたく頂く。

ナメコ美味しそうなナメコ

辛い下りから解放される、幸せのひと時。笑顔がはじける。
美味しさは帰ってからのお楽しみだ。

ご満悦ご満悦

 

エピローグ

道南の白水岳、思っていたよりハードな山であった。
緩むことなく続くあきれるほどの急坂、良く調べもせず甘く見ていた自分に反省である。

このハードな山で笹刈りなどの活動を行って下さっている方々がいる。
どれほどのご苦労だろうか。ありがたく、心から感謝したい。
「熊石山歩会」という標識を何回か見たが、このグループの人達を中心に整備されているのだろうか。
本当にご苦労様です。そしてありがとうございます。

下山後、平田内温泉で入浴、身も心もリフレッシュ。
帰りにアワビの里に立ち寄り、買い求め、夕食に頂いた。
腐っても鯛と言うけれど、小さくてもアワビ! 
「いや〜! 絶品でした。」

 

 

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・地図のような海岸線に逢えるかも
           次の頂きに誘われてゆく

・堅き芽に未来託して幼木(おさなぎ)は
           二葉のままに淡く色づく

 


 

 

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