樽前山 (1041m)

道央  2010.10.19(火)  晴れ


 

樽前山

 

2010.10.19(火)
7合目ヒュッテ 0800
東山 0840〜55
樽前山神社奥宮 0925
西山 0950〜1000
風不死岳分岐 1040〜55
7合目ヒュッテ 1140

支笏湖の紅葉

9月初めに大雪の山々から始まった北海道の紅葉は、約1ヶ月かけて札幌周辺の平地まで降りて来た。
私の地元でも支笏湖で紅葉祭りが開かれるなど、盛り上がりを見せている。

その支笏湖周辺でもっとも早く紅葉が楽しめるのが樽前山。
今年の紅葉はどうなのか、C'Kを兼ねて訪ねてみた。

高気圧に覆われ良い天気、でも寒気も入って寒い朝。
千歳では今期初めての氷点下、-1.6℃を観測したそうである。
登山口である、樽前山7合目ヒュッテの駐車場で車の外気温度計は-5℃を示していた。
寒さで体が堅くなり、暖かい車から出るのがおっくうになる。

気合いを入れて準備もそこそこに歩き出す。
まずは東山へ、そこから外輪山を一周して風不死岳分岐からお花畑を通って戻りながら紅葉を楽しもうと言う目論みだ。

 

良いな〜!

7合目ヒュッテから5分も歩けば、支笏湖が一望できる展望台。
赤くなったナナカマドの林が支笏湖と紋別岳を引き立てている。

展望台から

ナナカマドの赤と岳樺の白い幹、ミズナラや柏の茶色、エゾマツ・トドマツの緑、そして支笏湖ブルー、ほのかに色づいた山肌、青い空と白い雲。
それらが調和して華やかだけど落ち着いた表情を造り出している。
何時見ても、心が和む風景。1幅の絵巻である。

目を左の西側に転じれば、風不死岳が夏の緑の装いから赤茶けた秋色の服に装いを変えてシックに佇んでいる。
良いな〜! 少し歩いては振り返り眺め、少し進んではまた振り返る。

風不死岳

 

寒むっ!

木々の生えない砂礫の山肌を斜めに登っていくと、南側には苫小牧の町並みや太平洋が朝日を受け、茫洋として広がっている。
山裾には深い森林が広がり、針葉樹は緑のまま、広葉樹林は色とりどりに紅葉している。
良く見ると日射しを受けて微妙に色が変化し、面白くも美しい。

演習林
遠目にも美しく色づいた紅葉

斜めに付けられた砂礫の道を登り切ると、外輪山の一角に出る。
途端に北西の風が一気に吹きつけ、息が詰まる思いだ。
寒い! 涙がちょちょ切れ、鼻水が・・・。

堪らずパーカーを羽織り、念のためと思って持って来た冬用の手袋と帽子を被る。
今シーズン初めての寒さの洗礼である。
風もあり、体感温度は-10℃を軽く下回っているだろう。
鼻水を啜りながら、東山へと向かう。

東山山頂からは、展望台からとは高度感の違う支笏湖の景観が待っている。
距離が遠くなったせいか、紅葉がくすんで見える。
お天気は良いのだが、遠くがやや霞んでいるのが残念だ。

支笏湖
東山山頂からの支笏湖

噴火口から風に乗ってくる硫黄の匂いが強烈だ。
心なし溶岩ドームから上がっている噴煙も何時もより多い感じである。

溶岩ドーム

それにしても寒い!
体が慣れていないせいもあるが、震え上がる。
熱いコーヒーを一口、お腹の中から温まり、この上なく貴重なものに思える。そんな寒さである。

北側には風不死岳と932m峰(ペウレ)が親子のように佇んでいる。
その奥には羊蹄山と尻別山が霞みながら見えている。

ペウレ
932m峰(中央)と風不死岳(右)

 

