狭薄山(1296m)
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プロローグ
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前日の4/4は私たちの40回目の結婚記念日であった。
紅茶と今年の札幌スイーツ・グランプリのケーキでささやかなお祝い。
小さなランが祝ってくれたかのごとく咲いたのも嬉しい。
これまでの事、これからの事、老後の事、子供や孫の事などなど話題は尽きないが、私たち共通の今年の願いはカミさんの腰が良くなることだ。
昨年6月、椎間板ヘルニアの手術を受け平常時の痛みは嘘のように無くなったのだが、負荷がかかると痛みや痺れが出て、回復は薄皮を一枚一枚剥がすようなスピードなのである。
再び山を一緒に楽しみたいし、数年後にはもう一度四国歩き遍路にも行きたいと思っている。
ぜひ完治して元気に歩けるよう祈るばかりなのである。
空沼岳登山口へ向かうと採石場を過ぎた湯の沢にかかる小さな橋で除雪は終わっている。
橋の手前に駐車し登山口までは15分ほどだ。
登山道は踏み固められ、ツボ足で問題ない。
万計沢
夏道に従い万計沢沿いに進み、一旦沢から離れるが再び沢沿いになり沢を渡る。
夏道を辿っているのだが、印象はだいぶ違う。
万計沼直前のトラバースは嫌な感じだったので右手から大きく巻き、山荘の裏手から万計沼に出た。
万計沼
万計沼は凍っているが全体に薄い感じで乗る気にはなれない。
万計山荘の裏手方面からのスノーモービルのトレースがたくさん残っていて、せっかくの静かな雰囲気が乱されるようで残念だ。うらびれた感じの北大空沼小屋とは対照的に万計山荘は開放的。
手入れもよくされていて通年使えるのも嬉しい小屋である。中を覗くと綺麗に整理されていた。
万計山荘
美しく静かな万計沼を眺めながら、小腹を満たす。
万計沼までしっかりあったトレースも山荘から先は途絶えている。
スノーシューを履き、西へと適当に歩き出す。
小さな沢地形を選んで進んでいく、積雪期ならではの楽しいトレッキングである。
ダケカンバの大木、倒木、枯れ木がそれぞれの風情で出迎えてくれる。
2ヶ所ほど小さな急な斜面を登り、緩やかな斜面を歩けば1時間ほどで真簾沼。
真簾沼
万計沼と大した標高差もないのにこちらは完全結氷し、周囲の山々が映えている。
凍った湖上を渡りながら誰も居ない真簾沼と周囲の景観を楽しむ。
1197mPがたおやかで凛々しい姿でお出迎えだ。
真簾沼と1197mP
真簾沼から主稜線のコルを目指し、次いで西へ延びる稜線上を1150mへと足を延ばす。
この辺りは疎林で見通しも良く気持ちまで晴れ晴れする稜線歩きだ。間もなく右手前方に札幌岳が大きく姿を現しはじめた。
雄々しく雄大な山容が指呼の間にある。
札幌岳
そして左手前方に三角形のどっしりした狭薄山が手前の1184mP越しに見え出した。
雪庇を張り出しそそり立つピラミットは神々しいほどだ。
狭薄山
狭薄山へは1.5時間〜2時間位掛かると見た、往復すれば最低3時間、とすれば下山は日没後になってしまう。
やはり今回は諦めよう。せめて1184mPまで行ってみようとコルまで降りたが、気力が萎え景観を楽しみながらのんびり昼食に。狭薄山や札幌岳、自分のもの以外はトレースもない大雪原、暖かく日差し溢れる青空、あたたかいコーヒーとサンドイッチを頬張りながら、生きている幸せを感じる一時である。
札幌岳 遠くは余市岳
来た方を見やれば、自分の足跡が一直線に延びて、丘の向こうへと消えていく。
昼寝でもしたくなる麗らかな時間が流れている。
帰路は主稜線の1161mPへ寄って行く。
そこからは空沼岳が真簾沼を従えるように屹立していた。
主稜線から見る 空沼岳
真簾沼と空沼岳
往路のトレースに合流し万計沼へ戻る。
万計沼で一休みし、帰りは北大万計小屋の裏手から万計沢の南を巻くルートで渡渉点まで降りた。
雪に閉ざされた 万計小屋
登山口へ降りたのは1445、車には1500に着いた。
無理して狭薄山まで行っていれば、やはり日没過ぎになっていたに違いない。
次回はこれを教訓にしっかり早起きして臨むことにしよう。登山口付近では、柳の芽が白金色に芽吹き始めていた。
柳の芽吹き