北広山からの恵庭岳
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北広山
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目覚めてカーテンを開けるとまばゆいばかりの陽光と青空、清々しいけれど張りつめた凍れる気配が辺りを支配している。
庭先に吊るしてある温度計は−16度を示していた。1月下旬に−20度を下回る日が数日続いたが、そのとき以来の寒さのような気がする。北広島の輪厚から後楽園スキー場を過ぎて最終除雪地点であるペット斎場付近に車を停め、仁井別川沿いの林道を歩き始める。
谷間のせいか寒気が溜まっているようで寒さは厳しく、しんしんと冷えている。
前夜降った雪は、落ちてきた結晶がそのまま積もっている感じで、キラキラ美しく輝いていた。
朝日も凍る厳しい寒さの林道を行く
千歳ではうっすら程度の雪であったが、ここは20cmほどの新雪。ちなみに札幌市内は25〜30cm降って雪かきが大変だったとか。
寒さのお陰で、雪は極めて軽くフワフワだ。ラッセルの感覚はなく普通に歩けるのがありがたい。
30分も歩くと、林道にゲートが現れる。依然は1箇所だったように記憶しているが100m位先にもう一つ出来ている。
そこに北広山の登山口標識がありここで林道と分かれ、右手の沢沿いに入っていく。
登山口標識
この辺りから左手を適当に登ればどの尾根を選択しても北広山に続く稜線に出るが、北広山の山頂へ真っ直ぐ行くには約10分程沢沿いに進んでから取り付くと良い。
小さな沢は湧き水なのであろうか、小さな流れが凍りもせずに流れている。
流れに浸かった笹の葉に氷の結晶と雪の結晶がまとわりつくようにくっついていて、珍しい光景だ。
雪や氷の結晶がそのまま見えているよう
私たちが取り付いた尾根には、かすかなトレースとピンクテープが付けられていた。
「このくらいの雪なら全然大丈夫よ!」と先頭を行くカミさんが頼もしい。
木々の混んだ尾根を登る
一体にこの付近の地形はなだらかな反面、顕著で明瞭な尾根や谷は無い。
だから地形判断は余計むずかしい。
おまけに木々が混んでいて見通しが利かないので、なおさらである。と言っても小さな山、危険な所も無いので、登っていけば山頂へ通じる稜線に飛び出す筈だ。
尾根に取り付いて30分も登れば、木々の間から景色もちらほら見え始め、目指す方向も容易に判断出来る。
西側に聳える空沼岳や札幌岳を眺めつつ、見え始めた稜線に向かって一登り、飛び出した所は二本の白樺が生える北広山の山頂。どんぴしゃりであった。
山頂は広くなだらかな稜線大地にあり、木々も無い為「あっ!」と思う程の開放感だ。
ザックを降ろす前に、グルリと東西南北一周を見渡してみる。
雲がやや多いため、クリアーですっきりとはいかないが、今年一番の展望だ。
山頂から烏帽子岳〜藻岩山などの札幌近郊の山々
体を冷やしてはいけないと、ザックを降ろし、パーカーを着込む。
陽が当たっているせいか朝ほど寒さは感じないが、じっとしていると寒さがじわじわと押し寄せて来る。カメラ片手に場所を移動しながら広がる大景観を手中にする。
カミさんは登って来る途中に浮かんだ歌を手帳に書き留めている。
島松山の自衛隊基地。紋別岳(左)と恵庭岳(右)
稜線続きの島松山には厳めしい自衛隊基地が、その奥には支笏湖の紋別岳・イチャンコッペ山、恵庭岳・オコタンペ山・小漁山・漁岳・空沼岳・札幌岳が冬の荒々しくも厳しい姿を見せている。
札幌近郊の山々も滝野すずらん公園を挟んで、藻岩山・手稲山・砥石山・百松沢山・烏帽子岳・神威岳などがズラリと並んでいて見飽きる事は無い。
恵庭市〜千歳市〜苫小牧と広がる石狩平野南部
少しおなかも空いてきた、寒さも身にしみる。
暖かいものをお腹に入れようと、山頂ラーメンを作る。「ゴォ〜!」と言うストーブの音が暖かさをもたらしてくれるようだ。
お餅とおにぎり入りの熱々・特製辛みラーメンだ、眼鏡が曇るのもおかまいなしに啜り込む。
デザートのグレープフルーツの冷たさも心地よい。
ラーメン出来たわよ〜!
お腹もクチクなり、体も暖たまり、元気も回復した。
小木に遮られ良く見えなかったが、札幌市街地が予想以上に大きく広がっている。
さすが北海道一の大都市である。高層ビルも目立ち、藻岩山との対比も面白い。
その奥にある筈の日本海や増毛と樺戸の山地は残念ながら見えなかった。
藻岩山と広がる札幌市街地
期待通りの大景観に満足し、下山する事に。
帰りは往路を戻るのではなく、山頂稜線を北東に進み、C465mピークから延びる尾根を下って周回して戻る事にした。
C465mまでは平坦な稜線上を恵庭から苫小牧に至る景観を見つつ、15分程だ。
北広山山頂の目印、二本白樺
C465mから北北西に延びる尾根を下る。
やはり木々が混んで視界は利かないが、新雪を蹴って下るのは足にも優しく爽快だ。尾根を右に降りていけば林道に出会う筈と、谷に降りてしばらく行くとかなり深い沢が出てきた。
それを渡るのは少し苦戦しそうな感じ、トラバース気味に沢から離れ尾根と平行に降りると予想通り林道にぶつかり、さらに5分も歩けば登山口標識のあるゲートに戻ってきた。
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