祈り

寒さと風でとてもゆっくりしておれず、写真を撮って早々に東山山頂を後にした。
下っているとヒュッテから男性が登って来た、外輪山の分岐に来たと思ったらそのまま踵を返して来た道を戻っていく。
余りの寒さと風に意欲を喪失してしまったのだろう。せっかく登って来たのに・・・。

外輪山を樽前山神社奥宮へ向かう。
油断していると吹き飛ばされそうな風だが日射しは燦々と降り注ぎ、まばゆいほど。
苫小牧沖の海が輝き、何だか敬虔な気持ちになって自然に手を合わせてしまう景観だ。

陽光

行く手には西山へのなだらかな稜線と荒々しい溶岩ドーム、樽前山独特の景観である。

砂礫の道にはタルマイソウやイソツツジが花柄を付けたまま茶色に立ち枯れている。
たしか一昨年訪れたときはそれらの草モミジが赤や黄色に染まって美しかった記憶があるのだが・・・。

溶岩ドーム
外輪山の稜線から西山と溶岩ドーム

樽前山神社奥宮は外輪山を歩く時は、必ず立ち寄り拝礼する場所だ。
今回も噴火して大きな災害が起こらないようお祈りし、そして勝手ながら我が家の家内安全をお願いした。

奥宮

 

風邪?

樽前山神社奥宮から深い沢地形を横切り一登りすれば西山である。
外輪山を一周していて面白いのは溶岩ドームの変化である。
三重式火山と呼ばれる珍しい形態の火山、西山から見ると外輪山との関係が良くわかる。

溶岩ドーム
外輪山と溶岩ドーム、ドームのすぐ右が東山山頂

西山から外輪山を歩き、今は立ち入り禁止となっているシシャモナイ・コースを通り越して風不死岳・932m峰方向へ進んでいく。
周囲は変化の無い砂礫の斜面、夏にはタルマイソウやイソツツジ、ガンコウラン、コメバツガザクラなどで賑やかな斜面も今は茶褐色一色で寒々しい。

932m峰への稜線からはずれ、風不死岳分岐へ降り始めると稜線で遮られたのか風が弱まり日射しを一杯受け暖かくなって来た。
やれ嬉しやと大岩の陰で腰を下ろして大休止。

932m峰
932m峰と風不死岳

熱いコーヒーで体を温め、甘い菓子パンでお腹を満たす。
燦々とした日射しを受けた日溜まり、のんびりしていると眠くなってくる、うららかなひと時だ。
それなのに鼻水が収まらず、クシャミも止まらない。
急な寒さで風邪を引いてしまったのだろうか?

タオル片手にグズグズの洟を擤み、大きなクシャミをまき散らしながら、岩尾根を下り、紅葉の表舞台であるお花畑へ進んでいく。

 

鮮やかだ〜!

岩尾根付近では、陽を受け白く光り風に揺れるススキの穂が風情を添えている。

ススキ岩尾根とススキ

ハナヒリノキが赤く透き通ったような色を見せ、マルバシモツケが黄色く染まっている。
茶褐色一色の世界から天然色の世界に飛び込んだような感じである。

色づいた草木紅葉

樽前山の中腹を横切る道から下はナナカマドを中心とする赤の世界、上はススキを中心とする白の世界と二分されている。
いずれも夫々の風情で美しい。

ススキが原樽前山とススキが原

ナナカマドの紅葉が支笏湖を背景に映えている。
思わず立ち止まって見入ってしまう秋の景観、素晴らしい。

支笏湖

そのナナカマドの紅葉をUPで切り取ってみた。

ナナカマド
紅葉するナナカマドの林

ナナカマドは葉も赤く紅葉しているが、その実も真っ赤に熟している。
それが相まって鮮やかな赤を表現しているのだろう。

ナナカマドの實
ナナカマドの実

のんびり歩いて約4時間、思わぬ寒さと風に難儀はしたが、例年に勝るとも劣らない樽前山の紅葉を満喫することができた。
もしかしたら、今年はこれからまだまだ道央や道南でさらに美しい紅葉を楽しめるのかも知れない。

 

 

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