イチャンコッペ山(奥)へ続くなだらかな稜線
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イチャンコッペ山
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イチャンコッペ山の登山口は支笏湖のポロピナイから丸駒温泉への道を左に分け札幌方面に向かって恵庭岳の登山口を過ぎ最初のヘアピンカーブの脇にある。
支笏湖展望台の駐車帯があり、ここを利用すると良い。登山口からは助走の無いいきなりの急登、30分足らずの登りだが意識してゆっくり歩む事が肝心だ。
厚く敷き詰められた落ち葉を踏むカサカサと言う晩秋の音を聞きながら足を進める。
この時期、木の葉はすっかり落ちているが木々が混み枝が邪魔して見通しはすっきりしない。
この尾根はイチャンコッペ山の隣の幌平山に続いているもので、道は標高580m辺りから幌平山の中腹をトラバースしてイチャンコッペ山へ続く稜線に出るようになっている。トラバースする道からは支笏湖や隣の紋別岳、電波反射板のあるC785mPなどが見え始める。
鈍色に輝く波一つない支笏湖と風不死岳・樽前山
イチャンコッペ山は一口で言えば「笹山」である。
2年も笹刈りをしなければ登山道のかなりの部分が笹で覆われ、薮漕ぎを強いられる。
数年前まで有志の方が笹刈りをして下さっていたのでファミリー登山や自然観察会の対象にもなっていたのだが、笹刈りが行われなくなって訪れる人も減っていたようだ。私自身も山仲間に協力をお願いし二度ほど笹刈り奉仕を行ったが、その翌年には笹で覆われてしまうため根負けし、この数年は冬に楽しんでいた。
今年の夏に森林管理所が笹刈りをしてくれ楽しめるようになったと言う話を聞き、その後ツアーや自然観察会などが行われたと言う話を聞くようになったのだ。トラバース道を過ぎ、笹の濃かった付近に来た。
情報通り奇麗に笹刈りがしてある。
一部被っている所もあるが、歩くのに支障はない。
これなら子供たちを始め初心者など多くの人達が山歩きを楽しめる。
ぜひ森林管理所には笹刈りを続けて頂きたいと思う。
「今日は冬支度をするのに最適な小春日和となるでしょう。」との天気予報、朝のうちはその通り日射しもあり風もなかったが、だんだん雲が多くなって日射しが無くなり薄暗くなってきた。
エゾマツの植林地の中の笹の刈り分け道を進んで、C785mPへの登りにさしかかる。
登るにつれてエゾマツや岳樺が少なくなり見通しが利くようになる。
支笏湖、風不死岳や樽前山、そして何と言っても恵庭岳の姿が圧倒的な迫力で迫ってくる。
支笏湖に影を落とす風不死岳と樽前山
電波反射板のあるC785mPに着いた。
うっすらと雪化粧をし始めた恵庭岳が素晴らしい、青空が背景だったらと思ってしまうがそれでも迫力満点だ。
恵庭岳
紋別岳から樽前山とグルリと回り込んだ湖水との対比が魅力的だ。
紋別岳(左)と支笏湖、樽前山・風不死岳
電波反射板のある7合目からはなだらかなアップダウンの稜線を辿れば僅か15分ほどで山頂である。
なだらかな稜線を進む
稜線の東側には千歳市や恵庭市の町並みを挟んで夕張山地や遠く日高山脈の山並みが浮び、すぐ下には林道が通り紋別岳方面に続いている。
笹で覆われた山頂からは北西か北東にかけては視界が閉ざされているが、東から南〜西にかけて遮る物の無い展望が広がっている。
山頂から恵庭岳を望む
やはり堂々とした恵庭岳が一際眼を惹く。
その北側にはすっかり雪化粧した漁岳から空沼岳の稜線、南側には遠く徳舜瞥山・ホロホロ山が控えめに端座していた。誰も居ない山頂で一人展望を楽しみながら物思いに沈む。
あちらに飛んだりこちらに来たり、静かすぎてかえって考えが纏まらない。コーヒーやリンゴを口にする。
遠くで雄鹿が雌を呼んでいるのか、物悲しい鳴き声を響かせている。
30分ほど一人きりの山頂を満喫して下山する事に。
ちなみにイチャンコッペ山頂標識の100mほど北には昭和25年頃米軍が建設しようとしていたレーダーサイト施設の基礎部分の残骸が今でも残っている。
朝鮮戦争勃発で建設中止となった遺構とも言えるもの、興味のある方は笹を漕いで見に行くと良い。穏やかな稜線を戻る。
支笏湖の湖面に模様が出来ている。何故だか分からないが支笏湖には渦を巻いたり、縞模様をした模様が時々出来る。
自然の面白さ、不思議さだ。
波紋? 風不死岳の右手に渦のようなものが・・・
正面に見える恵庭岳や漁岳の姿を眼に入れながら笹の道を辿れば、1時間で登山口に戻って来た。
イチャンコッペ山はやはり手軽に楽しめる良い山だ。
恵庭岳と漁岳(右)冬になったらまた訪れてみよう。