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東雲湖
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東雲湖と訪れるのには、然別湖の南岸沿いに湖畔歩道を行くか、白雲山・天望山を経由して行くか、どちらかである。
いずれにしても1〜3時間を必要とし、訪れるのが大変と言う意味では確かに秘湖であろう。先週白雲山から天望山へ歩こうと思ったのだが、笹が全く刈られておらず嫌になって両山のコルから湖畔へ降り引き返した。
今回はそれが分かっているし時間も午後だから素直に湖畔歩道を歩いて訪れる事にした。
湖畔歩道は白雲山登山口から湖畔沿いに延びていて、何の不安も無いしっかりした遊歩道である。
湖畔歩道から然別湖と温泉街を見る
午前中に訪れた東・西ヌプカウシヌプリでは霧から変わった雲の中であったが、午後の然別湖は雲は多めながら時折晴れ間が出るお天気。
太陽の光を受けると湖面は青く輝き美しい、光りが遮られると暗く沈み物悲しい。
本体なら楽しめる山々の景観も雲に邪魔されぼんやりしたり隠されたりして楽しめない。そんなお天気の中だが、然別湖を彩る紅葉は最盛期に入ったようで美しい。
色とりどりの紅葉が目を楽しませてくれる
然別湖には釣り人達がボートで釣りを楽しんでいる。
「釣れますか?」と声をかけると30cmほど両手を広げ「大漁だよ!」と笑っている。本当?
観光船も紅葉を見せようと岸ぎりぎりまで近づいて走ってゆく。
神秘性は感じられないが、然別湖は静かで美しい湖である。
然別湖
のんびり写真を撮りながら30分近く歩くと天望山との分岐、ここで東雲湖へのほぼ中間点である。
天望山との分岐から15分ほど行くと、少し分かりづらいが船着き場跡があり、東雲湖からの小沢が流れ込んで来ている。
そこから然別湖と分かれ、道は小沢に沿い天望山の山腹を巻くように緩やかに登っていく。しばらく行くと岩と苔の混じった開けた所に出た。
いかにも鳴きウサギことナッキーが居そうな場所、雰囲気である。
鳴きウサギが好みそうな場所
耳を澄ますと、小鳥とは違うチッ! ピチッ!というような鳴き声があちこちから聞こえてくる。
姿は見えないけれど、ナッキーに違いない。
左手の木々の間から湖面が見えて来た。東雲湖である。
湖と言うより沼と言う方が正直な印象である。
東雲湖
山に囲まれて佇む小さな湖、確かに神秘性を感じて不思議でないロケーションなのだが、あまりそれは感じない。
山が低く、開放的すぎるのか? それとも木々が邪魔しているからか?見ると笹薮の中を湖面に降りる踏み跡が延びている。
ここまで来て、行ってみない訳にはいかないだろう。
早速笹をかき分け、踏み跡を辿る。
静かな佇まいを見せる東雲湖
湖岸に降り立つ、湖面と同じ目線になると印象が変わり、広々とした印象だ。
葦や葦が生え波一つない静かな湖面、山々の緑の笹原と岳樺の紅葉、静かで落ち着いた風景が気持ちを穏やかにしてくれる。
静かさと穏やかさが交錯する
神秘的と言うより静かで解放され癒される雰囲気。
こういう風景、私は好きだな〜。狭い湖畔にザックを降ろし、静かな湖面を眺めながらコーヒーを飲みリンゴをかじる。
今日、初めて感じる幸福感だ。
岳樺の紅葉とエゾマツ・笹原の緑が不思議なほど調和していて心が和む。
東雲湖、何故秘湖というのか良く分からないけれど、とても良い雰囲気を感じさせる湖だ。
神秘性は??だが、安らぎと開放感を与えてくれる明るい湖だ。私の好きなカットでどうぞ。
時間は午後2時過ぎ、午後の日差しを受け静かに佇む東雲湖。
いつまでたっても見飽きないが、そろそろ時間だと引き返す。今日午前中訪れた東と西のヌプカウシヌプリでは霧と雲で期待していた景観も見られず、霧男になってしまったかと落ち込み気味になったけれど、然別湖と東雲湖を訪れ晴れ晴れした気持ちになれた。
今日も一日、満ち足りた良い日だった。
そう思う気持ちを後押しするかのように、然別湖の紅葉も一層鮮やかに映った。