鳥海山 (2236m) 鉾立コース

東北   2011.7.20(水)   晴れのちガス・風雨


 

 

2011.7.20(水)
鉾立登山口 0425
御浜小屋 0545〜55
七五三掛 0640
大物忌神社 0730〜45
新山山頂 0810〜30
大物忌神社 0915
七五三掛 1030
御浜小屋 1100〜40
鉾立登山口 1250

鳥海山

鳥海山こそ東北の名峰と言って、誰にもはばからないであろう。
みちのくの最高峰であり、雪と岩と緑の織りなすコントラスト、数々の花々、アルペン的雰囲気満点の山なのである。

今回の山旅で是非とも再訪したいと思っていた山の一つ。
前回も鉾立コースからであったが、確か雪のない季節であったので、何としても雪渓を楽しめる時期にと思っていたのだ。

今回の山旅では鳥海山をしっかり味わおうと、西の鉾立からと北の祓川からの2コースから登り、存分に堪能するつもりである。

昨日神室山を下山して鉾立へ、鳥海ブルーラインを走って鉾立ビジターセンター横の駐車場へ夕方に到着した。

 

夕焼けショー

鉾立登山口の駐車場で車中泊の用意をしていると、日没間近となり素晴らしい夕焼けショーの開幕である。
刻々と変化する太陽と雲が演出する大自然のショータイムに言葉もなくただ見入っていた。

夕景
黄金色に輝く雲と沈みゆく太陽

 

夕焼け
太陽が沈み、夕焼けは最高潮。左下の島影は飛島

 

快晴

早朝目覚めると星が輝き雲ひとつ無い、鳥海山が黒いシルエットとして浮かんでいる。
嬉しい、今日のお天気は約束されたも同然とウキウキしながら朝食をとる。

0425登山届を提出して出発。
関弁連のオバチャンたちが何回も何回も大声で気合を入れあっている、張り切るのは結構だが少しは人目も気にしたらどうなのだろう?

信者さん為なのだろうか、良く整備されたといえば整備されている石畳の立派な登山道を半ばお散歩気分で進んで行く。
しかしこの石畳の道、決して登山者にとっては優しい道ではない、硬すぎて腰や膝に負担が余計にかかるのではなかろうか。

周囲の草原からは水の流れる音が聞こえ、振り返ると朝の日本海と海岸線が美しい。

海岸線
朝焼けの残る海岸線 左に延びているのは男鹿半島か?

 

花と湖

1時間半近く、なだらかな草原地帯を歩くと御浜小屋。
裏手には鳥海湖が静に佇んでいる。


鳥海湖

湖の青とわずかに残る雪の白、草原の緑、黄色や赤の花々、山と平野と海が見渡せる景観、すべてが融合しあって素敵な景観を作り上げ、まさに目を見開く思いである。

さらにここから見上げる鳥海山の男性的な迫力ある威容も素晴らしい。


山頂と外輪山が一望

 

核心部へ

御浜から約1時間で外輪山の一角の稜線に上がる、七五三掛(しめかけ)と言われる所だ。
七五三掛が外輪山を歩くコースと谷に降り雪渓を歩くコースの分岐となっている。
私は帰りに外輪山を歩く予定なので、左手の千蛇谷へ降りていく。

七五三掛
七五三掛から北の日本海方向を見る

七五三掛からは風景が一変し、脆く荒々しい岩場と雪渓の織りなす光景がすごい迫力で迫ってくる。


七五三掛の岩場と月

雪と岩の世界への突入だ、胸がワクワク気持ちが高ぶる。
幸いなことに、雪渓の斜度は極めて緩く、アイゼンなどは必要ない。

雪渓

雪渓に降り立つ。外輪山内壁の荒々しい岩場と雪のコントラストが印象深い。

雪渓
雪渓から外輪山を見上げる

ここからがまさに鳥海山の核心部、気持ちは高ぶれど判断・行動は慎重にと自分を一喝する。
雪渓を気持ちよく登っている時だ、山頂の向こう側、つまり東側から山頂を越えて雲が侵入し始めているのを視認した。
この快晴のお天気でガスが発生するのか? 信じられない思いである。

雪渓を登り終え、岩混じりの道をジグを切りつつ登っていく。
ガスは勢いを増しながらついに山頂部を覆い隠してしまった。
沈む気持ちを励ますように、イワギキョウが可憐な姿を見せていた。

イワギキョウ


過酷!

大物忌神社に着いた時には、ここもすでにガスの中。
晴れることも含めて、丁寧にお参りする。
だがガスはますます激しさを加え、雨と風も交じるようになってきた。
はしゃぎ過ぎた気持ちを鳥海山の神様にたしなめられ、叱られているかのようだ。

神社
大物忌神社も煙っている

大物忌神社の裏手から、巨岩が累々と積み重なった岩山をペンキマークを頼りに辿っていく。
雨・風共に強まり、暴風雨状態と言っても過言ではない様子になってきた。
岩陰で雨具を装着、濡れて滑り易くなっている岩に注意しながら慎重にルートを探り、攀じ登っていく。

風雨
間近の岩も霞む、激しい風雨

新山の山頂は幾つかの岩峰となっているらしく、山頂と思って勝手に攀じて行くとペンキマークがなくルートを外したことを知り、元に引き返す。
引き返すにしても風雨が強く視界が効かないため、結構真剣にならざるを得ない。

巨大な岩をすり抜け、ペンキマークだけを頼りに進んでいくと、岩峰の天辺に山頂標識が鎮座していた。

山頂
鳥海山山頂の標識

山頂標識のある岩峰からの視界は10mほど。
雨粒が風に運ばれ白い帯のようになって踊り流れていく。
岩陰に居場所を見つけ、潜り込んでお腹を満たしながら、しばし待機。

でも、短時間で回復するような状況ではないようだ。
本来はここから外輪山コースを回って戻る予定だったが、登ってきたルートで引き返すことにし、激しい風雨の中、慎重の上にも慎重を期して神社へと戻った。

風雨の岩
ペンキマークが頼り

神社へ戻ると登山口で大騒ぎをしていたオバチャンたちが「何処から登るねん?」「あんた、連れて行ってくれへんか?」「二度と来れへんのやから、私一人でも行くで!」・・・。
仲間の何人かは不安で目が泳いでいる。神社で待っていると決めた人もいるようだ。

「ペンキマークはしっかり付いていて、見失うことはないと思う。でもご覧のとおりの風雨だ、岩も滑る。リスクは決して低いとは言えないですよ。どうしてもと言うなら止めはしないけれど、今日は止めるのが賢明じゃないかな?」
後の判断は彼女たちに任せて、私は下山に掛かった。

来た道を引き返す。雪渓の七五三掛へ渡る地点を見逃さないようことさら注意を払った。

 

謙虚

御浜小屋の近くまで降りて、やっと雲の下に出て風雨から逃れることが出来た。
雨衣を脱いで下を見やると、鳥海湖が雲を払い日差しを受けてキラキラ輝いていた。


明るく輝く鳥海湖

上を見やると、山頂部は依然として雲の中。
だが青空も見えている、たったあれだけの雲なのに暴風雨になるなんて・・・、自然ってやっぱり凄いものだ。

山頂
雲に覆われる山頂部

「いや〜、今日はやられたな! 明日は謙虚に真剣にもう一度、鳥海山にチャレンジさせてもらおう」
そう思いながら鉾立の登山口へ戻った。

下山後、街に出て汚れ物を洗濯し温泉で入浴。
心身とも綺麗になって、明日の登山口である祓川ヒュッテへと向かった。

 

 

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