穂高連峰縦走 (北穂〜奥穂〜前穂)

 2010.9.9(木)〜9.10(金)

 

奥穂高
朝焼けの奥穂高岳

 

2010.9.9(木)
上高地 0710
徳沢 0825
横尾 0915〜25
涸沢 1140〜1200
北穂高岳 1430〜45
北穂高小屋 1450
   
2010.9.10(金)
北穂高小屋 0510
涸沢のコル 0600
穂高山荘 0700〜15
奥穂高岳 0750〜0820
最低コル分岐 0910
喜美子平 0930〜45
前穂高岳 1020〜35
喜美子平 1105〜10
岳沢小屋 1240〜55
上高地 1430

穂高再訪の旅 第2弾

穂高再訪の旅・第2弾は、上高地〜涸沢〜北穂高岳〜涸沢岳〜奥穂高岳〜前穂高岳〜岳沢〜上高地の、いわゆる「穂高連峰縦走」である。

このコースはこれまでザイテングラードやパノラマコース等を含めて5・6回は歩いている思い出の多い所である。
特にカミさんを初めて山に連れて来たのがこのコースであった、もう45年も昔の二人とも学生だった頃の事である。
そんな思いもありカミさんと一緒に訪れたかったのだが椎間板ヘルニアの手術直後とあって諦めざるを得なかった。
せめて写真だけでも沢山撮って帰り、見せてやらなければ・・・。

 

台風9号

西穂高〜奥穂高縦走の夢破れ、下山後新穂高温泉でのんびり入浴。
その後高山市で台風9号をやり過ごす。
9.8(水)は大雨警報が発令され終日雨。コインランドリーで洗濯したり、スーパーで買い物したり、時間の経つのが遅く感じられてならなかった。

天気予報をC'Kすると、9.9は曇りのち晴れ、9.10〜12は晴れである。
9.9から穂高第2弾の行動に移る事にして9.8夕方には上高地への飛騨側バス中継地点である平湯へ移動した。

 

神様とお話する女

平湯の「あかんだな駐車場」で車中泊、0630の一番バスを待っていると活発そうな中年女性がせかせかとやって来て「穂高奥の院には、どう行くのですか?」
英語塾の教師をしていると言うこの女性、「9.9に穂高の神に会いに行け」と言うお告げを受けてやって来たそうだ。
始めは何を言っているのか理解に苦しんだが、霊感が強く神様を身近かに感じ、お告げを受け全国各地の霊の強い場所を尋ね歩いているそうだ。

多分彼女が訪ねる奥の院とは、明神池の所にある穂高神社奥宮の事だろうと明神池まで案内しながら行く事にした。
その道すがら聞いた、霊感体験はなかなか面白く興味をそそられるものであった。

 

桂川
河童橋からの梓川の流れと穂高の山並み

 

様変わり

明神池で女性と別れ、徳沢・横尾へと進んで行く。
森林浴をしながらの梓川左岸の気持ちの良い道、左手には明神岳の鋭い姿が雲の間から垣間見え、穂高に来たと言う実感が膨らんでくる。


明神岳
明神岳

早朝は曇っていたが天気は回復傾向、青空も多くなって来た。
やがて徳沢園、次いで横尾山荘、両方の山荘共に立派な建物に建て替えられ、かっての面影は全く無い。公衆トイレまで有料の水洗に変わっている。
横尾の橋も鉄製の立派な吊り橋になっていて、まさに世の中様変わり。
変わらないのは屏風岩など山の景色だけである。
そう言えば、歩いている人達の服装等も洗練され都会に居るようでこれも様変わり、野暮ったい薄汚い格好をしているのは私を含め少数である。

屏風岩
屏風岩

 

ありがたい!

横尾で槍ヶ岳や蝶ヶ岳の道と別れ、左手の横尾谷へと入って行く。
左手に屹立する屏風岩の断崖絶壁が一際眼を惹く。

すっかり晴れ、強い日差しが容赦なく降り注ぎ、暑くなって来た。
登山道は樹林の中で日陰も多いので、暑さに弱い私だが何とか耐えられる。
所々で出会う涸沢の流れで、水を被り顔を洗い気力を高める。
水の流れや木陰のありがたさに感謝である。

屏風岩を回り込み前穂高岳の岩峰が正面に見えると、右手上部に懐かしい涸沢が見えてきた。

涸沢
右手上部に涸沢の台地が、正面は前穂高岳の岩峰

 

お久しぶり〜!

沢沿いの石畳の道をひと頑張りすればモレーンの下に出て、ここを越えれると広々した涸沢である。
涸沢カールの底、扇のかなめの位置に、涸沢ヒュッテと涸沢小屋、そして広いテント場。

懐かしい、ただひたすら懐かしい。「お久しぶり〜! 来たよ〜!」

涸沢
涸沢カール。右から涸沢槍、涸沢岳、雲を被って奥穂高岳、吊り尾根、左に前穂高岳と北尾根

どっかと腰を据えてカールを眺めながら昼食。
菓子パンとリンゴだけの昼食だが、贅沢な大景観のおかず付きだ。美味い。

右を見れば、涸沢小屋と北穂高岳が澄み切った青空に映えている。
穂高連峰の内懐に抱かれて、どこを見ても素晴らしい山ばかり。
余りの気持ち良さに、食後の昼寝と洒落込む。

涸沢小屋
涸沢小屋と右に北穂沢と北穂高岳、左には涸沢槍・涸沢岳

 

こんな所あったっけ?

