西ヌプカウシヌプリからの然別湖
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西ヌプカウシヌプリ
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然別湖にはこれまで何度も行っているがゆっくり温泉に入ったのは一度だけ、多くはニペソツや石狩岳などの行き帰りに通過していただけだった。
それが先週、十勝岳の帰りに立ち寄り白雲山へ登ってみたら意外に楽しく展望も良い、そんな訳でこの付近の山が気になりだしたのだ。
そこで然別湖周辺の東・西ヌプカウシヌプリの二山と北海道三大秘湖の一つと言われる東雲湖を歩き、翌日はこれも以前から気になっていたクマネシリ岳と南クマネシリ岳を訪れてみようと思い立った。
いわば、秋の東大雪の山々を巡る小さな山旅である。
前夜は鹿追の道の駅で車中泊。
ここは敷地や駐車場等が美術館と共有していて広くて静かで奇麗、付近にはコンビニが2軒もあり便利だしゆっくり休めるお勧めの道の駅である。朝起きると、低い雲がたれ込めている。「アレッ! 天気予報と違うじゃない?」
登山口へ向かう車のラジオからは、「十勝地方に濃霧注意報発令中」の放送。
朝の間だけだろうと、予定通り行動する事に。
それにしても最近、霧に遭遇する事が多い、頭上は晴れているのに周りは霧で何も見えずというときが結構あるのだ。
9月の北アルプスでも穂高で劔岳で夫々悩まされたし、十勝岳でもそうだった。何と言っても8月のカムエク〜コイカクでは2日間も閉じ込められたのだった。
カミさんや娘からは雨男ならぬ霧男になってしまったのではとからかわれ、内心忸怩たる思いがしているのである。
西ヌプカウシヌプリの登山口は鹿追から然別湖への途中にある「扇ヶ原展望台」の150mほど鹿追側、薮に覆われ注意して見ないと分かりにくい。
展望台には大きな駐車場とトイレもある。
登山口から道はカラマツ林と笹原の中を北へ一直線に延びている。
笹は腰位までと背は低いが一部は道を被っている。
20分も登ると、カラマツと岳樺の入り交じった林となり、それもやがて岳樺の純林へと変わっていく。
白樺と笹の中を行く
岳樺と言っても樹皮が純白に近く、白樺と言った方が納得出来る林である。
斜度は急でもなく、かといってなだらかでもない。
そんな白樺林の中をのんびり気持ち良く登っていく。霧が晴れ始め、青空がのぞき、朝陽も射して来た。
周囲が陽光で明るくなれば気持ちも晴れやかに、お願いだから晴れて頂戴!
標高1000mを越えた辺りから道は次第に尾根筋を辿るようになり、1100m位からは明瞭な尾根に乗る。
晴れつつある霧越しに山頂らしきピークを望み、もう山頂かとあっけない。
延びる尾根の先には山頂らしき気配が
歩き出して約1時間、広い平地になった山頂らしき所に着いて見渡すと、山頂標識も何も無く道はさらに先へと延びている。
本来ならここから見渡せるであろう十勝の大平原も兄弟分の東ヌプカウシヌプリも然別湖も霧の雲で何も見えない。
取りあえず、見当もつかないが道に従って進んでみる事にした。
山頂ではないの?
道は緩やかに笹の中を下って行く霧で先は見えないけれど、どうやらコルへと降り、そこから本当の頂上へ登っていくようだ。
とすれば、通って来た山頂かと思った地点はC1205mのピークである。
周囲の様子がこれまでの岳樺林からエゾマツの林に代わり、雰囲気が一変した。
突然視界が開けたと思ったら、そこには大きな岩が積み重なった大きな斜面が現われた。
巨岩累々の斜面が
白雲山がそうであったように然別湖周辺の山々の地層には、このような岩の帯があるようだ。
いかにも鳴きウサギが居そうな岩場である。
バランスととりながら岩伝いにこの斜面を登り切る。振り返るとC1205mPが霧に半分覆われながら姿を見せている。
岳樺の白い幹がエゾマツの緑と紅葉に対比して目立ち、印象的だ。
C1205mピーク
巨岩帯を抜け一登りすると、大岩がいくつかある場所の木に赤く塗られた枝が縛り付けてある。
標識も何も無いが、どうやらここが西ヌプカウシヌプリの山頂らしい。然別湖と白雲山、天望山が霧の雲に覆われながら姿を見せている。
すっきりとした大展望とは言えず、チョッピリ残念である。
西ヌプカウシヌプリの山頂からの然別湖と周囲の山々
先週よりも紅葉が進んでいるような感じであるが、日射しを遮られた湖面は暗く沈み、どんより悲しげだ。
白雲山(右)と天望山
霧から変わった雲の動きは激しく、逆巻いている。
お隣の東ヌプカウシヌプリはその逆巻く雲に隠れている。
少し山頂で雲の晴れるのを待ったが、期待薄と諦めた。
かじるリンゴの甘酸っぱさが余計身にしみた。
残念さを心に刻み、来た道をそのまま引き返す。
巨岩帯を下り、登り返せば偽ピーク。僅か20分で戻って来た。
下る尾根から見ると、次に訪れる東ヌプカウシヌプリが中腹まで姿を表し始めている。
お願いしますよ! 期待して行きますから、きっと晴れてね。
姿を表し始めた東ヌプカウシヌプリ