群別岳側C1171mPからの幌天狗
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幌天狗
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左から幌天狗、群別岳、奥徳富岳、右は黄金山
舗装された幌川沿いの道を走り未舗装になって100mほどで林道ゲート。
ここで車中泊、満天の星空が明日の晴天を約束してくれているかのようだ。
5/6 4時前には目が覚め、簡単な朝食を摂って歩き出す。浜益岳林道を100mほど進んで右に分岐した林道に入る。林道と言っても使われていない林道跡で道の真中に笹が茂り少々歩きにくい。
雪はすでに溶けていて道はグジャグジャ、始末に悪い。
少し歩くとその林道跡は二股に分かれ、小沢を渡って右手に入る。
標高350m付近までグジャグジャの泥道、その後雪が出てくるが完全に雪がつながるのは450m位から。
もう大丈夫だろうとショートカットしたら藪漕ぎを強いられた、大回りになるが我慢して荒れた林道跡を辿るのが良いようだ。
標高500m付近から平坦で幅広い尾根に乗る。
ここからは疎林の幅広く緩やかな尾根が続く、変化もなく単調で視界も効かない。
そんな単調さを破ったのは、大きな羆の足跡だった。
ゆうに25cmはある大きさで爪あともしっかり付いている比較的新しい物、思わずあたりを見回す。
すでに近くには居ないはずと思いつつも、思いっきり笛を吹き鳴らした。
単調な緩斜面が続く
この広い尾根、登りは大丈夫だが下降時視界が悪いとルートを失う可能性もあり対策が必要だと思う。
C745mの小ピークに出ると視界が開け、正面に目指す幌天狗の山頂が見えるけどその見た目の遠さにいささかうんざりだ。
C745mPからの幌天狗
C745mPからは尾根も明瞭となるが、斜度は相変わらず緩く気持ちまでダラダラになりそうだ。視界が開け始め左に浜益岳、右に黄金山・ピンネシリ・神居尻山の眺望が広がりだす。
黄金山
振り返れば、日本海が空との境を曖昧にして広がっている。
少し霞んで水平線もぼんやりして見えるのに、積丹の山々や羊蹄山も見えると言う不思議な見え方だ。
振り返ると日本海、遠くに札幌や積丹の山々が・・・
やがて正面にC1044mの標高点とその向こうに幌天狗の山頂が見え、長く感じた登りもようやく終わりに近づいた気持ちになれる。
C1044m標高点(手前)と奥に幌天狗の山頂
長かったダラダラの南西尾根を辿り、ようようの思いで幌天狗の山頂に着いた。
山頂に立つと目を覚ませとばかりに増毛山地の鋭鋒たちの勇姿が目に飛び込んでくる。
凄い! そして素晴らしい!
浜益岳
浜益岳から浜益御殿・雄冬山、群別岳・奥徳富岳・知来岳がパノラマのように並んでいる。
増毛山地の盟主・暑寒別岳は群別岳に隠れている。
幌天狗山頂からの大景観
圧倒的なのは何と言っても群別岳の勇姿。
浜益岳からの鋭角的な鋭い姿とは少し異なるが、あたりを睥睨している山容は堂々たるものだ。
そして幌天狗まで緩やかに幅広く続いていた南西尾根は急にその姿を痩せて細いものに変え、群別岳とのコルへと続いている。
群別岳と奥徳富岳(右)
時間はまだ8時過ぎだ。
予定通り群別岳とのコル付近まで足を延ばすことにする、そうすれば以前増田の沢からコルを経て群別岳〜奥徳富岳と歩いているので足跡を繋ぐことが出来るからだ。アイゼンに履き替えて鋭く痩せた尾根に踏み出す。
C1189mPまでは左側をトラバース、その先はナイフリッジとなり慎重に足を進める。
左右とも40度以上の斜度となって切れ落ち、所々亀裂も走っている。C1171mPを過ぎると地形図からも判るとおり、小岩峰が行く手を塞いでいる。
左の急斜面を下って巻くようにトラバースするしか無いが、とてつもない急斜面だ。
小岩峰の上から眺めると群別岳は指呼の間だが実際に歩けば2時間以上かかりそうだ。
C1171mPから群別岳 手前が小岩峰
ここで考える。
群別岳まで行くのなら危険度の高いトラバースにチャレンジしても良いが、コルまでなら危険を冒す必要も無いだろう。
群別岳を往復して幌天狗に戻るのは14時か15時、それから下山すると17時近くになり行動時間はゆうに12時間を超える。体力が持つかどうか不安でもある。無理することもない。
歳相応の山歩きを楽しめれば良いのだ、今回はここまでとしよう。
C1171mP、左に幌天狗山頂足場に気をつけ、痩せ尾根を戻る。
尾根のアップダウンが幌天狗を凛々しく見せている。
C1189mP(左)と幌天狗山頂(右)振り返ると群別岳がまた来いよ!と言っているみたいだった。
堂々たる勇姿 群別岳
幌天狗へ戻ってきた。
風が少しあるものの陽射しは暖かい、気持ちも満足感で一杯だ。
誰も居ない山頂でのんびり寛ぐ。
コーヒーやゼリーが体にしみる。
浜益岳から雄冬山にかけてのたおやかな山並みがいっそう優しく見える。
浜益岳
単独男性がスキーで登ってきた。今日初めて会う人だ。
挨拶をするも会釈しただけで少し離れた場所へ、孤独を愛する気分だったのかな?
11時前に下山開始、なだらかで幅広い長大な尾根をのんびり下る。
途中、単独女性と男性二人連れとすれ違う。合計4人で今日の幌天狗を貸切だ。
下る南西尾根
緊張感もなくいい加減疲れて降りていたら、とんだ間違いをするところだった。
C550m標高点を過ぎて幅広い斜面に惑わされ、本来のコースから斜め右のC509m標高点に続く尾根に入り込みそうになって危うく気がついた。
雪が繋がっていればそのまま降りても林道に出るのだが、今はしっかり藪漕ぎを強いられるだろう。
やはりこの尾根は道迷いに要注意である。林道跡に出てからは泥んこ道に悲鳴をあげながら午後1時過ぎに車へと戻った。