涸沢から北穂高岳へ。北穂沢を詰めて行った記憶があるけれど良く覚えていない。
気持ちの良い青空のもと、穂高に登るなんて何と幸せな事だろう。
ルンルン気分で北穂沢沿いに付けられた石畳やゴロゴロ石の道を登って行く。
ところが、容赦ない日射しにさらされ体力はともかく気力が失われていく。勘弁してよ〜!

気怠くなった気持ちを立て直してくれるのは、穂高の景観。
特に前穂高北尾根の景観と奥穂高から前穂高への吊り尾根の景観である。
何度も何度も見やっては元気をもらい、挫けかけた気持ちを高ぶらせる。

前穂高
北穂への登りから奥穂と前穂、前穂北尾根 左下は涸沢ヒュッテ

しばらく行くと急傾斜の一枚岩に掛かった長い鎖場。
「こんな所あったっけ?」全く記憶にない。
確か北穂高〜涸沢岳には鎖場や梯子があったはずだが〜・・・。
数十年前の記憶が正しい筈も無い、北穂〜涸沢間の記憶だってキレットのそれと混同しているかも知れない。
取りあえずコースは明瞭、進んでみよう。

稜線が近くなって来ている気配、小さな梯子を乗り越え振り返ると常念岳が端正な姿を見せている。
懐かしい、大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳を歩いたのは何時の事だっただろう?

常念岳
常念岳と雲を被った蝶ヶ岳

 

北穂高山頂だ〜!

やがて稜線岩塊の下を右に斜上していく、正面右に見えているピークが北穂高岳だと思う。
そして少し斜度が平らな所がキャンプ指定地だった筈だ。

この辺りから先を登っていたグループを3組ほど追い抜く。
聞くと今朝横尾を立った人達だ、台風で停滞して今朝登り始めたそうだ。
皆さん、暑さと疲れで相当へばっている。「もう少しですよ!」と声をかけ、先に行かせてもらう。

北穂南峰の手前の分岐から少し下って登り返せば、今日の目的地、北穂高山頂である。

北穂山頂
北穂山頂から滝谷を挟んで奥穂、左に前穂

やった〜、素晴らしい!
滝谷が数百mも垂直に切れ落ち、その向こうに奥穂高の山頂とジャンダルム、吊り尾根を挟んで前穂高と豪快なスカイラインが続いている。
明日はここを歩いていこう。今から気持ちが高ぶるようだ。

北側には槍ヶ岳初め立山連山、後立山連山の山々がずらり勢揃いの筈なのに、雲に覆われその姿はお預けなのであった。

北穂山頂にて
北穂山頂にて

 

心地良い北穂小屋

北穂高山頂のすぐ下、僅か1分の所に今日の宿「北穂高小屋」がある。
私が知っている建物から何度も改築をされているのだろうが、雰囲気は変わらないように思う。
岩壁に張り付いたように立てられている小屋である。

宿泊申し込みをし、部屋と言うか寝る場所を指定される。
私はふすまの無い押し入れのような空間を指定された、二段ベットが整然と並んだ部屋より人間臭くてかえって落ち着く。
混んでいるときは2〜3人で使う空間も、今日は私一人。リラックスしてゆっくり眠れそうだ。

夕食も出来合いの冷凍食品等ではなく、手をかけたものでとても美味しく頂けた。
山小屋は主人の経営方針が如実に表れる所だと感じる。
この北穂高小屋は決して豪勢でもなく今風でもないが、山を愛する人達が心地良く過ごせる小屋の一つだと思う。

 

夕景

夕食を摂っていると北側の雲が消えてきた。
間もなく夕日のショータイム。
多くの人と北穂山頂でショータイムを楽しむ事にした。

キレット
キレットと槍ヶ岳

南岳へ続くキレットが全容を見せている。
怖かった記憶のある、飛騨泣きや長谷川ピークも良く見えて、通過したときの事が思い起こされる。
そして南岳への崖、どうやって登るのかと思っていたら長い梯子を連ねて登るのに驚いた記憶がある。
槍のピークは雲に邪魔されながら、まさに「頭を雲の上に出し・・・」である。
やはり、槍ヶ岳は絵になる山だ。

一方、北穂のすぐ西側はクライマーたちのメッカ、滝谷だ。
その滝谷が夕日を浴びて凄惨さをさらにアッピールしている感じである。

滝谷
滝谷 この下数百m切れ落ちている

夕日が穂高連峰を赤く染めるのを期待したが、晴天のせいか期待したほどにはならなかった。
笠ヶ岳の向こうに沈む夕日は、明日の晴天も約束してくれているようだった。

夕日
笠ヶ岳の真上に沈まんとする夕日

この日はまさに台風一過の晴天となり、雲がニョキニョキ湧きだし夏山らしい雰囲気だった。
暑くて涸沢からは参り気味だったが、涸沢カール・北穂〜奥穂の荒々しい稜線・前穂と北尾根のスカイラインなど穂高独特の岩稜風景が疲れを吹き飛ばしてくれた。

明日も良いお天気でありますように・・・。

 

 



 

 

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