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神室山
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神室山へのルートを調べると秋田県側から登るルートと山形県からのルートがある。
秋田県側からは谷筋から登り、尾根を経由して下る周回ルートが設定できる。
この周回ルートを使って楽しもうと秋田県川の登山口へ向かう。
国道108号から県道73号に入るところに「神室山登山口」の標識があり
あとは登山口まで要所に案内標識があり登山口までは迷わず行けるが、途中から道はダートになり、この道で正しいのか疑心暗鬼に陥ってしまった。登山口には地図看板もあり、周回ルートを確認して歩き出す。
谷筋を行く西ノ又コースは西ノ又沢から付かず離れず、2ヶ所の吊り橋を渡り、幾つもの小沢を横切りながら次第に高度を上げていく。
深い樹林に囲まれた山道は、神々の住んでいる前庭を歩かせてもらっている感じさえする静けさと雰囲気を持っている。
いかにも修験の道場であったような滝が現れたり、ふと山伏達に出会うのではなかろうかと思うような気配、神様と対話しながら歩いている感じさえするのだ。
こんな滝も現れる
登山道脇には、「老いてなお かむろの道に 汗流る」などの句がさりげなく書かれていたりして、地元の人達に愛さている山であることもよく分かる。
1時間半ほど歩いたところには、不動明王が祀ってあり、灯明なども置いてあった。
苔むした素朴な石仏である。何時の頃から祀ってあるのだろう?
決して信心深い私ではないが、心を込めてお参りした。
不動明王石像
不動明王を過ぎると、胸突き八丁と呼ばれる急坂となるが、30分も辛抱すれば解放される。
西ノ又沢の沢音が消えると変わって木々の葉を揺るがす風音が強弱を繰り返し、耳に心地よい。神の存在を感じつつ、尾根を登りきれば、そこは「御田の神」と言う台地である。
「御田の神」から神室山方面を見る。神室山は右のピークの向こう側になる。
そこはまさにお花畑、沢山の種類の花たちが私を待っていてくれた、嬉しい。
まずは余り目立たない花、アリドオシ。
白い4つに裂けた花弁が可愛らしい。
アリドオシ
一際美しい青が目立つエゾアジサイ、私の好きな花の一つでもある。
色も美しいが、雄しべの形も面白い。
エゾアジサイ
そしてコケイランも草むらの中で目立たず咲いている。
コケイラン
そして北国の私には珍しい花である、ヒナザクラ。
朝日連峰でも見たが、気品のある花でとても好きになった。
サクラというからどんな花かと思っていたが、サクラソウの仲間らしい。
ヒナザクラ
イワカガミも鮮やかなピンクで目立っている。
しかし何故花弁がこのように細かく裂けたのだろう? 不思議が一杯詰まった可憐な花だ。
イワカガミ
御田の神を過ぎて、いよいよ神室山への登り、山頂へは1時間も掛からないだろう地点で急にガスが湧き出し始めた。
稜線は白く霞み、地形は何も見えなくなってしまった。せっかく来たのに・・・そんな気持ちを見透かしたように、ウツボグサが明るい紫色で迎えてくれる。
ウツボグサ
その他に私には見たことのない、白いナデシコのような花も可憐に出迎えてくれ気になったが、何という花か依然不明である。
そうこうしているうちに、山頂に着いた。
残念なから、周りは白一色で何も見えない。
山頂に祀ってある石標が山岳信仰の歴史を示しているだけだ。
山頂に祀ってあった石標
このまま下山するのは残念で、ガスが晴れるのを30分近くじっと待ったが、期待通にはならなかった。
仕方ないと諦め、帰りはパノラマ・コースを歩き、下山することに。
それでも神室山は勝手に想像したとおり、山岳信仰や修験道の一大拠点として地域に根付き地元の人と共にあること、私自身も実際に歩いてみて神様と対話する雰囲気を味わえたこと、そして期待もしていなかったのに多くの花たちが出迎えてくれたことなどなど、とても味わい深い良い山との思いを深くした。
山頂から西ノ又分岐へ戻り、尾根伝いに前神室山へ足を進める。平坦な歩き易い山道だ。
前神室山へ近づいた頃、ガスに濃淡を感じるようになり、次いで晴れ間を見るようになった。「あっ!」正面に素晴らしい山がガスの合間から見え始めた。鳥海山だ。
ガスの切れ間から姿を見せた、鳥海山
何という幻想的な姿。まさに神室山の神様からのプレゼント、有難うございます。
前神室山も姿を見せ始めた。なかなか凛々しい山容ではある。
前神室山
前神室山山頂で昼食を摂りながら、開けてきた景観を眺めていると、神室山がガスの中から姿を見せてくれた。
ああ、こんな姿の山だったのだ。形がしっかりイメージできただけでも嬉しく幸せだ。
姿を見せた、神室山
神室山に登って感じたのは標高こそ決して高くないが、印象に残るとても良い雰囲気を持った山だと言うこと。
私的には自分自身の百名山に十分入る山だと思う。
訪れて良かった、心からそう思った。下山後昨日泊まった秋の宮温泉で汗を流し、ついでにインターネットでお天気を調べると、明日行く予定の焼石岳方面は余り良くなく、鳥海山方面は良い天気が予想されているのを知り、急遽予定変更、鳥海山へ車を走らせることにした。