焼石岳 (1548m)  つぶ沼コース

東北  2011.7.22 (金)  曇のち晴


 

 

2011.7.22(金)
つぶ沼キャンプ場 0435
金山沢 0525
石沼 0600
銀明水 0655〜0710
姥石平 0800
焼石岳山頂 0830〜0930
銀明水 1020
石沼 1110
キャンプ場 1225

焼石岳

焼石岳は岩手県に属し、栗駒国定公園の一部をなす焼石連峰の主峰である。
上部には幾つもの湖沼群、高層湿地、お花畑と共に、中腹にブナの樹林帯が広がり、その豊かで独特な植生が特徴でもある。
アルペンムードは感じられないが、全山が土で覆われ穏やかで優しいイメージの山でもある。

当初中沼コースを歩こうと思っていたが、現在は林道崩壊と石淵ダムの工事の為、立入禁止となっており、急遽つぶ沼コースからの往復に変更し、前夜はつぶ沼キャンプ場で車中泊した。


 

原生林

つぶ沼キャンプ場から国道を渡って登山道に入る。
殆ど平坦と言って良いほどのブナの森の道を淡々と進んで行く。
ブナが水分を含むためか、地形のせいか、至るところに小沢が流れ水音が絶えることはない。
そのためか、道もぬかるんでいる部分が多いのが少し厄介だ。
ブナの原生林が続き、大木が見事である。

1時間ほどで金山沢を通過する。
この山に限らず、東北一帯では平安や鎌倉時代の蝦夷と朝廷あるいは幕府との抗争、和睦の歴史が続いたせいか、それにちなんだ地名や遺構が多く残っている。
この金山沢などもそれに関係しているのかも知れない。

1時間半ほどで石沼を見下ろす地点に出る。
なかなか美しい沼で、中沼からの道はここで合流していた。

石沼石沼

この先、登りは緩急を繰り返し何本かの小沢を横切り、木道が敷かれた道を進んで行く。
湿原地帯になってきたのか、アヤメの群落があちこちに見られるようになってきた。
花の中心部にある虎模様が何とも不思議で美しい。

アヤメ
アヤメが沢山見られるようになってきた

 

ボランティア

傾斜が一段と緩くなり、あちこちの水音が集まって流れる様になって間もなく、岩の間から湧水が出ている銀明水と言う所に出た。
水の豊かな焼石岳の中で名を付けられている湧水である、名水中の名水なのだろう、冷たくてとても美味しい。

銀明水

銀明水で休んでいると、ここにある銀明水避難小屋にボランティアで年に90日も泊まりこんでいるという男性が出てきて、話を聞くことが出来た。
それによると、焼石岳の花は6月中旬と8月が最も美しく、まさに花の絨毯になるそうだ。
7月中旬の今は花の端境期なのだと言っていた。

焼石岳をこよなく愛している様子が伝わってくる人で、私が東北復興に資することが出来ればと思ってやって来たというと、感謝と共に秋にでもまた来て泊まってくれと強く要請された。

 

念ずれば通ず

銀明水を過ぎて幾つかのお花畑を通って行く。
種類も量もかなり多い、これで端境期とは信じられないぐらいである。
ハクサンシャジン、ウラジロヨウラクツツジ、ハクサンチドリ、ミヤマキンポウゲ、トウゲブキ、ミヤマキンバイ、タニウツギ、リュウキンカ、モミジカラマツ、ヒナザクラ、シナノキンバイ、ハクサンシャクナゲ、ウサギギク、イソツツジ、ウコンウツギ、チングルマ、ハクサンイチゲ、クルマユリなどなどである。

1時間弱で姥石平、曇ってガスっぽかった空が少しづつ明るくなってきた。
何とか晴れてほしいと強く念ずる。

姥石平からは花たちに呼び止められ、足が進まない。
うれしい悲鳴である。

ありがたい事に、念ずれば通ずで青空が覗き始めた。
太陽ガンバレ!

青空
雲が晴れ始め、青空が覗きだした。

 

雲上人

姥石平にある泉水沼を過ぎると、いよいよ焼石岳への最後の登りとなる。
僅かな距離だが、ここにもウスユキソウやハクサンシャジンが群生していて、止まって花に見入っている時間のほうが長くなる。


ウスユキソウ

同じウスユキソウでも明らかに花弁の形が異なっているものもある。


花弁の形が違うウスユキソウ

ハクサンシャジンもウスユキソウに負けじとモデル目線で迫ってくる。

ハクサンシャジン
ハクサンシャジン

花の誘惑を振り切り、ようやく焼石岳の山頂に立つ。
空はすっかり晴れ渡り、清々しい。
まるで秋空のような透明さだ。

雲海の上に周囲の山々が頭を出している。
丁度地元の青年が先着していたので、お願いして山々の名を教えてもらう。
早池峰山、岩手山、秋田駒ケ岳、大平山、栗駒山、先日登った神室山、そして昨日まで登っていた鳥海山などなど。グルリと見渡せる。

鳥海山
焼石岳山頂からの鳥海山

 

青空
秋空を思わせる雲と遠くに岩手山や秋田駒ケ岳などが頭を出していた

山頂に腰を落ち着け、雲海と浮かぶ山々のシルエットを眺める。
これからどの山を訪ねようか? 頭の中で目まぐるしく色々なプランが交錯する。

クリームチーズやジャムをタップリ塗ったパンが美味しく癖になるほどだ。
フルーツゼリーやトマトも抵抗なくお腹に吸い込まれていく。
ボ〜と景色を眺めているだけの雲上人は、お腹だけは一人前に空くらしい。

先程通ってきた泉水沼が直ぐ下に見えている。

沼

 

マナー

1時間も山頂でゆっくり過ごした。
帰路は往路をそのまま帰る。

帰路、何人かの人達とすれ違う。
そのたびに挨拶したり、情報交換したり和気あいあいで気持ちも良い。

銀明水を過ぎた辺りだったか、30人近いパーティと行きあった。
何の統制もとれていない団体、通過するのを待っているだけで5分近くも掛かってしまう。
トップを担っている人も、リーダーもただ一緒に歩いているだけだ。

大人数でどういう行動をするのか、幾つかのパーティに分割するのか、追い抜く時・追い越される時どういう指示をするのか、団体同士ですれ違う時はどうするのか、休憩する時は、指示を確実に伝達するにはどうするのか、などなどを事前に決めパーティに徹底しておくことが必要ではないのか?

待っている間、いちいち挨拶され手も返事をする気にもなれず、苦笑いを浮かべながらそんなことを考えていた。
とにかく、自分がされて不快なこと、嫌なことは、しないように配慮するのが最低限のマナーだと思うのだが・・・。

 

焼石岳って?

焼石岳はちょっぴり変わっていてちょっぴり不思議な山のように思う。
山容はあくまで優しく、中腹までは深いブナの樹林帯、上部は高層湿原と豊かなお花畑そして豊かで美味しい水、東北中部の山々の大半を眺望できる景観、そんな数々の素晴らしさを有しているのに決して目立たない控えめな山。そんな印象を受けるのである。

こういう山は何回も登れば登るほど、その魅力に引きこまれていくのではなかろうか?
そんな気がする。
初対面では本当の良さがわからない、人にもそういう人が居る。特に東北の人に・・・。
焼石岳は東北の人たちに根付いた、東北の人のような山なのかも知れない。

 

 

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