徳舜瞥山 (1309m)

道央   20111.4.9(土)   高曇り


 

徳舜瞥山

 

2011.4.9(土)
市有牧場 0710
C1050m台地 0835
徳舜瞥山山頂 0940〜45
C1050m台地 1010〜25
市有牧場 1110

徳舜瞥山

伊達市大滝にある鋭く屹立し、道央の何処からでも山座同定できる独特の姿をした山が徳舜瞥山である。
夏は比較的簡単に登ることが出来、眺望も花も楽しめる山として多くの人が訪れる。
しかし冬期は一転して厳しい気象に晒される。
私自身もガリガリ氷や凄まじい強風に見舞われ退散した経験があり、厳冬期に登るには本格的な冬装備と気力が必要だ。

 

一山遊ぶ度に

未曽有の大災害となった東日本大震災、あまりもの惨状に楽しんだり浮かれたりすることを自制する雰囲気が広まっているようだ。
私自身もそうであったが、被災した方々を励ます側の者が意気消沈していては日本が沈没してしまうのも事実だろう。
普段どおり活動することが大切なのだと思い、趣味の山歩きも再開した。
それでも心の何処かで山で遊んで良いのかと気が咎める。

そこで一山遊ぶ度に3000円の義援金を拠出することに決めた。
被災地の支援に自分が「痛い」と感じるお金を出すことで心の咎めを和らげられるし、具体的・現実的な復興支援のお手伝いが出来る、そう思ったのだ。
平均して年間50山ほどを楽しんでいる私にとってこれはお小遣いの約40%に相当し、確かに痛い額である。
痛いけど被災地の人たちの痛みをほんの一部ではあるが負うことにも通じるだろう。
そう信じて、キツくてもやり通してみようと思うのである。

 

春の堅雪

徳舜瞥山上野コースの登山口は大滝の上円山農免道路の除雪終了地点にある市有牧場脇。
名物にもなっている牧場のワンちゃんの盛大な吠え声に迎えられ道路脇に駐車する。
広々した牧場を縦断し、雑木林に入り何本かの林道を横切り歩く。
雪はまだたっぷりだが、春の堅雪でツボ足でも全く問題ない。
ラッセルもなく起伏も隠されているため歩きやすい。
そのかわり厳冬期の静寂さ・緊張感は感じられない。

林から時折見られる徳舜瞥山の姿も真っ白く厳しい真冬の姿とは変わって何となく春らしい。

徳舜瞥山
標高700m付近からの徳舜瞥山
上野コースは右の稜線を登る

 

森林限界

厳冬期には怪獣を思わせる樹氷が楽しめる森林地帯を登り切ると1050mで森林限界に出る。
ラッセルが無く硬雪だった分、思ったより早く着いた。
山頂がしっかり見えているが高曇りで灰色の空、くっきり鮮やかと言う訳にはいかず、ちょっぴり残念だ。

徳舜瞥山
1050m台地からの徳舜瞥山

登ってきた方向を振り返ると羊蹄山や無意根山が静かに端座している。

無意根山
無意根山

台地に出ると南風が強い、チラッと強風に負け退散したときのことが頭をよぎる。
小腹を満たし、パーカーを着て気合を入れて登り出す。

 

吹き荒ぶ!

斜面はハイマツが頭を出し凍り付いている。常に風が強く雪は吹き飛ばされるのだろう、斜面全体が氷になっている。
南風が強烈だ、気を抜くと体がふらつく。体温が奪われ寒くなってきた。

肩の風が避けられる場所で、アイゼンに履き替えパーカーの下にフリースを着込む。

徳舜瞥山
山頂直下 吹き荒ぶ風で雪煙が舞っている

吹き荒ぶ風に雪が飛ばされ顔に当たると痛い。
フードも被り、風に負けじと足を踏み出す。アイゼンが気持ちよく効いてくれるのが安心だ。
風の息継ぎには風が止み、ホッとする。
烈風を避けようと左斜面に逃げると、ハイマツが煩くどうにも始末が悪い。

悪戦苦闘しながらも一歩一歩を慎重に進めていくと、やがて見慣れた山頂標識が目に飛び込んできた。


逃げる!

山頂に立つと遮るものがないため、まともに風を食らう。
耐風姿勢をとって耐えるだけだ。
風の息の間に、カメラを取り出すがとても撮影どころではない。
ふらつきながら手当たり次第にシャッターを押す。

羊蹄山
徳舜瞥山山頂からの羊蹄山とニセコ連山

羊蹄山、ニセコ連山、無意根山、恵庭岳、支笏湖がいつもの表情で姿をみせている。

オロフレ山
オロフレ山

恵庭岳
恵庭岳と支笏湖

有珠山
有珠山と洞爺湖

ホロホロ山
お隣りのホロホロ山

とりあえず証拠写真を撮り、ザックを下ろすこともなく下山にかかる。
余裕があったらホロホロ山まで足を伸ばそうなんて思っていたのに、チラッ!とも思い出さなかった。
逃げろ〜! 退散だ〜!

 

ほっと!

強風下の急斜面を気持ちは焦れど慎重にアイゼンの歯を食い込ませ降りる。
C1050m台地の直前で単独男性が登ってくるのとすれ違う。
見ればしっかりとした冬装備、大丈夫だろうと思いつつ、状況をお知らせする。

台地で風の無い樹林帯にたどり着き、ホッとする。
ザックを下ろし,心安らかに一休み。
温かいコーヒーが心身ともに温めてくれる。

そこには安心した気持ちと同様に穏やかな景観が広がっていた。

台地
C1050m台地からの景観

積雪期の徳舜瞥山、今回も風で苦戦を強いられた。
気持ちよく暖かい日差しを浴びながら春山を楽しみ、出来れば隣のホロホロ山にも足を伸ばそうなど考えていたのだが、そう甘くはない。
吹き荒ぶ烈風の中、山頂に立っただけだったが、下山後ジワジワと登頂の喜びが心に広がった。



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