紋別岳 (861m)

道央  2011.8.3(水)  晴れ


 

紋別

 

リハビリ登山

カミさんが椎間板ヘルニアの手術を受けてから1年1ヶ月が経った。
手術そのものに対する一抹の不安はあったものの、手術がうまく行けば直ぐにでも元通りに歩け、山も楽しめると思っていた。
だがそれは、こちらの勝手な思い込みだった。
医師から言わせれば痛みが取れ平常の生活が過ごせれば大成功なのであって、山歩きをするなどいわば想定外のことらしい。

カミさんの手術は医師サイドからは大成功の範疇、半年ほどは負荷をかけると多少の痛みを感じたが今は1時間ぐらい街中を散歩したぐらいは平気となった。
でも私たちの望みは楽しく山歩きを楽しむことであるから、とてもそれでは満足できない。

医師からは転んで尻餅をつくのは接待ダメといわれているが、そんな事守っていたら山には行けない。
6月の丘歩きから初めて比較的平坦な山道を歩くリハビリ登山を私たちの自己責任で始めたのだ。

今日はその3回目、これまでより傾斜も多く距離も長くして様子を見ようと支笏湖畔の紋別岳を歩くことにした。
ここは山頂にある電波塔の保守整備のため舗装された管理道路が走り、凹凸がなく傾斜も平均なのだ。
ただゆっくり歩けば往復で3時間半〜4時間、今までは1時間〜2時間であったのと比べるとかなり長い。
少しでも違和感を感じたら引き返す、無理は絶対しないことを約束して支笏湖へと向かった。

 

端境期の花

登山口でもう一度無理はしないことを確認して歩き出す。
夏期の紋別岳は初夏の花は終わり秋の花にはまだ早い端境期、いわばシーズン外の山歩きなので出会う人はいないだろうと思っていたのに、2台の車が停まっていた。

朝の8時前、晴れてはいるが気温も低く清々しい。
木漏れ日を浴びながら小さな歩幅を意識しつつ慎重に歩みをすすめているカミさんの背からは緊張感が伝わってくるようだ。

そんな気持ちをほぐすように道端に咲くありふれた花を見つけては眺めたりお喋りしながらゆっくり登っていく。

キツリフネ

巨大なエゾニュウに蝶が集まって蜜を吸っている。
目立たない花なのに匂いで虫を集めるのだろうか? それとも姿かたちなのか?
花たちの戦略にはつくづく感心させられると共に不思議さを感じる。

エゾニュウ蝦夷にゅう

深い樹林帯を抜け紋別岳の姿を眺められる中間地点まで登ってきた。
「全然大丈夫よ!」と言いながら足取りに硬さがみられるカミさんに、氷でギンギンに冷やしてきたスポドリを差し出す。

紋別岳
5合目付近からの紋別岳

 

気分転換

中間点を過ぎると支笏湖や樽前山など周辺の山々が垣間見え始める。
慎重に歩くことに集中していたカミさんも慣れたのか楽になったのか、足取りもリズミカルに笑顔も多くなってきた。

登る余裕の表情で

鮮やかな黄色が目に入った。
この地域では駆除されている外来のオオハンゴンソウかと思ったらキヌガサギクであった。もっともこの花も帰化植物の筈だったが・・・。

キヌガワギクキヌガサキク

ナデシコの仲間と思われる見たことのない花が一輪咲いているのをカミさんが見つけた。
周囲には無くこの一株だけ、花の大きさ僅か数ミリの花だった。
カワラナデシコの矮小化したものかと思ったが、葉が違う。
何と言う花で、何故一株だけなのだろう?


ナデシコナデシコの仲間?

赤みの強いヨツバヒヨドリが散見される。
赤みが強いのでサワヒヨドリかと思ったが、葉が違うとカミさんは自信満々だ。

ヨツバヒヨドリ

 

リハビリの山?

景色と花に励まされカミさんの足取りは快調だ、だんだん歩幅が大きくなっているので腰に負担がかからないようできるだけ小さくして歩くようアドバイス。

花の話をしたり景色を楽しんだりしている間に山頂に着いてしまった。
何度も来ている山頂だが、今回は特別の意味もあり無事山頂に立ててカミさんも嬉しそうだ。
日陰に腰を下ろし、思い浮かんだ歌を書き留めている。

遠くは霞んで見えないけれど、それなりの展望は楽しめる
支笏湖は穏やかに広がっている。

支笏湖
山頂から支笏湖と周辺の山々

札幌市街も煙ながらも大きく広がっている。

札幌
藻岩山と札幌市街地

真下には支笏湖畔の街がこじんまりとまとまっている。

支笏湖畔支笏湖畔

山頂に居た男性が電話で「山で滑り落ちてちゃってさ〜、怪我をしちゃったんだよ〜。今リハビリで紋別岳に来ている・・・」と話しているのが、耳に入ってきた。
思わず「紋別岳はリハビリの山?」と二人で笑いあった。

 

慎重

登りより下りの方が、足腰への負担は大きい。
ストックの助けを借りながら慎重に下山にかかる。

支笏湖に走る船の航跡が美しい曲線を描き、波紋が広がっていく。なかなか美しい光景ではある。

航跡
湖面に広がる航跡と波紋

10時過ぎとなって直射日光を浴びると暑くなってきた。
出会う人なんていないだろうと思っていたのに、案に相違して登ってくる人が何人もいる。
紋別岳はそれだけ手軽で人気の山なのだと再認識だ。

木漏れ日の中を軽快に下るカミさんの後ろ姿に、すこしばかり余裕があるように感じたのは私のひいき目だろうか?

木漏れ日


期待

どうかな? と思いながら実行した紋別岳リハビリ登山、無事下山できて一安心だ。
腰は違和感も痛みもなく問題ない、その代わり腰に負荷をかけないよう意識しすぎたためか、ふくらはぎが張っていると言う。
温泉でゆっくり温まり汗を流せば大丈夫そう。

今回のリハビリ登山で少し希望が出てきた。
次からは少しづつ山らしい山へチャレンジし、楽しめるようになれたら嬉しい限りだ。

少しづつ励まし合って楽しんでいければ良い。

 

オジロワシ歌壇

 

・暗緑の樹林の海に漕ぎ出さん
         釣舟草は一世に揺れる

・怪しげな蝶の乱舞にたじろぎぬ
         不思議の国か森の暗がり

 

 

 

 

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