小屋の朝は早い、一番出の人はなんと午前3時に出発していった。
多くの人達は午前4時ごろに起きだし、夫々に準備をしだした。
私は少し遅目に起き出発準備をするが、それでも食事が簡単な分、20分もあれば準備完了である。朝日を横から受けて歩く稜線は清々しく気持ちが良い。
龍門山への道から振り返れば、以東岳や寒江山が凛々しく屹立している。
以東岳など北の稜線を見る
南には大朝日岳へ延びる稜線が朝日を受けて眩いばかりだ。
西朝日岳(中央右)へ延びる稜線
小1時間で西朝日岳、中岳を挟んで大朝日岳の鋭い姿が目を引く。
いよいよ朝日連峰の山旅の最後は近い。
鋭鋒大朝日岳の勇姿
北方向を見れば、以東岳が月山を遠景にどっしりと座っている。
いつか訪れたい山だが、果たして可能かどうか?
以東岳(左)と月山(右奥)
西朝日岳から中岳を超えようとすると、ヒメサユリの群落に出会った。
すでに花の時期を終え萎れているものも多いが、盛りの時はいかばかりかと思うほどの群落だ。
私にとって夢の花の一つであったヒメサユリ、この地方では珍しい花ではなく一般的な花なのかも知れない。
ヒメサユリの群落
中岳を過ぎると大朝日岳とのコルに金玉水という水場があった。
皆さんわざわざ汲みに行っているので、私もご相伴に預かった。金玉水から20分ほどで、大朝日岳山頂である。
さすがに朝日連峰の盟主、遮る物一つ無い大景観である。
素晴らしい!
山頂から東側の眺望。中央遠くは蔵王
蔵王が思ったより近く大きくて驚く。
地蔵岳と熊野岳だけの小さな山塊だと思っていたのだ。
山頂から南側の眺望。遠くは飯豊連峰、手前の鋭鋒は祝瓶山
南には二日前に登った飯豊連峰が長々と横たわっている。
今日も稜線や山頂部には雲が掛かっているようだ。
直ぐ南にある祝瓶山の鋭い姿が一際目立つ。
この写真には写っていないが、吾妻連峰の姿も見えていた。
山頂から北側の眺望、やはり月山の姿が素晴らしい
北側は何と言っても月山の優美な姿が一番だ。
0740 朝日連峰最高峰の大朝日岳に別れを告げ、帰路につく。
大朝日小屋も昨日は超満員だったそうで、続々と人が小屋を出ていく。小朝日岳への道に銀玉水と言う水場がある。
反対側の金玉水になぞらえた名前だろうが、本当においしい水だった。ここから更に下り、小朝日岳とのコルへ。
そこからの小朝日岳は切れ落ちた急斜面を見せ、鋭く立っている。
登り返す気力を沸き立たせるには、かなりの精神力を必要とする急な傾斜である。
小朝日岳
午前9時をまわり、暑くなってきた。朝の涼しさが嘘のようだ。
小朝日岳の山頂を踏む気持ちになれず、巻き道に逃げる。
そこからは大朝日岳から北に延びる主稜線が今までとな一味違った角度で見えていた。
小朝日岳からの主稜線(左が大朝日岳)
古寺山で大休止、ドライフルーツで甘みを摂り、菓子パンでお腹を膨らます。
暑さで食欲もないが、食べなければバテると無理やりお腹に詰め込んだ。
古寺山からの小朝日岳(左)と大朝日岳(中央)
古寺山を過ぎると、かなり急な下り坂となる。
しかも延々と続くのだ。
飯豊のダイグラ尾根とは比べ物にはならないが、それなりに辛い下りである。
45分間ひたすら耐え下りきると、そこは古寺と日暮沢との分岐点。私が日暮沢方向に入ろうとすると、地元も方か「そっちは遠いし結構辛いよ!」と声をかけられる。
遠くても辛くても日暮沢に帰らなくてはならないのだ。
「有難うございます。暑くて辛いけど頑張ります。」強烈な登り返しはないけれど、本当に長くつらい道のりだった。
特に日暮沢に続く沢沿いに出てからが暑くて長く、感じ辛かった。
日暮沢の小屋に着いたのは、分岐から2時間が経過していた。
数十年ぶりに再訪した朝日連峰、歩いてみても記憶している情景は少なく、初めて訪れたのと同じであった。
人気の高い山だけあって、懐が深くて良い山の印象が強い。
また花の名山でもあった。もう訪れることはないかも知れない。
今回の山行での印象を大切にしておきたい、そう思った。